はじめに
デルソーレは冷凍・冷蔵のピザを作っている会社です。強みは生地のほうにあって、ピザだけでなくナン、ピタパン、フォカッチャ、トルティーヤといった平たいパン全般を手がけています。スーパーの冷凍コーナーに並ぶ家庭用と、レストランやホテルの厨房に納める業務用の両方があり、売上の柱は業務用です。つまり、外食で出てくるピザやナンの生地を、名前の出ないところで支えている会社でもあります。
もうひとつ、たい焼きのテイクアウト店やレストランを直接運営する外食事業も持っています。百貨店や商業施設で「おめで鯛焼き本舗」という店を見かけたことがあれば、それがこの会社です。
そしてこの会社には、決算を読むうえで避けて通れない過去があります。2024年10月の千葉工場の火災です。今回のQ1は、その影響がどこまで抜けたのかを確かめる決算でした。
この決算で何が起きたか
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,963 | 3,411 | +16.2% |
| 営業利益 | 247 | 49 | +400.5% |
| 経常利益 | 278 | 14 | — |
| 純利益 | 206 | △9 | — |
(単位:百万円)
売上が16%ほど増えて、営業利益は5倍。純利益は赤字から黒字に返りました。1ページ目だけ見れば、文句のつけようのない表です。
最初の表では分からなかったこと
前年の経常利益14百万円は、火災で潰れた数字だった
損益計算書まで行くと、前年同期の営業外費用に操業停止関連費用69百万円が計上されています。注記によると、千葉工場の火災で一部設備が止まっていた間の減価償却費や休業手当を、営業外に振り替えたものです。さらに特別損失に火災損失30百万円。前年の経常利益14百万円と純損失9百万円は、この2つに押し潰された数字でした。
今回、この2つはどちらもゼロです。経常利益と純利益の劇的な改善は、稼ぐ力が急に付いたというより、火災の費用が消えたことがかなりの部分を占めています。
ただし、ここで引っかかったことがあります。営業利益は違う、という点です。操業停止の費用は営業外に振り替えられていたので、前年の営業利益49百万円は、火災費用を除いたうえでの49百万円でした。今回の247百万円との差は、火災費用の消滅では説明がつきません。……これは費用の話ではなく、売上の話だ。
営業利益を戻したのは食品事業の売上回復
セグメント情報を見ると、答えはそこにありました。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | 利益 |
|---|---|---|---|
| 食品事業 | 3,227 | +21.0% | 384 |
| 外食事業 | 743 | △1.0% | 42 |
(単位:百万円、内部売上を含むセグメント計)
食品事業の売上が2割増えて、利益が4倍以上になっています。前年の売上が△14.2%と大きく沈んでいた──会社の言葉を借りれば「火災の影響で一時的に失った販路、商品」があった──ところからの回復です。工場の固定費は売上が減っても残るので、売上が戻ると利益は勢いよく戻ります。営業利益率は前年同期の1.4%から6.2%へ。5倍という増益率の正体は、費用の消滅ではなく、失った売上が戻ってきたことのほうでした。
添付資料に、キャッシュ・フロー計算書がなかった
私はいつも添付資料のキャッシュ・フロー計算書まで読むのですが、この短信にはありませんでした。注記に「四半期キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とあります。四半期の作成は義務ではないので、責める話ではありません。ただ、現金及び預金が118百万円増えた一方で、商品及び製品も78百万円増えています。在庫の増加が販路回復に伴う前向きなものか、積み上がりなのかは、この短信からは判定できません。
細かいところでは、特別利益にゴルフ会員権売却益11百万円。金額は小さいですが、純利益206百万円のうちの一時的な部分として覚えておきます。
会社はどう説明しているか
会社は食品事業について、火災で失った販路と商品の復活・拡大を「最重要課題」と自分で書いています。増益を実力として誇る書き方ではなく、失地回復の途中だと認めている書き方です。ここは好感を持ちました。加えて、窯焼きクラストなどの高付加価値品、北海道の工場で作る高級冷凍ピザ、リトアニアと米国のパートナー品や輸出、と新しい柱の名前をいくつも挙げています。回復と並行して次の種を蒔いている、という説明です。この説明はそのまま受け取ってよいと思いますが、新しい柱の金額的な寄与は短信には書かれていません。
通期予想に対して、どこまで来ているか
通期予想は5月発表から変更なしです。
| 項目 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|
| 売上高 | 16,000 | 24.8% |
| 営業利益 | 700 | 35.3% |
| 純利益 | 400 | 51.5% |
(単位:百万円)
売上はちょうど4分の1。目安どおりです。一方で営業利益は3分の1を超え、純利益に至っては1四半期で半分を超えました。残り9ヶ月に必要な純利益は194百万円──今回1四半期で稼いだ額より少ない計算です。数字の上では予想は保守的に見えます。ただ、前年は下期に何があったのかを私はまだ読んでいないので、季節性で説明がつくのかもしれません。据え置きは、失った販路の回復がどこまで続くか、会社自身がまだ見極めている途中とも読めます。
私はどう読んだか
「実力での急成長」と「火災からの失地回復」の2つの読み方があります。私は後者、回復に寄せて読んでいます。理由は、会社自身が販路の復活を最重要課題と書いていることと、増益の中心が前年に沈んだ食品事業の売上の戻りだからです。ただし回復だとしても、営業利益率6.2%が火災前の水準と比べてどうなのかは、この短信一枚では分かりません。実力の上積みが混ざっている可能性はあり、私の読み違いかもしれません。次の四半期で、前年の沈みがない期に対してどれだけ伸びるかを見れば、答えが出ます。
出典:決算短信(会社発表)
四半期キャッシュ・フロー計算書が作成されておらず、利益の裏で現金がどう動いたのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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