イオンフィナンシャルサービス(8570)2027年2月期 中間決算分析――預金の減り方が気になる

イオンフィナンシャルサービス(8570)2027年2月期 中間決算分析――預金の減り方が気になる 決算を読む

はじめに

イオンのお店でクレジットカードを作ると、その発行元はこの会社のグループです。イオン銀行もここに入っています。ショッピングセンターの中に窓口があり、住宅ローンや定期預金を扱っている、あの銀行です。

スマホ決済のAEON Payも、このグループのものです。スーパーのレジで支払う。カードの支払いをあとから分割に変える。手元が足りない月にキャッシングで借りる。どれも暮らしの細かい場面で使われています。

商売は国内だけではありません。香港、タイ、マレーシアなどで、家電の分割払いや個人向けのローン、カードを手がけています。マレーシアでは、スマホだけで口座を開ける銀行も始めています。

純利益は増え、営業利益は1割減った

2026年10月9日に出た中間決算です。3月から8月までの半年分になります。

今回(上期)前年同期増減率
営業収益(売上高にあたるもの)3,112億200万円2,781億6,000万円+11.9%
営業利益252億900万円283億2,200万円−11.0%
経常利益259億7,200万円291億9,200万円−11.0%
純利益100億5,200万円87億4,500万円+14.9%

利益の中で増えたのは純利益だけです。その上にある営業利益と経常利益は、どちらも1割減っています。

純利益の増加は、前の年の損が消えた分

前年の上期には、特別損失に子会社株式売却損が95億3,900万円入っていました。今期はこれがありません。特別損失の合計は、125億4,200万円から11億5,100万円まで縮んでいます。

税金の行も動きました。前年は法人税等調整額がマイナスに働き、税金の合計は15億6,400万円で済んでいました。今期は88億7,900万円です。前年は損が大きく、そのぶん税も軽かったことになります。今期は大きな損も軽い税もなくなり、差し引きで純利益が増えた形です。

保険収益も41億200万円から5億5,300万円へ減っています。前年の注記には、イオン・アリアンツ生命保険の株式譲渡契約にともなう減損が書かれています。生命保険の会社がグループから外れ、売却の損もそこで出た、と私は考えました。

預金金利で増えた費用は、金融収益でほぼ埋まっていた

減益の理由として、会社は預金金利などの金融費用の増加を挙げています。そこで損益計算書の内訳を、前年の上期と横に並べました。

前年同期今回(上期)増えた額
金融収益349億8,100万円467億8,900万円約118億800万円
金融費用276億6,400万円403億800万円約126億4,400万円
販売費及び一般管理費2,108億8,800万円2,365億3,400万円約256億4,600万円

※約の付いた数字は、左の2列から私が引いたものです。

金融費用は126億円あまり増えました。ただ、同じ半年で金融収益も118億円あまり増えています。預金に払う利息が増え、貸出や運用で受け取る利息も増えました。この2行を差し引くと、目減りは8億円ほどです。

……営業利益は31億円減っているのに。

残りは販管費です。256億円あまり増え、増収分の大半を使っています。何にそれだけかかったのか、内訳は決算短信に載っていません。会社の説明では、クレジットカードの基幹システムを入れ替えた一時費用がここに含まれています。

国内の2事業を足して、ようやくマレー圏と並ぶ

セグメント利益前年同期今回(上期)
国内・リテール47億5,900万円30億8,200万円
国内・ソリューション64億4,300万円33億2,700万円
海外・中華圏52億9,500万円63億6,800万円
海外・メコン圏79億100万円64億5,800万円
海外・マレー圏55億6,000万円63億4,000万円

国内のリテールは、リボ払いの手数料を上げて収益を伸ばしました。それでも利益は3分の2ほどに落ちています。ソリューションは半分です。システム更改の一時費用は、主にこちらに出たと会社は書いています。

