新人研修を、人事部の代わりに引き受ける会社
アルーは、企業が新入社員や若手を育てるときに、その研修を請け負う会社です。大手企業が主な顧客で、春に新人がまとまって入ってくると、名刺の渡し方から仕事の進め方までを教える教室型の研修が動きます。
教室のほかに、パソコンで受けるeラーニングの仕組みも自社で持っていて、こちらは月々の利用料で稼ぎます。シンガポールと中国にも拠点があり、現地の日系企業向けに同じ商売をしています。
私は震災の年の入社で、入社式が無くなった代わりに研修が短かったのを覚えています。あのとき講座を組んでいたのは、こういう会社だったのだと思います。8月7日に出た中間決算を読みました。
上期で、営業利益が前年の2倍を超えた
純利益だけが、営業利益の伸びに付いてきていません。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 19億8,300万円 | 17億3,600万円 | +14.3% |
| 営業利益 | 3億2,200万円 | 1億4,600万円 | +120.9% |
| 経常利益 | 3億2,400万円 | 1億4,900万円 | +116.3% |
| 純利益 | 1億4,600万円 | 8,800万円 | +65.3% |
営業利益率は8.4%から16.2%へ上がりました。この表だけでは、何が倍になったのか、純利益がなぜ遅れたのかが分かりません。
伸びたのは教室型研修で、eラーニングと海外は縮んでいる
短信の4ページ目に、サービス別の売上が載っています。この会社は報告セグメントが1つなので、内訳を見られるのはここだけです。
| サービス | 今回 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 法人向け教育 | 17億3,052万円 | +19.0% |
| etudes(eラーニング) | 2億1,714万円 | −1.2% |
| 海外教室型研修 | 3,630万円 | −41.9% |
法人向け教育が全体の9割近くを占めます。これは私の割り算です。伸びの理由として会社が挙げているのは、新人導入研修の繁忙期に納品が順調だったことと、フィリピンの子会社を連結に加えたことの2つです。ただし連結化でいくら増えたのかは、短信には書かれていません。
eラーニングは、大型案件が終わって月々の利用料の単価が下がったため、と説明があります。海外は、シンガポールで受注が低迷し、上海では日系企業の現地化で市場そのものが小さくなったため、とあります。増収の中身は、ほぼ国内の教室型研修です。
粗利の増えた分が、そのまま営業利益になった
損益計算書で引っかかったのは販管費です。売上総利益は1億7,393万円増えました。それに対して販管費は、9億4,121万円から9億3,838万円へ、ほとんど動いていません。粗利の増加1億7,393万円に、販管費の減少283万円を足します。すると営業利益の増加1億7,676万円と、ぴたり合います。
会社側は、人員が増えて人件費は増えたが、業務委託費の削減で相殺した、と書いています。倍になった仕組みは、それだけです。
営業利益の増え方に比べて、純利益の増え方が鈍い理由
営業利益と純利益の差の行き先を、損益計算書から引き算しました。
| 金額 | |
|---|---|
| 営業利益の増加 | 約1億7,676万円 |
| 営業外損益の差 | 約△246万円 |
| 特別損失 | △6,452万円 |
| 法人税等の増加 | 約△5,176万円 |
| 純利益の増加 | 約5,802万円 |
約の付いた数字は、当期と前年同期の損益計算書を私が引き算したものです。
特別損失6,452万円のうち6,326万円は、6月30日に公表した中国子会社の撤退に伴う事業整理損です。もう1つが税金で、法人税等は6,106万円から1億1,282万円へ増えました。
税金は現金でも出ています。キャッシュ・フロー計算書を見ると、法人税等の支払いが1億585万円あり、前年は220万円の還付でした。営業キャッシュ・フローが2億2,902万円と前年より減ったのは、この支払いが原因です。
ここまでは損益計算書とキャッシュ・フロー計算書の数字です。撤退の損が税務上は損金にならず、税負担が重くなった、と私は読みました。
会社は「売上高については順調」と書いている
短信の7ページ目に、通期予想を据え置く理由があります。「売上高については順調に進捗しており、中国子会社の業績を加味したうえでも」2月13日の予想から変更はない、という一文です。
引っかかったのは、売上高の話しかしていないことです。営業利益は通期予想の8割近くまで来ています。中国撤退の悪い材料を織り込んでも届く、という説明としては筋が通ります。ただ利益の側をどう見込んでいるのかは、この文からは読み取れませんでした。
残り6か月の営業利益を、前年の4割で置いている
通期予想から上期の実績を引くと、残り6か月に必要な数字が出ます。
| 上期実績 | 通期予想 | 残り6か月 | 残り6か月の前年比 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 19億8,300万円 | 39億3,400万円 | 約19億5,100万円 | 約+2.6% |
| 営業利益 | 3億2,200万円 | 4億900万円 | 約8,700万円 | 約−58.2% |
| 純利益 | 1億4,600万円 | 2億4,700万円 | 約1億100万円 | 約−34.2% |
約の付いた数字は、通期予想から上期実績を引いた私の引き算で、前年比は同じ引き算を前年に当てたものです。
営業利益だけが8,700万円です。前年比が約−58.2%なら、残るのは前年の0.418倍です。それで割り戻すと、前年の同じ6か月はおよそ2億800万円あったことになります。……いや、これは変だ。上期に新人研修が集中する商売なら、下期が薄いのは分かります。それでも前年の下期は、上期の1億4,600万円より多く稼いでいました。
売上が減らずに利益だけ減るなら、増えるのは費用しかありません。会社は上期の説明で「人員の増加に伴い人件費が増加」と書いています。下期はそれを業務委託費の削減で吸収しきれない、という見込みなのかもしれません。その理由は、短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とありますが、そちらはまだ読んでいません。
私は、下期に費用が出る置き方だと考えています
据え置きの受け取り方は2つあります。2月の予想がもともと固めで、上期が想定より走っただけという見方と、下期に費用が出ることを織り込んでいるという見方です。
私は後者だと考えています。理由は、売上が読めないなら売上も低くするはずだからです。利益だけを6割下げるのは、出ていく金額に見当がついているときのやり方です。それが人件費なのか、撤退の残りの費用なのか、eラーニングの単価低下なのかは、私には分かりません。心配性なので、頭の片隅に置いておきます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260731504293.pdf
この会社が上期の営業利益をいくらと見込んでいたのかは、短信に上期の予想が載っていないので読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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