ケーズデンキの看板を掲げた店を、全国で運営している会社です。売っているのはエアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、携帯電話。郊外の、駐車場の広い建物に車で乗りつけて、大きな家電を選んで配達してもらう、あの店です。
売り方に特徴があります。ポイントを付ける代わりに、その場で現金値引きをする。買ったものには長い無料保証が付く。短信の説明文では、自分たちの経営を「がんばらない(=無理をしない)」と呼んでいます。
この会社を読むのは2度目です。9月22日に、8月6日に出た第1四半期決算を取り上げました。そのとき引っかかったのは、予想を据え置いたことで、夏の3か月を前年より弱く見込む形になっていた点です。中間決算でどう出るかを確かめると書きました(前の記事)。
この決算で何が起きたか
11月5日に出た中間決算です。4月から9月までの半年で、売上が1割近く増え、営業利益は2倍に届きました。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,121億2,400万円 | 3,766億5,600万円 | +9.4% |
| 営業利益 | 250億4,200万円 | 130億2,600万円 | +92.2% |
| 経常利益 | 269億6,800万円 | 145億7,100万円 | +85.1% |
| 純利益 | 183億8,600万円 | 105億100万円 | +75.1% |
営業利益率は、前年同期の3.5%から6.1%へ。第1四半期で6.2%まで上がった利益率が、半年を通しても落ちていません。
夏の3か月は、会社の見込みの2倍を超えました
前の記事で、私はこう書きました。会社の上期営業利益予想は175億円でした。そこから第1四半期の124億8,100万円を引くと、7月から9月の3か月は50億1,900万円を見込んでいることになります。前年の同じ3か月は約77億6,000万円でしたから、3割5分ほど減る数字です。駆け込みの反動を本気で見込んでいるのだと受け取りました。
実際の数字が出ました。上期の営業利益250億4,200万円から、第1四半期の124億8,100万円を引きます。7月から9月は125億6,100万円です。
| 営業利益 | 第1四半期 | 7月〜9月 | 上期累計 |
|---|---|---|---|
| 前年 実績 | 52億7,000万円 | 約77億6,000万円 | 130億2,600万円 |
| 今年 会社予想 | 124億8,100万円 | 50億1,900万円 | 175億円 |
| 今年 実績 | 124億8,100万円 | 125億6,100万円 | 250億4,200万円 |
約の付いた数字は、前の記事で上期予想の増減率+34.3%から私が割り戻したものです。会社予想の50億1,900万円と、実績の125億6,100万円は、私の引き算です。
会社が見込んだ額の2倍を超え、前年の同じ3か月も6割ほど上回りました。反動を見込んでいるという読みは、外れました。
パソコンが4割減った理由は、今回は書いてありました
前の記事の末尾に、パソコン・情報機器が前年の93.2%にとどまった理由は読み取れなかった、と書き残しました。その答えが、今回の短信の4ページ目にありました。2026年3月期にWindows10のサポート終了でパソコンの売上が増えた、その反動減だと会社が書いています。
落ち込みは深まっています。上期のパソコン・情報機器は182億1,400万円でした。第1四半期の100億5,900万円を引くと、7月から9月は81億5,500万円。前年の同じ3か月は133億6,100万円で、4割近く減っています。
それでも全体は1割近い増収でした。品種別の表を開くと、どこが埋めたのかが分かります。
| 品種 | 今回 | 前年同期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| エアコン | 867億4,800万円 | 691億2,200万円 | 125.5% |
| 携帯電話 | 508億9,600万円 | 433億7,700万円 | 117.3% |
| 冷蔵庫 | 375億5,200万円 | 374億5,000万円 | 100.3% |
| パソコン・情報機器 | 182億1,400万円 | 241億5,700万円 | 75.4% |
| その他(保証サービス等を含む) | 373億700万円 | 301億700万円 | 123.9% |
エアコンだけで176億2,600万円増えています。会社全体の売上の増加は354億6,800万円ですから、ちょうど半分がエアコンです。携帯電話も75億円ほど増えて、パソコンの減少分59億4,300万円を一品種で埋め切っています。
6月末の前受けは、夏のあいだに消えていました