国内2事業の利益は、リテールが30億8,200万円、ソリューションが33億2,700万円です。足すと64億900万円になります。マレー圏ひとつの63億4,000万円とほぼ同じ額になります。この上期の稼ぎは、海外が支えたことになります。海外でもメコン圏は減益で、理由はカンボジアの貸倒関連費用の増加と書かれています。

預金が減った分を、手元の現金で埋めている

この中間決算短信には、キャッシュ・フロー計算書が載っていませんでした。いつも真っ先に開くページです。代わりに、貸借対照表の期首と8月末を突き合わせました。

期首(2月末)8月末
現金及び預金6,768億1,400万円4,130億1,300万円
銀行業における預金5兆4,820億9,600万円5兆4,358億9,800万円
銀行業における貸出金2兆8,407億8,800万円3兆188億5,700万円

引っかかったのはここです。預かっている預金は減り、貸出は増えています。そのあいだを埋めたのは手元の現金で、半年で2,638億円減りました。

会社の説明文によると、イオン銀行の預金残高は484億8,100万円減っています。「預金獲得競争が激化する中」とあり、定期預金のキャンペーンやポイントの付く定期預金を始めたうえでの減少です。

中間期が締まったあとの10月7日には、社債を2本出しています。1本は140億円で、利率は2.639%です。もう1本は80億円で、利率は3.073%です。どちらも短期の借入金の返済に充てる、と書かれています。お金の手当てを預金の外でも進めている、と私は受け取りました。

持っている有価証券の評価が、さらに下がった

その他有価証券評価差額金は、△694億8,400万円から△1,122億1,400万円へ広がりました。このため中間包括利益は△83億1,600万円です。純利益は100億円出ています。それなのに、自己資本は4,768億3,800万円から4,566億7,600万円へ減っています。

何の評価が下がったのかは、決算短信には書かれていません。金利が上がると債券の値段は下を向くので、銀行が持つ債券だろうと考えています。ただ、内訳はこの書類では確かめられません。

会社の説明は「金利」と「システム」

会社は減益の理由を2つ挙げています。政策金利の上昇にともなう金融費用の増加と、クレジットカード基幹システムの更改にかかった一時費用です。システムは6月に入れ替えが終わり、安定して動いているとも書いています。

2つ目はそのまま受け取ります。ソリューションの利益が半分になったこととも合います。

1つ目は、そのままは受け取れません。損益計算書の行で比べるかぎり、金利で増えた費用は、金利で増えた収益とほぼ相殺されていました。金利の重さは、利益よりも、預金の減少と有価証券の評価のほうに出ています。

下期は営業利益を4割近く減らす予想

通期予想上期実績下期に必要な額
営業収益6,000億円3,112億200万円約2,887億9,800万円
営業利益450億円252億900万円約197億9,100万円
純利益150億円100億5,200万円約49億4,800万円

※下期の数字は、通期予想から上期実績を差し引いた私の計算です。

予想は4月8日に出したまま変わっていません。営業利益は、上期で通期の半分を少し超えたところまで来ています。下期に要る197億9,100万円は、前年の下期より4割近く少ない額です。純利益は6割減らす形になります。

システムの一時費用が6月で終わったなら、下期は軽くなりそうなものです。……なぜここまで低く見込むんだろう。理由は決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。

私はどう受け取ったか

私は、上期の減益は金利ではなく、主に費用の側から来たものだと考えています。理由は、金融収益と金融費用がほぼ同じだけ増えていて、利益を削ったのは販管費とシステムの一時費用だからです。

心配性なので、気になっているのは預金のほうです。預金が減り、現金を取り崩して貸出を伸ばし、社債で手当てをしています。この流れが下期も続くなら、金利の重さが損益に出てくるのはこれからかもしれません。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.aeonfinancial.co.jp/-/media/AeonGroup/Aeonfinancial/Files/ir/library/tanshin/2026/tanshin261009.pdf?sc_lang=ja-JP

下期の営業利益を前年より4割近く少なく見込んだ理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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