預金を集めて貸し、余りを債券で運ぶ銀行
SBI新生銀行は、SBIグループの傘下にある銀行です。もとは長期信用銀行でした。個人からは預金を集めて住宅ローンを貸し、企業には不動産やM&Aの資金を組み立てて貸しています。
グループの中には、無担保のカードローンの会社と、分割払いやクレジットカードを扱う会社があります。
最近は、グループの方針で地方銀行に出資しています。その動きが、今回の短信の注記に出ていました。
経常利益は5割近く増え、純利益は横ばい
2026年11月2日に発表された中間決算です。銀行なので、表の一番上は売上高ではなく、利息や手数料を合わせた「経常収益」です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 経常収益 | 4,520億7,500万円 | 3,642億1,500万円 | +24.1% |
| 経常利益 | 921億8,200万円 | 624億3,900万円 | +47.6% |
| 純利益 | 690億9,600万円 | 693億6,600万円 | △0.4% |
経常利益は5割近く増えたのに、純利益は前年同期とほぼ同じです。私はここに引っかかりました。
いつもならキャッシュ・フロー計算書を開くところです。ただ、この短信の添付資料には、中間期のキャッシュ・フロー計算書が載っていませんでした。そこで損益計算書を最後の行までたどりました。
純利益を止めたのは、前年の税金でした
| 項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 税金等調整前中間純利益 | 616億9,300万円 | 929億4,500万円 |
| 法人税、住民税及び事業税 | 76億1,500万円 | 222億2,900万円 |
| 法人税等調整額 | △152億8,400万円 | 14億6,300万円 |
| 法人税等合計 | △76億6,900万円 | 236億9,200万円 |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 693億6,600万円 | 690億9,600万円 |
前年同期の法人税等合計は、マイナスです。税金の行が、利益を77億円近く押し上げていました。理由は、法人税等調整額が大きなマイナスで出たからです。
今回は税金が普通にかかっています。純利益が横ばいに見えるのは、前年の数字が税金でかさ上げされていた反動です。
前年の調整額がなぜあれほど大きかったのかは、今回の短信には書かれていません。
経常利益の伸びは、債券の利息が大きい
経常利益の伸びはどこから来たのか。まず利息の出入りを並べます。
| 項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 貸出金利息 | 1,170億5,300万円 | 1,441億2,100万円 |
| 有価証券利息配当金 | 347億2,800万円 | 729億2,500万円 |
| 預金利息(払った側) | 476億2,200万円 | 601億9,800万円 |
| 資金利益 | 644億5,400万円 | 1,022億2,800万円 |
払う利息より受け取る利息のほうが増えて、資金利益は377億円増えています。
いちばん大きく増えたのは、有価証券の利息配当金で、前年の2倍を超えました。貸借対照表では、有価証券が3月末の4兆55億300万円から、9月末の5兆408億6,700万円へ増えています。半年で1兆円あまり債券を積み増し、その利息を受け取った形です。
事業ごとの利益も、同じことを示しています。
| セグメント利益 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 法人営業 | 111億5,300万円 | 223億3,200万円 |
| リテールバンキング | 29億3,400万円 | 129億4,600万円 |
| 証券投資 | 32億4,200万円 | 242億9,900万円 |
| プリンシパルトランザクションズ | 152億5,800万円 | △5億2,900万円 |
| 新生フィナンシャル | 70億8,100万円 | 47億9,300万円 |
| 合計(ほかの事業を含む) | 620億3,200万円 | 893億4,800万円 |
最も伸びたのは証券投資です。ただ、法人営業とリテールバンキングも大きく増えています。預金と貸出という銀行の本体でも、利ざやが広がっていることになります。
債券を増やした分の負担もあります。その他有価証券評価差額金のマイナスは、3月末の151億7,000万円から347億9,400万円へ広がりました。利息は損益計算書に入りますが、値下がりは純資産の側に入ります。
