日本取引所グループ(8697)2027年3月期 第1四半期決算分析――市場の売買の量で決まった決算と読みました

日本取引所グループ(8697)2027年3月期 第1四半期決算分析――市場の売買の量で決まった決算と読みました 決算を読む

株の売買が成立するたびに、手数料が入る会社です

東京証券取引所と大阪取引所をグループの中に持つ、取引所の会社です。証券会社が客の注文を市場に出して売買が成立すると、そのたびに取引所へ手数料が入ります。成立した取引を最後まで決済させる清算の仕事も、グループの中で引き受けています。

スマートフォンで株を1株注文したとき、その注文は証券会社を通って、この会社のシステムに届きます。ほかにも、上場する会社から受け取る料金や、取引の情報を配る料金があります。扱っている商品は、売買の場そのものです。

値段の話をしない私にとっては、少し妙な相手です。この会社の売上は、市場でどれだけ取引が行われたかで、ほぼ決まるからです。

売上が5割増えて、利益は7割増えました

2026年7月28日に出た、4月から6月の3か月の決算です。

項目今回前年同期増減率
売上高(営業収益)655億1,500万円434億5,100万円+50.8%
営業利益437億1,600万円252億3,300万円+73.3%
経常利益———
純利益295億6,700万円170億2,900万円+73.6%

国際会計基準で作られた短信なので、経常利益という区切りがありません。近い位置にある税引前利益は440億6,200万円でした。売上の伸びより利益の伸びのほうが大きい理由は、この表からは分かりません。

倍になったのは現物株の取引料で、先物はほとんど動いていません

短信の4ページ目と11ページ目に、売上の内訳があります。

項目前年同期今回増減率
取引料のうち現物117億4,400万円219億2,800万円+86.7%
取引料のうち金融デリバティブ24億3,400万円25億5,300万円+4.9%
取引料のうちコモディティ・デリバティブ3億2,500万円1億6,500万円△49.1%
清算関連収益106億6,500万円201億5,000万円+88.9%
新規・追加上場料4億1,600万円8億4,200万円+102.6%

現物、つまり株やETFの取引料がほぼ倍です。先物やオプションは1割も増えていません。日経平均先物の取引料にいたっては、前年より減っていました。……先物は静かだったのか。

清算関連収益もほぼ倍ですが、増えた理由は決算短信には書かれていません。現物の売買が増えれば決済する量も増えるので、同じ向きに動いたのだろうと私は受け取りました。

売上が220億円増えて、費用は42億円しか増えていません

引っかかったのは費用の側です。売上は、今回が655億1,500万円、前年が434億5,100万円です。差し引くと、220億6,400万円の増加です。営業費用は、今回が231億4,600万円、前年が189億300万円です。差し引くと、42億4,300万円の増加です。増えた売上のおよそ5分の1しか、費用に回っていません。

営業費用前年同期今回増減率
人件費54億3,200万円61億5,700万円+13.4%
システム維持・運営費51億1,900万円56億5,700万円+10.5%
減価償却費及び償却費44億9,000万円45億1,800万円+0.6%
その他38億6,000万円68億1,200万円+76.4%

現物の取引が倍になっても、システムの償却はほとんど変わりません。売上は売買の量で決まり、費用の多くは量と関係なく出ていく作りです。営業利益を売上で割った営業利益率が58.1%から66.7%へ上がったのは、この作りのためです。

その他の営業費用だけは8割近く増えています。30億円ほどの増加ですが、何に使ったのかは決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれません。私はまだ開いていません。

この短信にキャッシュ・フロー計算書は付いていませんが、現金の行き先は追えます

いつもどおり、キャッシュ・フロー計算書を探して後ろまでめくりました。注記には「作成しておりません」とあります。第1四半期では省略する会社が多く、珍しいことではありません。

代わりに貸借対照表を見ました。現金及び現金同等物は、3月末の1,104億7,100万円から、6月末には662億9,700万円になっています。295億円の利益が出た3か月で、441億7,400万円減ったことになります。……利益より、現金の動きのほうが大きい。

行き先は持分変動計算書に出ていました。前期末の配当の支払いが371億4,400万円、自己株式の取得が166億7,200万円です。未払法人所得税も234億400万円から144億6,600万円に減っていて、前期分の税金を納めたことが分かります。

配当と自己株式の取得だけで、3か月の利益を上回る額を株主に戻しています。その結果の減少で、資金繰りの話ではない、と私は受け取りました。

会社の説明は「何が増えたか」までです

説明文は短いものです。取引関連収益は、現物の売買が前年同期より多く、取引料が増えたことなどから増えた、とあります。上場の料金、情報を配る料金、指数の事業についても、どの項目が増えたかが並んでいます。

4月から6月になぜ売買が増えたのかは、決算短信には書かれていません。取引所は市場の売買を自分で増やせる立場ではないので、そこを書かないのは自然です。説明はそのまま受け取ります。

通期予想の3割まで来て、残り9か月は控えめな置き方です

表紙に通期予想が載っています。同じ日に予想を修正したとあります。ただ、修正前の数字は決算短信に載っていないので、どちら向きの修正だったのかは分かりません。

項目第1四半期 実績通期予想進み具合
営業収益655億1,500万円2,415億円約27%
営業利益437億1,600万円1,455億円約30%
親会社の所有者に帰属する利益295億6,700万円985億円約30%

進み具合は、第1四半期の実績を表紙の通期予想で私が割った数字です。1年の4分の1の時期に、利益は3割まで来ています。

前年と並べると、残り9か月の見込みが控えめなのが分かります。

営業利益第1四半期残り9か月通期
前年 実績252億3,300万円約910億円約1,163億円
今年437億1,600万円約1,018億円1,455億円(予想)

約の付いた数字は、私の計算です。前年の通期は、予想の1,455億円を表紙の増減率+25.1%で割り戻して出しました。残り9か月は、どちらも通期から第1四半期を引いたものです。

第1四半期は7割増しでしたが、残り9か月は前年の同じ期間より1割ほど多い、という見込みです。この予想は、株券等の1日あたりの売買の量が通期でどのくらいになるかを前提に置いて作られている、と短信に書かれています。

市場の売買に運ばれた3か月だと考えています

この決算は、市場全体の売買の多さがほぼそのまま数字になった3か月だ、という見方を私はしています。理由は、伸びたのが現物の取引料と清算で、先物やシステムの利用料はほとんど増えていないからです。

会社の努力が無いという意味ではありません。ただ、この3か月の7割増益を決めたのは、会社の外にある売買の量です。

費用の作りが、それを大きく見せました。量が増えた分が、ほとんどそのまま利益に残っています。心配性なので、量が減った四半期には同じ作りが逆に働くことを、先に考えてしまいます。この先どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260728/140120260727500171.pdf

第1四半期の市場全体の売買の量が、会社が前提に置いた水準より多かったのか少なかったのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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