Ridge-i(5572)2026年7月期 通期決算分析――売った事業の穴が気になる

Ridge-i(5572)2026年7月期 通期決算分析――売った事業の穴が気になる 決算を読む

Ridge-iは、AIを客先の仕事に合わせて一から作る会社です。工場の検査映像、人工衛星が撮った地表の画像、社内に溜まった文書のような、その客先にしかないデータを預かって、そこに合うAIを設計し、動くところまで持っていきます。頼むのは主に大手企業で、最近は生成AIを自社の業務に入れたいという相談が増えている、と短信にあります。

もう一つ、子会社を通じてSNS広告の企画や制作、広告に使う音楽の制作と配信もしていました。過去形なのは、この期の終わりにその子会社を手放したからです。9月11日に出た通期決算は、本業のAI事業が大きく伸びた決算であると同時に、売上の大きな部分を占めていた事業に別れを告げた決算でもあります。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高29億9,300万円25億9,300万円+15.4%
営業利益5億4,700万円2億8,300万円+93.3%
経常利益5億5,600万円2億9,000万円+91.2%
純利益4億700万円1億3,900万円+191.9%

営業利益率は18.3%で、前の期の10.9%から大きく上がっています。ここまでは1ページ目に載っている数字です。

純利益の3倍近くには、子会社を売った益が入っています

損益計算書を下に読んでいくと、特別利益の欄に「関係会社株式売却益」が8,840万円あります。売ったのは、SNS広告と音楽制作を手がけていた子会社です。純利益4億700万円のうち、この8,840万円は一度きりの益です。

営業利益のほうにこの益は入っていません。売上総利益は16億4,693万円で、前の期から2割半ほど増えました。本業で稼ぐ力が上がったこと自体は、疑っていません。

売った事業は、売上の4割を占めていました

引っかかったのは、セグメント情報でした。

セグメント売上高 今回売上高 前期利益 今回利益 前期
カスタムAIソリューション18億1,172万円12億8,032万円5億674万円1億6,172万円
デジタルマーケティング11億8,209万円13億1,299万円4,042万円1億2,141万円

デジタルマーケティング事業の売上は、連結売上の4割にあたります。利益は前の期の3分の1に縮んでいました。会社の説明では、大手企業からの広告制作は増えた一方で、プラットフォーム側からの受注が減ったとあります。

売却の中身は、キャッシュ・フロー計算書の注記にあります。売却価額は9億2,158万円。ただし、その子会社が持っていた現金が7億4,096万円あったので、手元に入った現金は差し引き1億8,061万円です。のれんも2億6,649万円が帳簿から消えました。

個別の売上高は18億1,172万円で、カスタムAIソリューション事業の売上とぴったり同じです。つまり親会社そのものがAI事業で、売った子会社がデジタルマーケティング事業でした。来期のこの会社は、ほぼAI事業だけになります。

現金が17億円増えた理由の大半は、増資です

現金及び預金は35億5,851万円で、前の期末から17億3,068万円増えました。営業キャッシュ・フローは5億6,200万円です。前の期は5,132万円だったので、10倍以上になりました。ただ、増えた現金のいちばん大きな出どころは増資です。2025年9月にSBIホールディングスを引受先として第三者割当増資を行い、株式の発行による収入が10億5,825万円ありました。

投資キャッシュ・フローは△10億7,103万円と大きな支出に見えますが、中身の12億円は定期預金への預け入れです。使ったのではなく、置き場所を移しただけです。

売上債権と契約資産は1億4,324万円増えています。案件が大型で期間も長くなれば、請求から入金までも延びます。利益と現金の向きは同じなので、ここは心配していません。

会社はどう説明しているか

会社が挙げている理由は2つです。1つは、既存の大手顧客からの生成AI関連の案件が大型で期間も長く、利益に効いたこと。もう1つは、SBIとの資本業務提携に基づいて、2026年3月に4億円規模のAI関連プロジェクトを受注し、その多くがこの期の売上に立ったことです。営業利益率18.3%を、会社側は「想定より高い水準」と自分で書いています。

来期については、売った子会社が連結から外れる一方で、2026年5月に子会社にした創研情報株式会社が年間を通して加わる、とあります。ここまでは受け取ります。

ただ、気になるのは、その創研情報の売上の規模が決算短信には書かれていないことです。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあり、9月18日に説明会も予定されています。そちらに数字があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。

来期の予想は、消える11億円をどう埋めるのか

通期決算なので、進み具合ではなく来期の置き方を見ます。

項目今期実績来期予想増減率
売上高29億9,300万円32億円+6.9%
営業利益5億4,700万円6億3,000万円+15.1%
経常利益5億5,600万円6億3,000万円+13.3%
純利益4億700万円4億5,000万円+10.4%

通期で6.9%増。……いや、11億8,000万円が消えて、増収か。

ここは私の引き算です。来期の売上予想は32億円です。そこから、残るカスタムAI事業の今期売上18億1,172万円を引きます。残りは13億8,828万円です。この額を、AI事業の伸びと創研情報の売上で埋める置き方になります。

今期のAI事業の伸び率は41.5%でした。同じ勢いが来期も続いたとして、18億1,172万円に1.415を掛けるとおよそ25億6,000万円。32億円までは、まだ6億4,000万円ほど足りません。その分が創研情報の売上ということになりますが、その規模を私は知りません。

第2四半期累計の予想も目を引きます。売上16億円で、前年同期から4割近く増える予想です。今期の上期には、売った子会社の売上が入っていたはずです。それを外してなお4割増としているのです。創研情報がそれなりの大きさか、AI事業が今期以上の勢いで伸びるか。どちらかを会社側は見込んでいることになります。

配当は来期も無配の予想です。手元の現金は厚いので、配れないのではなく、AI事業の人員と案件に回す考えなのだと受け取っています。

私はどう読んだか

営業利益がほぼ倍になったのは本業の力です。ここまでは損益計算書の数字です。

引っかかっているのは、来期です。受け取り方は2つあります。一つは、創研情報がそれなりの規模で、AI事業も伸び続けるので、11億円の穴は問題なく埋まる、というもの。もう一つは、穴を埋める中身がまだ見えていない、というものです。

私は後者だと考えています。理由は、消える売上は短信に書いてあるのに、それを埋める売上の出どころが短信には書かれていないからです。9月18日の説明会資料で創研情報の年間売上が示されれば、この心配は消えるかもしれません。それまでは、頭の片隅に置いておきます。来期どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信 | 株式会社Ridge-i (リッジアイ) ディープラーニングのコンサルティング・開発

創研情報株式会社の年間の売上規模は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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