前の記事で引っかかったものがもう一つあります。契約負債です。6月末に357億8,500万円まで膨らんでいて、取り付けの済んでいないエアコンの代金ではないか、と読みました。
9月末の残高は317億300万円でした。3月末が316億9,000万円ですから、半年ではほぼ動いていません。6月末からの3か月で、40億円ほど減ったことになります。夏に工事が進んで、前受けが売上に替わった形です。少なくとも、積み上がったまま残るものではなかった。
現金のほうも素直でした。営業活動による現金の収入は272億8,000万円で、税金等調整前中間純利益268億1,400万円とほぼ同じ大きさです。3月末に2,500万……いえ、25億円あった短期借入金はゼロになりました。自己資本比率は58.9%から60.4%へ。現金及び預金は336億9,400万円です。配当は24円で、通期48円の予想。お金の面で心配していることはありません。
会社はどう説明しているか
4ページ目の説明は、前回と同じ筋です。「エアコン2027年問題」による需要が全体を牽引し、販売費及び一般管理費の伸びが抑制されたので増益になった、と書いています。Windows10の反動減があったことも、同じ段落で自分から認めています。
費用の話は、損益計算書のほうが分かりやすい。売上総利益は1,043億9,000万円から1,189億9,300万円へ増えました。増加額は145億300万円です。販売費及び一般管理費は913億6,300万円から939億5,000万円へ増えました。増加額は25億8,700万円にとどまります。
内訳を見ると、地代家賃は161億5,200万円から161億2,400万円へ減っています。水道光熱費も39億3,700万円から34億9,600万円へ減りました。同じ家賃の同じ店で、エアコンを多く売った。ここまでは損益計算書の数字です。
説明はそのまま受け取ります。理由は、品種別の表と販売費の内訳が、説明のとおりになっているからです。引っかかっているのは前回と同じ一点だけです。省エネ基準の引き上げは2027年4月。駆け込みがいつ一巡するのかは、決算短信には書かれていません。
通期予想に対して、どこまで来ているか
通期予想は据え置きです。ただし、据え置きの意味が前回とは違います。5ページ目に、2026年11月4日付で出した業績予想の上方修正から変更はない、と書かれています。短信の前日に予想を直したうえでの据え置きです。
その通期営業利益予想は305億円で、進捗率は8割を超えました。純利益は9割を超えています。この時期の目安は半分です。
残りの半年を引き算してみます。305億円から上期の250億4,200万円を引きます。下期の営業利益は54億5,800万円です。前年の下期は、割り戻して出します。通期予想305億円を増減率+13.8%で割り戻します。前年の通期は約268億円です。そこから上期の130億2,600万円を引いて、およそ137億8,000万円です。
| 営業利益 | 上期 | 下期 | 通期 |
|---|---|---|---|
| 前年 実績 | 130億2,600万円 | 約137億8,000万円 | 約268億円 |
| 今年 | 250億4,200万円 | 54億5,800万円 | 305億円 |
前年に137億円稼いだ半年を、今年は54億円と見込んでいることになります。6割減です。しかも、9月末の実績を見たあとに予想を直して、この形にしています。
一方で、11月4日の上方修正が売上と利益のどこをどれだけ直したのかは、決算短信には書かれていません。言えるのは、前の記事で私が書き写した営業利益の通期予想305億円が、今回も305億円のままだということまでです。
私はどう読んだか
前回は「古い予想を放置しているのか、反動を本気で見込んでいるのか」で後者を選んで外しました。今回は、片方の見方が消えています。11月4日に直したばかりの予想なので、古いままという説明はもう使えません。
下期の6割減は、会社が9月までの実績を確かめたうえで見込んだ数字です。私はそう考えています。理由は、修正の翌日に出した短信で、それを動かさなかったからです。駆け込みで買った人は、来年の春にもう一度買いません。エアコンを前倒しで手に入れた家の数だけ、下期に店へ来る人が減る。これは店頭を毎日見ている側の数字です。
ただ、前回もまったく同じ理屈で外しています。心配性なので、頭に残っているのは営業利益率6.1%のほうです。家賃も人件費も動かない商売で、売上だけが戻れば、利益率も戻ります。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
携帯電話の売上が前年の117.3%まで伸びた理由は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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