NaITO(7624)2027年2月期 中間決算分析――上期の伸びは前倒しだと読みました

NaITO(7624)2027年2月期 中間決算分析――上期の伸びは前倒しだと読みました 決算を読む

工場で毎日すり減る刃物を、問屋として届ける会社です

NaITOは機械工具の専門商社です。自社では作らず、メーカーから仕入れて、町工場や部品工場に届けます。

いちばん大きいのは切削工具です。金属の塊を削って部品の形にするとき、工作機械の先端に付けるドリルやエンドミルのことです。使えば刃がすり減るので、工場は定期的に取り替えます。ほかにも、削った部品の寸法を確かめる測定器や、工場の設備そのものを扱っています。

決算短信の説明文では、商品を2つに呼び分けています。消耗品が「流れ品」、設備の案件が「スポット品」です。流れ品は毎月決まって出ていくもので、スポット品は工場が設備を入れ替えるときにだけ出ます。

私の勤め先も部品メーカーなので、工具の値上げの案内がどういう時期に回ってくるかは、なんとなく知っています。今回の決算は、まさにその値上げの話でした。

上期の営業利益は、前年の4倍になりました

2026年9月28日に出た中間決算です。対象は3月から8月までの6か月です。

項目今回前年同期増減率
売上高256億4,000万円217億500万円+18.1%
営業利益8億2,100万円2億700万円+296.5%
経常利益8億6,300万円2億2,900万円+276.9%
純利益5億9,000万円1億5,000万円+293.4%

売上は2割近く増え、利益はどれも4倍前後です。ただ、前年同期の営業利益は2億700万円しかありませんでした。比べる元が小さいことは、頭に置いておきます。

増えた粗利が、ほとんどそのまま利益に残っています

損益計算書を開くと、伸び方の形が分かります。売上総利益は25億9,800万円から34億2,100万円になりました。増えた額は8億2,300万円です。販売費及び一般管理費の増加は2億900万円です。粗利の増加8億2,300万円から、販管費の増加2億900万円を引きます。残りは6億1,400万円です。営業利益は2億700万円から8億2,100万円に増えているので、その増えた額とほぼ同じになります。

粗利の厚みも増しています。売上総利益を売上高で割ると、前年同期は約12.0%、今回は約13.3%です。これは私の割り算です。問屋の商売で1ポイント以上の差は、小さくありません。

なぜ粗利率が改善したのかは、決算短信には書かれていません。メーカーが値上げする前に仕入れた在庫を、値上げ後の値段で出せば、その間だけ粗利は厚くなります。今回の改善にはその分が含まれているかもしれない、と私は考えました。

伸びたのは切削工具と計測で、設備はほぼ前年並みです

短信の4ページ目に、商品分類ごとの売上が載っています。

取扱商品分類売上高前年同期比
切削工具140億4,700万円+29.3%
計測23億8,800万円+25.8%
産業機器・工作機械等92億400万円+2.9%
合計256億4,000万円+18.1%

伸びは消耗品の側に偏っています。設備案件の多い産業機器・工作機械等は、ほぼ横ばいです。

引っかかったのは計測です。会社が挙げている理由は、切削工具メーカーの価格改定と、原料のタングステンをめぐる供給不安です。どちらも刃物の話で、測定器が4分の1伸びた理由は決算短信には書かれていません。説明文の「等」の中に含まれているのだと思いますが、中身は分かりませんでした。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書は載っていませんでした

私がいつも最後に確かめる表が、今回はありません。添付資料の目次にも、その項目は見当たりません。現金の出入りは、貸借対照表の差から追うしかありません。

科目2月末8月末
現金及び預金8,200万円5億9,000万円
短期借入金1億100万円なし
受取手形及び売掛金57億3,300万円56億6,300万円
電子記録債権31億8,500万円37億4,000万円
棚卸資産50億9,300万円50億5,100万円
買掛金35億1,100万円37億円

2月末の手元資金は8,200万円でした。年に数百億円を売る会社としては、かなり薄い水準です。それが8月末には5億9,000万円になり、短期借入金はなくなりました。この間に、配当金として2億1,900万円を払ったうえでの数字です。

もう1つ、前倒しの注文が来ているわりに、在庫が積み上がっていないことが分かります。棚卸資産は半年でほとんど変わっていません。……入った工具が、そのまま出ていっている。

ここまでは貸借対照表の数字です。上期の利益は現金を伴っていた、と私は受け取りました。ただ、営業キャッシュ・フローの金額そのものは、この短信からは出せません。

会社は、値上げと前倒しだと書いています

短信の4ページ目で、会社は売上が増えた理由をこう書いています。主力の切削工具メーカーによる価格改定と、供給不安からくる「需要の前倒し」です。

背景として挙げているのは、中国の戦略鉱物の輸出管理です。切削工具の主要な原材料であるタングステンの価格が高い水準にあり、供給にも不安がある、としています。値上げの前に、欲しい分を確保しておこうとした工場が多かったわけです。

一方で、設備投資は省人化・自動化や半導体関連を中心に持ち直している、とも述べています。それでも産業機器・工作機械等の伸びは3%に届いていません。上期の伸びを引っ張ったのは、設備ではなく消耗品のほうでした。

私はこの説明をそのまま受け取ります。理由は、「前倒し」という言葉を会社が自分で選んでいるからです。先食いを自分から認める例は、あまり多くありません。

下期の売上は、ほぼ前年並みと置かれています

通期予想に対して、売上は半分を少し超え、営業利益は3分の2まで来ています。進み方だけなら順調です。

上期 実績下期(通期予想から上期を引いた額)
売上高256億4,000万円223億6,000万円
営業利益8億2,100万円4億2,900万円
売上高営業利益率3.2%約1.9%

約の付いた数字は、下期の営業利益を下期の売上高で割って私が出したものです。

下期の売上は、前年の下期より2.5%多いだけという予想です。上期の2割近い伸びは続かない前提で、利益も上期の半分ほどに落ちます。それでも前年の下期と比べれば、営業利益は2倍を超えます。

この予想は、同じ日に修正されたものです。修正前の数字は、この短信には載っていません。同じ日に出た「業績予想の修正に関するお知らせ」を私はまだ開いていないので、どちらへどれだけ動かしたのかは分かりません。

私はどう読んだか

私は、上期の伸びの大半は前倒しと値上げによるものだと考えています。理由は、会社自身が下期の売上をほぼ前年並みと見込んでいるからです。前倒しで先に出た注文は、その後の注文を減らします。

財務の側に心配はありません。自己資本比率は73.0%で、借入金はなくなり、手元の現金は半年で7倍に増えました。

心配性なので、先に下期の粗利を見ます。値上げ前の在庫が出尽くしたあとも、13%台の粗利が残るかどうか。次の決算でいちばん確かめたいのはそこです。

出典:決算短信(会社発表)

https://naito.net/wp-content/uploads/2026/09/w5251.pdf

計測の売上が4分の1伸びた理由と、修正前の通期予想の数字は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました