はじめに
三菱倉庫は、荷物を預かって保管し、運ぶ会社です。メーカーが作った機械や電機製品、化学品、日用品を倉庫で預かります。トラックで国内に運び、港で船に積み込み、海外への輸送の手配までまとめて引き受けます。荷主の多くは、自前で倉庫や輸送の仕組みを抱えたくない企業です。医薬品や食品の扱いにも力を入れています。
もう一つの柱は不動産です。オフィスビルを貸して賃料を受け取り、分譲マンションも販売しています。収入の大半は物流ですが、利益では不動産が物流とほぼ肩を並べています。倉庫会社の決算を開くと、半分はビルの話を読むことになります。
営業利益は増え、純利益は7割減りました
2026年10月30日に出た中間決算です。いつもどおり、キャッシュ・フロー計算書まで印刷して赤ペンを入れました。
| 今回(中間期) | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 営業収益(売上高) | 1,448億5,400万円 | 1,361億1,600万円 | +6.4% |
| 営業利益 | 82億4,000万円 | 75億4,100万円 | +9.3% |
| 経常利益 | 105億1,700万円 | 103億6,100万円 | +1.5% |
| 純利益 | 95億3,900万円 | 328億5,100万円 | △71.0% |
営業利益までは前年を上回っています。最後の行だけが大きく沈んでいます。
純利益の7割減は、前年の株式売却益が抜けた分
損益計算書の特別利益を前年と並べると、理由ははっきりしています。前年の中間期には、投資有価証券売却益が361億2,600万円ありました。今回はゼロです。純利益の減少額は233億1,100万円なので、売却益が抜けた分のほうが大きいくらいです。
代わりに今回は、固定資産処分益が35億4,500万円入りました。前年は1,100万円でした。貸借対照表では土地が1,311億8,000万円から1,243億3,000万円へ減っています。キャッシュ・フロー計算書にも固定資産の売却収入55億6,200万円が載っています。どの資産を手放したのかは、決算短信には書かれていません。
経常利益の伸びが小さいのは、受取配当金が22億6,900万円から11億4,200万円へ、ほぼ半分になったからです。前年に投資有価証券を売却したぶん、その株からの配当も入らなくなった、と私は受け取りました。
物流は収入が増えても、営業利益は前年並み
| 営業収益 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 | |
|---|---|---|---|---|
| 物流事業 | 1,269億6,800万円 | +6.8% | 62億7,700万円 | △0.1% |
| 不動産事業 | 186億400万円 | +3.8% | 59億8,900万円 | +8.7% |
物流は、倉庫、陸上運送、国際運送、港湾運送のどれもが前年より収入を増やしています。それでも営業利益は前年から600万円減りました。増えた収入とほぼ同じだけ、運送や作業を外に頼む費用と、M&Aにかかった費用が増えたからです。
連結の営業利益は6億9,900万円増えました。内訳を追うと、不動産の増益が4億8,100万円です。もう一つ大きいのが、どの事業にも割り振っていない本社の費用です。42億5,300万円から40億400万円へ下がり、減った額は2億5,000万円です。物流からの上積みはありません。
現金は、借入で厚くなりました
現金及び預金は、半年で630億3,200万円から815億3,900万円へ増えました。どこから来た現金かは、キャッシュ・フロー計算書で分かります。
| 今回(中間期) | 前年同期 | |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △28億1,700万円 | △23億4,800万円 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △60億5,800万円 | 206億6,400万円 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 256億1,600万円 | △152億7,300万円 |
営業CFは前年同期もマイナスでした。今回は法人税等の支払いが145億3,400万円あり、販売用不動産も68億5,200万円増えています。期首に152億8,900万円あった未払法人税等が、35億2,200万円まで減りました。前期の大きな利益にかかった税金をこの半年に払った形だと考えています。
財務CFの中では、借入金が434億1,300万円の純増です。短期借入金は396億9,300万円から859億7,500万円へ、倍以上になりました。その一方で、自己株式の取得に96億600万円、配当に68億7,900万円を払っています。……借りたお金で自己株式を取得している。いや、お金に色は付いていないか。
自己資本比率は59.3%から56.7%に下がりましたが、まだ半分を大きく超えています。同じ短信の最後には、阪急阪神エクスプレスの全株式を取得して子会社にする決定が載っています。借入の使い道も、その取得の金額も、決算短信には書かれていません。
会社はどう説明しているか
短信の説明文は、人手不足とインフレでコストが増えたことを挙げています。そのうえで、先端技術による効率化と「適正料金の収受」で業績を確保した、と書いています。純利益が減った理由は、投資有価証券売却益の減少だとしています。
純利益の説明は、損益計算書の数字と合うので、そのまま受け取ります。料金の話には留保をつけます。理由は、物流の営業利益が前年並みにとどまっているからです。値上げは効いているのでしょうが、外注費の伸びを追い越すところまでは届いていません。
表紙には、通期予想を修正したとも載っています。修正前の数字と理由は、同じ日に出た「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」に回されていて、私はそちらを読んでいません。
下期の純利益は、経常利益より大きく見込まれています
| 上期実績 | 通期予想 | 進捗率 | 下期に必要な額 | |
|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 1,448億5,400万円 | 2,900億円 | 約49.9% | 1,451億4,600万円 |
| 営業利益 | 82億4,000万円 | 155億円 | 約53.2% | 72億6,000万円 |
| 経常利益 | 105億1,700万円 | 196億円 | 約53.7% | 90億8,300万円 |
| 純利益 | 95億3,900万円 | 216億円 | 約44.2% | 120億6,100万円 |
進捗率と下期に必要な額は、表紙の予想から私が割り算・引き算したものです。
営業収益と営業利益は、ほぼ半分まで来ています。営業利益は、前年の下期より1割以上少なくても届く計算です。本業の予想に無理は感じません。
引っかかったのは下の2行です。純利益の通期予想は216億円です。上期の95億3,900万円を引くと、下期は120億6,100万円になります。経常利益の通期予想は196億円です。上期の105億1,700万円を引くと、下期は90億8,300万円です。下期は、経常利益より純利益のほうが30億円ほど大きい計算になります。
純利益は、経常利益に特別利益と特別損失を足し引きし、そこから税金を引いたものです。下期に純利益が経常利益を上回るなら、税金を払ってもなお余るほどの特別利益が入る計算になります。上期の固定資産処分益と同じ種類の利益を、下期にもっと大きく見込んでいるのかもしれません。その中身は、決算短信には書かれていません。
私はどう読んだか
純利益の7割減は、本業が崩れたことを示すものではないと考えています。理由は、減った分のほとんどが前年の株式売却益という一度きりの収入で、営業利益は前年より伸びているからです。
ただ、伸びの中身は不動産と本社費用の減少で、物流は横ばいでした。心配性なので、外注費の伸びがどこまで続くかを先に気にしています。下期の純利益の予想も、本業より特別利益に支えられた形に見えます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

下期に見込んでいる特別利益の中身と、434億1,300万円の借入の使い道は、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


コメント