はじめに
スタメンは「TUNAG(ツナグ)」というクラウドサービスを提供している会社です。何をするものかというと、社内の情報共有や、従業員同士のやり取りを載せる場所を企業に貸すサービスです。特に工場や物流、小売、介護のように、パソコンの前に座っていない従業員が多い職場で使われています。現場の人たちは会社のメールもイントラも見ない。そこに連絡や制度を届ける道具として入っていく、という商売です。
もうひとつ、「FANTS(ファンツ)」というオンラインコミュニティの運営基盤も持っています。オンラインサロンの主宰者向けに、会員管理や課金の仕組みを提供するものです。どちらも月額で使ってもらう、いわゆる積み上げ型の事業です。
8月14日に出た中間決算は、通期予想と配当予想の引き上げが同時に付いてきました。1ページ目は文句のない出来です。ただ、最後まで読むと、話はもう少し込み入っています。
この決算で何が起きたか
まず業績の表です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,284 | 1,713 | +33.4% |
| 営業利益 | 232 | 108 | +115.3% |
| 経常利益 | 237 | 112 | +110.3% |
| 純利益 | 158 | 72 | +119.3% |
(単位:百万円)
売上が3割強増えて、利益は2倍強。営業利益率は前年同期の6.3%から10.2%へ上がりました。売上の伸びより費用の伸びが緩やかだった、教科書どおりの形です。
最初の表では分からなかったこと
現金が入ってくるようになった
私がこの短信でいちばん大事だと思ったのは、損益計算書ではなくキャッシュ・フロー計算書のほうです。営業キャッシュ・フローが171,284千円の獲得。前年同期は174,091千円の使用でした。利益が出ているだけでなく、現金として入ってくるようになった、ということです。
中身を見ると、理由が分かります。前年同期は売上債権が190,108千円増えていました。売上は立ったが、まだ回収できていないお金がそれだけ積み上がったわけです。今回はその増え方が21,653千円で済んでいます。売上は3割強伸びているのに、です。……売る勢いに回収が追いついてきた、と読める。
単価は動いていない
会社の説明文には、TUNAGの利用企業数が1,460社、前年同期比265社増と書かれています。ただ、同じ段落にこうも印字されています。平均MRR(月あたりの利用料)は199千円、前年同期比0千円減。
つまりこの半年の増収は、件数の積み上げで作られていて、1社あたりの単価は横ばいです。会社は「TUNAG GRAND」というコンサルティングや「TUNAG AX」というAIの新サービスを始めたと書いていますが、それが単価を押し上げたところまでは、まだ数字に出ていません。悪い話ではありませんが、伸びの質としては覚えておきたい一点です。
貸借対照表に引っかかった1行
6ページ目の貸借対照表に、「役員に対する長期貸付金 532,500千円」という行があります。1年内回収予定の15,000千円と合わせると、総資産2,539,377千円の会社としては小さくない金額です。キャッシュ・フロー計算書には貸付金の回収による収入2,500千円があり、返済は進んでいるようですが、この貸付の金利や目的、経緯は、短信のどこにも書かれていません。
これが問題だと言いたいのではありません。判断できる材料が短信の中に無い、という話です。判断できないものが総資産の中にこの大きさで座っている。それ自体を書いておきます。
もうひとつ小さいところで、「商品」が7,917千円から27,523千円に増えています。クラウドサービスの会社で商品在庫が増えるのは少し珍しい。何の在庫かは書かれていませんでした。
会社はどう説明しているか
会社は増収増益の理由を、Webマーケティングの強化、カスタマーサクセスの強化、金融機関やパートナー企業との連携による販路拡大、そして新サービスの展開と説明しています。件数の伸び(TUNAG265社増、FANTS253件増)はその説明と合っています。
私はこの説明を、おおむねそのまま受け取りました。件数が伸びて、費用の伸びがそれより緩く、現金も付いてきている。数字が説明を裏切っていません。留保を付けるとすれば、先に書いたとおり、単価が動いていない点だけです。
通期予想に対して、どこまで来ているか
| 項目 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5,155 | 44.3% |
| 営業利益 | 550 | 42.2% |
| 純利益 | 366 | 43.2% |
(単位:百万円)
折り返し地点の目安を5割とすると、どの段も少し手前です。ただしこれは、本日引き上げたあとの予想に対する進捗です。会社は半分に届いていない進捗を見た上で、予想を上に動かした。残り6ヶ月には、売上で36.3%増、営業利益で73.4%増のペースが求められます(この残り6ヶ月の数字は、通期予想から中間実績を引いたものです)。利益のほうはかなり強気な置き方です。
配当予想も、期末8円から10円に引き上げられました。予想配当性向は24.0%です。
私はどう読んだか
私は良いほうに寄せて読んでいます。理由は、営業キャッシュ・フローの中身です。前年同期に現金を食っていた売上債権の増え方が収まり、利益がそのまま現金になる形に変わってきた。増収増益の決算は世の中にたくさんありますが、現金の入り方まで改善している決算は、そう多くありません。読み違いかもしれませんが、この半年の変化は本物に見えます。
引っかかりは2つ残ります。単価が動いていないことと、役員への貸付。特に後者は、次の開示でも同じ行を見に行くつもりです。
出典:決算短信(会社発表)

役員に対する長期貸付金の金利・目的と、「商品」が増えた中身は、短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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