はじめに
コジマは郊外型の家電量販店です。関東を中心に、車で行く大きな店を構えています。店の看板には「コジマ×ビックカメラ」とあり、ビックカメラのグループに入っています。
売っているのは、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、スマートフォン、パソコン、ゲーム機です。家電は、壊れたときや引っ越しのときに、まとめて買うことが多いものです。エアコンは買って終わりではありません。取り付け工事があって、それが済んでやっと冷えます。この「工事」が、今回の決算を読み解く鍵になりました。
店舗のほかに、ネット通販と法人向けの販売、住宅設備の工事も手がけています。
増収増益で、期初の計画も超えました
10月8日に出た、2026年8月期の通期決算です。
| 今回 | 前年 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,976億3,200万円 | 2,827億9,000万円 | +5.2% |
| 営業利益 | 86億2,200万円 | 73億2,500万円 | +17.7% |
| 経常利益 | 89億1,100万円 | 77億3,200万円 | +15.3% |
| 純利益 | 55億2,900万円 | 47億900万円 | +17.4% |
売上が5%伸びて、利益は2割近く増えています。期初の計画は売上2,940億円、営業利益82億円で、どちらも上回りました。この計画の数字は、同じ日に出た決算補足説明資料に載っています。
現金は、利益の伸びよりずっと大きく増えました
短信の後ろのほう、キャッシュ・フロー計算書で手が止まりました。
本業で入ってきた現金、つまり営業キャッシュ・フローは、39億8,100万円から118億5,100万円へ増えています。3倍近くです。利益の伸びは2割弱なので、差が大きすぎます。前年と並べて、どの行が動いたのかを確かめました。
| 営業キャッシュ・フローの内訳 | 2025年8月期 | 2026年8月期 |
|---|---|---|
| 税引前当期純利益 | 65億9,500万円 | 82億1,900万円 |
| 売上債権の増減 | △8億9,300万円 | 7億4,200万円 |
| 棚卸資産の増減 | △16億4,200万円 | △8億2,100万円 |
| 仕入債務の増減 | △3億1,800万円 | 7億1,500万円 |
| その他 | △13億2,300万円 | 27億5,400万円 |
| 営業キャッシュ・フロー | 39億8,100万円 | 118億5,100万円 |
表の数字は短信のキャッシュ・フロー計算書から取りました。プラスは現金が入った側です。
利益そのものの伸びは16億円ほどです。残りは、売掛金の回収や仕入代金の支払いの時期のずれ、それに「その他」の行で生まれています。とくに「その他」は、前年のマイナス13億円から、今年はプラス27億円に振れました。
「その他」の中にあったのは、工事待ちのお金でした
「その他」が何なのかは、貸借対照表の負債の側を見ると見当がつきます。
増えた負債のうち、目立つのは契約負債です。流動負債の契約負債は、69億5,300万円から85億4,400万円へ増えました。増えた額は15億9,100万円です。契約負債とは、代金は先に受け取ったのに、品物やサービスをまだ渡していない分のことです。短信の説明文も、この増加を負債が増えた主な要因の1つに挙げています。
その中身は、短信には書かれていません。補足説明資料のほうに「エアコン等の配送・工事未出荷分として増加」と書いてありました。
……そうか、お金はもらったが、まだ取り付けに行けていないのか。
補足説明資料は別の箇所で、6月以降のエアコンについて「工事キャパの逼迫」と書いています。工事の人手が足りず、待ってもらっている家が積み上がった。その代金が、先に現金として入っている。私はそう読みました。
これは悪いお金ではありません。客が先に払ってくれた、本物の現金です。ただ、この分は売上になる前の段階にあります。来期に工事を済ませれば、そこで売上に変わります。今期の現金の伸びの一部は、来期の売上の前受けだということになります。
減損が半分以下に減り、見慣れない損失が1つありました
税引前利益は前年より24.6%増えていて、経常利益の伸びより大きくなっています。理由は特別損失が減ったからです。
店舗の減損損失は、10億7,200万円から4億8,300万円へ減りました。その一方で、前年には無かった「災害による損失」2億900万円が今年は載っています。どの災害なのかは、短信には書かれていません。
会社の説明は、エアコンと2027年問題でした
短信の説明文によると、売上を押し上げたのはエアコンです。東京都の助成制度が拡充され、さらに東京以外の店でも「2027年問題」に伴う需要が高まった、と書いてあります。携帯電話、パソコン、ゲーム機も伸びました。
短信の品目別の表では、エアコンを含む季節家電が19.0%増、工事(住設含む)が23.2%増です。補足説明資料には、エアコン単体で前年比127.9という数字があります。
粗利の説明も短信にあります。粗利率の低い携帯電話やゲーム機が増えて押し下げたものの、高付加価値の商品を売って全体では上回った、という内容です。損益計算書を見ても、売上総利益は768億円から816億円へ増えていて、この説明と食い違いはありません。
一つ、気になる書き方がありました。補足説明資料は、エアコンについて「5月の需要先食い」と自分で書いています。ゲーム機も6月以降は低調だったそうです。今年の伸びの柱には、期限があったということです。私はこの説明を、そのまま受け取っています。都合の悪いことまで自分で書いているからです。
来期の予想は、ほとんど横ばいです
今期は8月で締まっているので、通期の予想に対する進み具合という話はもうありません。表紙には、来期の予想が出ています。
来期の予想は売上3,000億円、営業利益90億円です。売上の伸びは1%に届かず、営業利益は4%強の増加にとどまります。上期の営業利益予想は41億円です。補足説明資料によると、今期の上期は40億7,400万円でしたから、来期の上期は今期とほぼ同じ水準です。
通期の90億円から、上期の41億円を引きます。残る来期の下期は49億円です。これは私の引き算です。補足説明資料にある今期の下期は45億4,800万円なので、下期に少し伸びを見込んでいる形です。
配当は今期が29円で、来期の予想は30円です。短信の説明文によれば、会社は配当性向40%を目指す方針に変えています。
私はどう読んだか
今期の決算は、良い内容だと考えています。利益も本物です。理由は、増えた利益が特別利益や営業外の一時的な収入から出ているのではなく、粗利が増えたという本業の側から出ているからです。現金もそれ以上に増えていて、利益と現金の向きがそろっています。
そのうえで、来期の予想の小ささは、エアコンの波が一巡することを正直に織り込んだ数字だと私は読みました。今期の現金には、工事を待っているエアコンの代金が15億円ほど含まれています。来期の売上の一部は、すでに口座に入っているわけです。
心配性なので、下振れの側から考えます。2027年問題は、名前のとおり期限のある需要です。その期限が過ぎたあと、エアコン以外の何が売上を支えるのか。今回の資料からは、まだ見えません。上がるかどうかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.kojima.net/corporation/ir/pdf/settlement20261008_1.pdf
「災害による損失」2億900万円がどの災害によるものかは、短信と、補足説明資料の私が目を通した範囲からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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