ヤマシタヘルスケアホールディングス(9265)2027年5月期 第1四半期決算分析――減益が気になる

ヤマシタヘルスケアホールディングス(9265)2027年5月期 第1四半期決算分析――減益が気になる 決算を読む

はじめに

九州で病院やクリニックに医療機器を納めている卸の会社です。本体は持株会社で、中心にいるのは医療機器を販売する子会社です。

扱っているものは大きく2つに分かれます。1つはMRIやCT、超音波の診断装置、内視鏡や腹腔鏡の手術システムのような、病院が何年かに一度まとめて買う設備です。もう1つは手術や検査のたびに使い切る消耗品で、カテーテルのような血管内治療の材料も入ります。買うのは病院の購買担当や診療科で、患者の目には触れません。ただ、手術室や検査室は毎日この会社の荷物で回っています。

ほかに、整形外科のインプラントを自社で作る小さな事業と、医療モールの賃貸があります。どちらも規模はごく小さく、この会社の決算はほぼ医療機器の販売で決まります。

売上はほぼ横ばい、利益は赤字に

2026年9月30日に出た第1四半期決算です。6月から8月の3か月にあたります。

今回前年同期増減率
売上高150億4,500万円150億7,800万円△0.2%
営業利益△1億3,100万円3,600万円―
経常利益△1億600万円6,700万円―
純利益△1億100万円△200万円―

売上は前年とほとんど変わりません。それでも営業段階で赤字に転じています。

伸びたのは消耗品、落ちたのは設備

短信の4ページ目に、販売事業の売上が分野ごとに載っています。

分野前年同期今回増減率
一般機器15億8,700万円12億5,000万円△21.2%
一般消耗品64億9,500万円68億1,500万円+4.9%
低侵襲治療34億7,600万円35億4,000万円+1.9%
専門31億7,600万円31億8,200万円+0.2%
情報・サービス3億5,500万円2億7,900万円△21.4%

消耗品は5%近く伸びています。手術や検査の件数が増えた分です。一方で、診断装置などの一般機器は2割減りました。病院が設備を買うのを控えた分です。合わせると、ちょうど打ち消し合って横ばいになっています。

ここまでは良くも悪くもない話でした。

利益は、販売事業と本社の両方で削れていた

引っかかったのは、同じ売上で利益がどれだけ残ったかです。セグメントの注記を前年と並べました。

前年同期今回
販売事業のセグメント利益3億5,700万円2億1,200万円
どの事業にも配っていない全社費用△2億4,800万円△3億1,100万円
営業利益3,600万円△1億3,100万円

販売事業の利益は4割減りました。売上がほぼ同じなのに、です。損益計算書を見ると、売上総利益は19億6,200万円から18億9,700万円へ減っていました。販売費及び一般管理費は19億2,500万円から20億2,900万円へ増えています。粗利が6,500万円減り、経費が1億400万円増えました。営業利益は3,600万円の黒字から1億3,100万円の赤字へ動いています。その差の1億6,700万円は、粗利の減りと経費の増えを足すとほぼ説明できます。

粗利が減った理由は、売れたものの顔ぶれにあると考えています。消耗品が増えて設備が減っても、売上の合計は変わりません。ただ、粗利の総額が落ちている以上、この3か月は稼ぎの薄い品目の比率が上がっていた、と私は受け取りました。

もう1つ、本社側の費用が6,300万円増えています。どの事業にも配らない管理部門の費用です。何に使ったのかは、決算短信には書かれていません。

現金が半分以下になった理由

貸借対照表では、現金及び預金が3か月で41億2,700万円から19億1,800万円へ減っていました。この短信はキャッシュ・フロー計算書を作っていないので、動いた科目を並べて自分でたどりました。

5月末8月末
現金及び預金41億2,700万円19億1,800万円
電子記録債務77億3,300万円58億5,400万円
短期借入金―10億円
商品35億6,200万円41億2,000万円
建設仮勘定8億6,200万円14億2,100万円
賞与引当金5億3,100万円1億2,700万円

いちばん大きいのは、仕入先への支払いです。電子記録債務が18億7,800万円減っています。会社は、前期末に積み上がっていた仕入代金が期日を迎えたと書いていて、その支払いに充てるために10億円を短期で借りています。夏の賞与もこの3か月に出ていきました。

配当も出ています。利益剰余金は3億7,400万円減っています。このうち純損失の1億100万円を除くと、残りは約2億7,300万円です。この額は、前期の期末配当107円に株数を掛けた額とほぼ合います。これは私の引き算です。

鳥栖の物流センターの増改築と、自動倉庫などの導入で、建設仮勘定も5億5,900万円増えました。

期末の支払いの山、賞与、配当、物流への投資。どれも毎年この季節に来るか、会社が決めて使ったお金です。現金の減り方そのものは、事情が分かる種類のものでした。

……ただ、商品の在庫が5億5,800万円増えているのは別の話だ。売上が横ばいの3か月に、なぜ在庫が増えたのか。これは決算短信には書かれていません。

会社の説明

会社は、消耗品の需要は増えたが病院の設備投資が減った、と書いています。利益については、売上総利益の減少と人件費などの増加を理由に挙げています。

病院側の事情も書いてあります。人件費や光熱費、材料費が上がり続けていて、病院の収益が改善しきれず、設備や材料の購入に慎重だ、という説明です。売上の分野別の動きとは合っているので、ここはそのまま受け取ります。

気になるのは、人件費です。増えたことまでは短信にありますが、どれだけ増えたのか、一時的なものか続くものかは、短信からは分かりません。

通期予想まで、どこまで来ているか

7月13日に出した通期予想は変えていません。前期の通期の実績から前年の第1四半期を引くと、前年の残り9か月の数字が出ます。それと今年の必要額を並べました。

通期予想第1四半期残り9か月に必要な額前年の残り9か月
売上高697億9,400万円150億4,500万円547億4,900万円約490億7,100万円
営業利益8億3,300万円△1億3,100万円9億6,400万円約7億100万円

約の付いた数字は、前期の通期実績から前年の第1四半期を私が引いたものです。営業利益なら、前期の通期実績の7億3,700万円から、前年の第1四半期の3,600万円を引きました。残りが7億100万円です。

前年も第1四半期は3,600万円しか出ていませんでした。夏が薄いのはこの会社の季節の癖で、今回の赤字だけで慌てる話ではありません。

それでも、前年に7億100万円稼いだ9か月で、今年は9億6,400万円が要ります。売上も、前年の同じ9か月より1割あまり多く売る前提の予想です。なぜ伸びるのかは、決算短信には書かれていません。

私はどう読んだか

私はこの決算を悪いほうに読んでいます。現金の減りより、利益の減り方のほうが重いと考えています。理由は、現金の動きは支払日と賞与と配当でほぼ説明が付くのに対して、利益の減りは売上が変わらない中で起きているからです。

消耗品が伸びても販売事業の利益は4割減り、本社の費用は増えました。残り9か月には9億6,400万円が要り、前年の同じ期間は7億100万円でした。前年より2億6,000万円ほど多く稼ぐことになります。この組み合わせのまま残り9か月に入って、その上積みが出る絵は、私にはまだ見えていません。大きな設備の納入が秋以降に固まっているのなら話は変わります。そこは短信の外です。

上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.yhchd.co.jp/ir/kt-202705q1.pdf

売上が横ばいの3か月に在庫が5億5,800万円増えた理由と、残り9か月で売上が1割あまり伸びる前提は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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