兄弟会社から買った地銀株で、84億9,000万円の利益
注記の企業結合の節に、もう一つ利益の出どころがありました。6月30日に、島根銀行と福島銀行の株を取得しています。売り手はSBI地銀ホールディングスです。親会社の子会社なので、この銀行から見ると兄弟会社にあたります。
| 銀行 | 取得後の議決権比率 | 取得原価 | 負ののれん相当額 |
|---|---|---|---|
| 島根銀行 | 20.90% | 8億6,300万円 | 26億3,300万円 |
| 福島銀行 | 34.19% | 41億4,400万円 | 58億5,700万円 |
2行の取得原価は、合わせて約50億円です。両行の純資産のうち、この銀行の持ち分にあたる額は、取得原価より多くなっていました。その差額の84億9,000万円を、持分法による投資利益として計上しています。……払った額より、利益のほうが大きい。
短信は、会計の上では「共通支配下の取引」として扱った、と書いています。毎期くり返し出る種類の利益ではありません。
では、この分を除いても経常利益は伸びているのか。今回の経常利益は921億8,200万円です。ここから84億9,000万円を引くと、836億9,200万円になります。前年同期にも、別の会社の株を買い増したときの負ののれん37億3,800万円が入っていました。624億3,900万円からこれを引くと、587億100万円です。
836億9,200万円を587億100万円と比べると、約4割の増加です。一時的な利益を除いても、伸びの大半は残ります。
島根銀行については、10月16日に、議決権の無い優先株式を100億円分引き受ける契約も結んでいます。払込は12月25日の予定です。
会社の説明は、地銀株を取得した目的だけ
業績が伸びた理由を会社が自分の言葉で書いた文章は、この短信には入っていません。表紙には決算補足説明資料を作ると書いてあります。理由はそちらにあるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。
書いてあるのは、地銀株を取得した目的です。SBIグループの「第4のメガバンク構想」の中で、地域をまたいで地方銀行と組む中核の銀行になるためです。あわせて両行の収益力を高める、としています。
目的はその通りに受け取り、利益のほうは一度きりのものとして分けて考えています。
通期予想は税引前の1行だけ、下期は前年を下回る前提
通期の予想として出ているのは、税金等調整前当期純利益の1,320億円だけです。経常収益、経常利益、純利益の予想は出ていません。予想の修正もありませんでした。
中間期だけで、通期予想の7割ほどに達しています。半年たった時点の目安は5割です。
| 税金等調整前純利益 | 上期 | 下期 | 通期 |
|---|---|---|---|
| 前年度 実績 | 616億9,300万円 | 約604億円 | 1,221億円 |
| 今年度 | 929億4,500万円(実績) | 約390億円 | 1,320億円(会社予想) |
約の付いた数字は、通期から上期を私が引いたものです。前年度の通期には、短信の参考情報にある値を使いました。
前年の下期に600億円あまりあった利益を、今年は400億円弱と見込んでいる計算です。一時的な利益は上期に入っているので、下期の数字には関係しません。それでも下期は大きく減る前提です。なぜそう見込むのかは、短信には書かれていません。
配当は、中間で10円を払います。前年の中間はゼロでした。年間の予想は「42円以上」となっています。
私はどう読んだか
純利益が横ばいなのは、前年の税金の反動です。ここまでは損益計算書の数字です。
私は、利息で稼ぐ力が上がった半年だったと考えています。理由は、資金利益の伸びが証券投資だけでなく、法人営業とリテールバンキングにも出ているからです。
それでも、心配性なので悪いほうを先に見ます。伸びのいちばん大きな柱は債券の積み増しです。その評価差額のマイナスは、半年で倍以上に広がりました。会社が下期を低く見込んでいる理由も、このあたりにあると私は見ています。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
前年の法人税等調整額がなぜあれほど大きかったのか、下期をなぜ前年より低く見込むのかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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