フジ(8278)2027年2月期 中間決算分析――現金の減りは日付のずれと読みました

フジ(8278)2027年2月期 中間決算分析――現金の減りは日付のずれと読みました 決算を読む

はじめに

中国・四国地方と兵庫県で、食品スーパーを営んでいる会社です。店の看板は「フジ」「マルナカ」「マックスバリュ」などで、イオンのグループに入っています。

売り場の大半は食品です。野菜、魚、総菜、米、酒と、毎日の夕飯の材料が並びます。客の多くは近所に住み、週に何度も通う人たちです。車を持たない高齢の方向けに、商品を積んだ車で地域を回る移動スーパーも走らせています。

客は値札を見比べて店を選びます。少し高いだけで、隣の店へ行かれてしまう商売です。

本業の儲けが半分になり、最終利益だけが増えた半年

2026年10月8日に出た中間決算です。3月から8月までの半年分になります。

今回前年同期増減率
営業収益3,980億6,900万円4,085億4,200万円△2.6%
営業利益22億9,100万円45億100万円△49.1%
経常利益25億1,800万円53億5,600万円△53.0%
純利益31億900万円26億4,500万円+17.6%

本業の利益は半分に減りました。それなのに、最後の行だけが増えています。

純利益を押し上げたのは、退職金制度の移行でした

損益計算書の特別利益に「退職給付制度移行益」という行があり、金額は33億8,600万円です。これは、今回の純利益31億900万円より大きい額です。

この分を外すと、どうなるかを計算しました。税金を引く前の利益は49億2,200万円です。ここから33億8,600万円を引くと、15億3,600万円が残ります。前年の同じ利益は34億4,000万円でした。つまり、この一行が無ければ、最終の段階でも半分以下に減っていたことになります。

貸借対照表の側にも、この移行の跡があります。純資産の中の「退職給付に係る調整累計額」が、半年で28億6,100万円減りました。損益計算書に出た利益の大半は、純資産の別の欄から移ってきた形です。そのため、純資産の合計は半年でほとんど変わっていません。包括利益で比べると、今回は11億7,300万円で、前年の30億3,300万円を下回っています。

営業キャッシュ・フローのマイナスは、締め日の曜日で説明が付きました

キャッシュ・フロー計算書まで進んで、手が止まりました。営業活動のキャッシュ・フローが5億8,600万円の支出です。前年の同じ時期は369億5,200万円の収入でした。……いや、これは変だ。スーパーは現金で売って、仕入れの支払いはあとに回す商売です。本業で現金が出ていくことは、まずありません。

短信の5ページ目に、会社の説明があります。前の期末が金融機関の休業日で、仕入れ代金の支払いが今期にずれ込みました。そのため仕入債務が87億3,000万円減った、という内容です。2026年2月28日は土曜日でした。本来は2月中に払うはずの代金が、3月に入ってから出ていったことになります。

ここで前年のほうが気になって、カレンダーを確かめました。

前年の中間期今回の中間期
期首の日2025年2月28日(金)2026年2月28日(土)
中間期末の日2025年8月31日(日)2026年8月31日(月)
仕入債務の増減264億8,300万円の増加87億3,000万円の減少
営業キャッシュ・フロー369億5,200万円の収入5億8,600万円の支出

曜日はカレンダーで確かめたもので、残りの2行は短信のキャッシュ・フロー計算書の数字です。

前年は、締めの日のほうが日曜日でした。8月末に払うはずの代金が9月にずれて、手元に残っていたことになります。前年の369億円は膨らんだ数字で、今年の5億円の支出はへこんだ数字です。前年の膨らみについて、今回の短信は何も触れていません。ただ、曜日の並びを見る限り、両方の年がそれぞれ逆向きにずれています。

現金と預金は半年で184億6,600万円減りました。ここには、長期借入金の返済102億7,300万円も含まれています。私は、資金繰りが苦しくなった跡とは受け取っていません。

会社の説明は、売上が減った理由をよく拾っています

短信の説明文によると、営業利益が減った理由は主に2つです。建て替えや改装のための休業と閉店で、一時的に売上が落ちたこと。もう1つは、前年に米がよく売れた反動です。

説明会資料には、もう一段細かい数字があります。休業9店舗と閉店3店舗で、単体の売上が41億円減りました。既存店では、米の売上が28億6,600万円減っています。いずれも説明会資料の数字です。粗利が減った理由として、仕入れの値段が上がり、値入れを圧迫したとも書いてあります。

良い数字もあります。改装した店の売上は前年より5.2%増え、移動スーパーも8.1%増えました。販売費及び一般管理費は2.7%減っています。

会社は「第2四半期以降は改善基調」と書いています。7月9日に出た第1四半期の短信では、3か月の営業利益は3億9,100万円でした。今回の22億9,100万円からこれを引くと、6月から8月の3か月で19億円を稼いだことになります。歩幅は確かに大きくなりました。ただ、前年の同じ3か月を私はまだ確かめていないので、季節の要因でどこまで説明できるかは分かりません。

通期予想は、ほとんどを後半に積んでいます

中間期の実績通期予想残り半年に必要な額
営業収益3,980億6,900万円8,250億円4,269億3,100万円
営業利益22億9,100万円170億円147億900万円
純利益31億900万円70億円38億9,100万円

予想は4月7日に出したものから変わっていません。営業利益は、半年を終えて1割強しか進んでいません。中間期の22億9,100万円を、通期予想の170億円で割った私の計算です。残りの半年には、前年の同じ半年の2倍を超える額を置いています。

147億900万円を2で割ると、1四半期あたりおよそ73億5,000万円です。6月から8月に稼いだ19億円の、4倍に近い額になります。

私はどう読んだか

現金が減ったことは心配していません。理由は、前年と今年で締め日の曜日がちょうど逆向きにずれていて、仕入債務の動きでほぼ説明が付くからです。

引っかかったのは営業利益の予想のほうです。私は、後半に利益をかなり重く積んだ予想だと考えています。休業している店が順に戻り、年末の書き入れ時がある後半に利益が厚くなるのは、スーパーとしては自然です。それでも、いまの歩幅の4倍近くを毎四半期続けるには、粗利率の戻りはまだ足りない、というのが私の読みです。

会社は予想を据え置きました。何か良い材料を見込んでいるはずです。上がるかどうかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.the-fuji.com/company/ir/doc/library/2026/20261008_tanshin_jp.pdf

退職給付制度移行益の33億8,600万円が、4月7日の通期予想にもともと含まれていたのかは、私が読んだ範囲の短信と説明会資料からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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