エービーシー・マート(2670)2027年2月期 中間決算分析――円安を除いた伸びが気になる

エービーシー・マート(2670)2027年2月期 中間決算分析――円安を除いた伸びが気になる 決算を読む

はじめに

駅前やショッピングセンターでよく見かける靴の専門店です。スニーカー、革靴、子どもの通学靴、サンダルまで、ほかのメーカーの靴を仕入れて並べる売り方が中心です。

客層は広いです。子どもの足が大きくなるたびに買い替える親、走り始めた会社員、旅行で日本に来て人気のスニーカーを探す人も来店します。大型店では靴の横にスポーツ用の服も並べていて、スポーツ用品店の「オッシュマンズ」も子会社です。

国内のほか、韓国と台湾にも多くの店を持っています。韓国では、今年の夏に現地の靴店チェーンを引き継ぎました。

売上も利益も、そろって6〜7%増えました

2026年10月7日に出た中間決算です。期間は3月から8月の半年です。

今回前年同期増減率
売上高2,022億9,800万円1,901億3,200万円+6.4%
営業利益361億3,100万円336億4,400万円+7.4%
経常利益379億7,100万円359億2,400万円+5.7%
純利益259億3,100万円243億3,600万円+6.6%

経常利益だけ伸びが小さい理由は、損益計算書で分かります。前年は有価証券売却益が11億7,600万円ありましたが、今回はありません。本業の話ではないので、ここは気にしていません。

同じ日に通期予想も引き上げています。

国内の店を押し上げたのは、円安で来た旅行客でした

半年の営業利益のほとんどは国内で稼いでいます。

売上高前年比セグメント利益前年比
国内1,463億4,200万円+4.8%318億7,500万円+5.0%
海外586億9,200万円+10.8%42億9,900万円+31.5%

海外の利益は3割増えていますが、額は国内の8分の1ほどです。

引っかかったのは、伸びの理由として会社が挙げている言葉です。国内の既存店が4.5%増えた理由について、添付資料の2ページには「円安の進行によりインバウンド売上が好調だったことから」とあります。韓国も台湾も、旅行客の需要が理由に並びます。

米国にいたっては「9円円安だったことから」の5.4%増です。米国の子会社は革靴を作って売っていて、円に直すときの換算の差がそのまま増収になった、と読めます。

海外の子会社はどれも12月決算で、今回連結されているのは1月から6月の数字です。日本の店とは2か月ずれています。

円安がいくら押し上げたのか、その金額は決算短信には書かれていません。

靴の店で、服がいちばん伸びています

品目ごとの表も添付資料に載っています。

品目前年同期今回前年比
スポーツ1,073億3,500万円1,129億5,900万円+5.2%
レザーカジュアル220億9,700万円238億4,700万円+7.9%
キッズ161億2,100万円178億1,200万円+10.5%
サンダル148億4,100万円146億2,300万円△1.5%
レディース85億700万円81億900万円△4.7%
ビジネス46億6,900万円45億2,300万円△3.1%
ウェアその他130億7,500万円169億3,700万円+29.5%

売上全体の増加は121億6,600万円です。そのうち「ウェアその他」が38億6,200万円で、増えた分の3割ほどを服が占めています。靴の店の増収の3割が服、というのは意外に大きい比率です。

会社は説明文で、手を使わずに履けるサンダルの需要が「急速に拡大」したと書いています。それなのにサンダルの品目は前年を少し下回っています。……書いてあることと表が合わない。高い商品が伸びて、安い商品が減ったのかもしれません。内訳は決算短信からは分かりません。

売上ほどは、粗利が増えていません

損益計算書を前年と並べると、もう一つ気づくことがあります。

売上総利益は976億7,900万円から1,029億800万円へ増えています。増えた額は52億2,900万円です。前年の額で割ると伸びは約5%で、売上の6.4%に届きません。これは私の割り算です。粗利の伸びが売上の伸びより小さいので、売上に対する粗利の率が少し低くなった、ということです。

それでも営業利益の率は17.7%から17.9%へ良くなっています。販管費の増え方が、粗利よりさらに小さかったからです。地代家賃も人件費も増えていますが、売上ほどには増えていません。

粗利の率がなぜ低くなったのかは、決算短信には書かれていません。服の比率が増えたことと関係があるのか、私には読み取れませんでした。

支払いを延ばさずに、前年並みの現金を稼いでいます

添付資料9ページのキャッシュ・フロー計算書です。営業キャッシュ・フローは212億100万円から219億9,700万円へ、少し増えています。

前年同期今回
棚卸資産の増加125億4,700万円89億8,500万円
仕入債務の増加100億4,400万円18億5,900万円
売上債権の増加46億3,500万円18億3,800万円
営業キャッシュ・フロー212億100万円219億9,700万円

前年は在庫を大きく積んでいましたが、仕入先への支払いを後ろへずらして、その分の現金をまかなっていました。今回は支払いの後ろ倒しがほとんどありません。それでも現金の入りは前年を超えています。

在庫は半年で100億円余り増えていますが、会社は仕入の増加によるものと説明しています。前年のほうが積み方は大きかったので、ここは心配していません。

投資では、靴店チェーンの引き継ぎに40億800万円を払っています。のれんは6,300万円から15億4,500万円になりました。

会社はどう説明しているか

会社の説明は短くまとまっています。今回の引き上げは「上半期の期初計画の上振れ分」だけです。下期の国内店舗の売上計画は、期初のまま据え置いています。

下期の悪い材料も、自分で2つ挙げています。物価の上昇で財布のひもが固くなること。11月から免税制度がリファウンド方式に変わることです。旅行客が店で税抜きの値段で払う仕組みから、いったん税込みで払い、出国のときに戻してもらう仕組みに変わります。

上期を押し上げた旅行客の需要に、下期は手続きの変更が入ります。下期の計画を動かさなかったのは、その影響をまだ測りかねているからだと考えています。この説明は、そのまま受け取っています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想上期まで進み具合残り半年に必要な額前年の下期比
売上高4,030億円2,022億9,800万円約50%約2,007億円約+6.4%
営業利益672億円361億3,100万円約54%約311億円約+4.8%
経常利益698億円379億7,100万円約54%約318億円約+1.8%
純利益477億円259億3,100万円約54%約218億円約△1.2%

約の付いた数字は、通期予想から上期の実績を引き、前期の実績と比べて私が出したものです。

営業利益の予想は656億円から672億円へ引き上げられました。利益はどれも半分を超えて進んでいます。

残りの半年で必要な純利益は、前年の下期をわずかに下回る額です。上期が7%近く伸びたことを考えると、控えめな数字です。

私はどう読んだか

上期の伸びには、円安と旅行客に乗った分がかなり入っています。国内の既存店も、韓国も、米国も、会社自身がそう書いています。

そのうえで、私は、下期の予想は控えめに見積もられた数字だと考えています。理由は、上期に国内を押し上げた旅行客の分を、会社が下期の計画に足していないからです。服の伸びと、支払いに頼らない現金の稼ぎ方は、為替とは別の話です。

心配性なので、11月からの免税の変更は気にしています。旅行客の買い方が変わるかどうかは、次の決算を待つしかありません。上がるかは知りません。

表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、円安の影響額はそちらに出ているのかもしれません。私はまだ開いていません。

出典

出典:決算短信(会社発表)

お問い合わせ | エービーシー・マート
靴ブランド総合シューズショップ 『 ABC MART 』 を運営する会社のサイトです。Hawkins、VANS、NUOVO、会社概要や IR 情報を掲載しています。

円安が上期の売上と利益をそれぞれいくら押し上げたのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました