大本組(1793)2027年3月期 第1四半期決算分析――受注予想の据え置きに引っかかった

大本組(1793)2027年3月期 第1四半期決算分析――受注予想の据え置きに引っかかった 決算を読む

岡山に本社を置く建設会社です。柱は建築と土木の2本です。建築は工場や倉庫といった民間の建物を、土木は道路や河川、防災の工事といった官公庁の仕事を主に請け負っています。地方に根を張ったまま、全国の現場に出ている中堅です。

建設業の決算は読みにくい種類のものです。工事は年をまたぎ、売上は進み具合に応じて立ちます。だから四半期の数字は、その3か月に何を売ったかより、前の期までに何を受注していたかで決まります。今回の短信も、3か月の業績より、いちばん後ろの受注の欄に引っかかりました。

この決算で何が起きたか

2026年8月5日に出た第1四半期の短信です。連結ではなく、単体の決算です。

項目今回前年同期増減率
売上高254億1,600万円166億4,300万円+52.7%
営業利益13億400万円2億4,900万円+423.1%
経常利益14億8,200万円4億600万円+264.9%
純利益9億8,200万円2億5,800万円+279.7%

増収率より増益率がはるかに大きく、この表だけでは何が起きたのか分かりません。

売上が88億円増えて、販管費は3,200万円しか増えていない

損益計算書(短信の6ページ目)を上から追うと、理由は単純でした。

項目前年同期今回
完成工事高166億4,300万円254億1,600万円
完成工事原価148億3,500万円225億2,000万円
完成工事総利益18億800万円28億9,600万円
販売費及び一般管理費15億5,900万円15億9,100万円
営業利益2億4,900万円13億400万円

粗利は10億8,800万円増え、販管費は3,200万円しか増えていません。粗利の増分が、ほぼ丸ごと営業利益に落ちた形です。

粗利率も少し上がっています。完成工事総利益を完成工事高で割った数字です。

完成工事総利益完成工事高粗利率
前年同期18億800万円166億4,300万円約10.9%
今回28億9,600万円254億1,600万円約11.4%

粗利率は損益計算書の数字から私が割ったものです。売った量が増えたうえに、工事1件あたりの儲けも厚くなっています。

稼いだのは土木のほうです

前年同期今回増減率
建築 売上高79億5,600万円132億4,400万円+66.5%
建築 セグメント利益9億7,500万円13億1,200万円+34.6%
建築 利益率約12.3%約9.9%
土木 売上高86億8,600万円121億7,200万円+40.1%
土木 セグメント利益5億7,800万円12億5,700万円+117.4%
土木 利益率約6.7%約10.3%

約の付いた利益率は、セグメント利益をセグメント売上高で私が割ったものです。

建築は売上ほど利益が伸びず、利益率は下がりました。土木は利益が2倍以上になり、利益率も上がっています。

土木の内訳を見ると、官公庁向けの売上が59億900万円から90億7,400万円へ増えています。会社の説明文には「国土強靱化に向けた防災・減災対策やインフラ整備関連事業を中心に公共投資が底堅く推移」とあります。

利益率については「完成工事利益率が高い水準で推移した」と一言だけです。どの工事で、なぜ高かったのかは、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:無」「決算説明会開催の有無:無」とあるので、読める書類は今のところこれ1冊です。

3か月で通期受注予想の4割を超えているのに、予想が動いていない

ここがいちばん引っかかった場所です。短信の最後、9ページ目に受注実績の表があります。

受注高前年同期今回増減率
建築 民間55億9,400万円229億600万円+309.4%
建築 官公庁3億9,700万円2億2,900万円△42.4%
土木 民間16億9,300万円59億4,300万円+251.0%
土木 官公庁75億4,300万円108億3,900万円+43.7%
合計152億2,900万円399億1,800万円+162.1%

建築の民間が3か月で229億円ですから、大きな案件がまとまって入ったのだと考えています。

ところが同じページの通期受注予想は950億円です。前の期の実績1,147億3,400万円から17.2%減る置き方です。第1四半期の受注を通期予想で割ると42%になります。399億1,800万円を950億円で割った数字です。第1四半期だけで通期予想の4割を超えています。残り9か月分の受注予想は、950億円から399億1,800万円を引いた額です。550億8,200万円になります。

前年の同じ9か月は、1,147億3,400万円から152億2,900万円を引いた額です。995億500万円でした。今年はその半分と少しです。

……いや、これは変だ。この予想は5月13日に出たものです。第1四半期の受注を全部見たうえでも、会社は動かしていません。第1四半期に大型案件が集中し、残りはその反動で少ない、と見込んでいるのかもしれません。据え置いた理由は、短信の説明文には出てきません。

借入を返して、現金が増えている

第1四半期なので、キャッシュ・フロー計算書は載っていません。代わりに貸借対照表(4ページ目と5ページ目)で現金の動きを追いました。

電子記録債権・完成工事未収入金等が635億8,600万円から567億7,200万円へ減っています。減った額は68億1,400万円です。前の期末に売上として立てた工事の代金が、この3か月で入ってきた形です。その金で短期借入金65億円を全額返しました。それでも現金預金は68億8,800万円から81億9,400万円へ増えました。財務の面で気になるところはありませんでした。

会社はどう説明しているか

建築は「手持工事の施工消化は順調に進んでおり」、土木は「期首手持工事の施工状況等から売上高は前年同期比で増加」です。どちらも、前の期までに受注した工事が予定どおり進んだ、という説明です。これはそのまま受け取っています。理由は、増えた利益が一時的な収入ではなく、完成工事高と完成工事原価の差から出ているからです。

そのまま受け取れないのは土木の利益率です。「高い水準で推移した」は結果の説明であって、続くかどうかの説明ではありません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は5月13日の数字を据え置いています。

項目通期予想第1四半期進捗率残り9か月に必要な額
売上高980億円254億1,600万円約25.9%725億8,400万円
営業利益42億円13億400万円約31.0%28億9,600万円
経常利益42億円14億8,200万円約35.3%27億1,800万円
純利益27億円9億8,200万円約36.4%17億1,800万円

進捗率と残りの額は、表紙の通期予想と第1四半期の数字から私が出したものです。

残り9か月に必要な営業利益は28億9,600万円で、前年の同じ9か月より37.1%多い額です。届かない額ではありませんが、第1四半期ほどの利益率が続くことが前提になります。配当は74円の予想で、前の期の50円から増やす置き方です。

私はどう読んだか

この決算そのものは、良い決算だと考えています。理由は、増えた利益が本業の粗利から出ていて、販管費が膨らんでいないからです。

ただ、心配性なので、先に気になるのは受注予想のほうです。第1四半期で通期の4割を取って、それでも通期は2割近い減少のまま動かさない。会社側は残り9か月を弱く見込んでいるはずで、その理由が私には分かりません。土木の利益率がこの先も「高い水準」で続くのかは、短信には書かれていません。上がるかは知りません。頭の片隅に置いておきます。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260805/140120260805509303.pdf

受注予想を据え置いた理由と、土木の完成工事利益率の具体的な水準は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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