CKDは、工場の中で動く装置の「手足」と「弁」を作っている会社です。圧縮した空気の力でものをつかむ、押す、止める。そのための部品を空気圧機器と呼びます。もう一方の流体制御機器は、液体や気体の流れを開けたり閉めたりする弁です。半導体を作る装置の中では、薬液やガスを正確な量だけ流す必要があるので、この弁が大量に使われます。
買うのは、装置を組み立てるメーカーや、自動車や工作機械の工場です。CKDが装置そのものを作るわけではなく、装置の中に組み込まれる部品を作って売っています。短信ではこれを機器部門と呼んでいます。
もう一つの柱が自動機械部門です。錠剤をアルミのシートに封じる薬の包装機と、リチウムイオン電池を作るための製造システム。こちらは部品ではなく、機械そのものを客の注文で作ります。
8月10日に出た第1四半期決算です。表紙の数字は派手でした。私が引っかかったのは、その裏側の貸借対照表です。
この決算で何が起きたか
まず表紙に載っている数字です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 491億800万円 | 362億5,300万円 | +35.5% |
| 営業利益 | 80億3,200万円 | 37億7,200万円 | +112.9% |
| 経常利益 | 82億4,200万円 | 37億400万円 | +122.5% |
| 純利益 | 56億8,600万円 | 24億7,700万円 | +129.5% |
売上が3割増えて、利益は2倍を超えました。営業利益率は10.4%から16.4%へ、これは私が割った数字です。同じ日に通期予想の上方修正と、81円から112円への増配も出ています。表紙だけなら、文句のつけようがない四半期です。
伸びたのは機器部門で、自動機械部門は3割減っています
短信の10ページ目に部門別の表があります。機器部門の売上は460億7,200万円で、前年同期から45.4%増えました。部門利益は87億5,100万円で、2倍以上になっています。売上のほとんどがこの部門で、今回の伸びは全部ここから来ています。
自動機械部門は逆です。売上30億3,600万円で3割以上減りました。部門利益は7億3,800万円で、26.3%減っています。短信の4ページ目には、薬品包装機の売上が「一時的に減少」したと書かれています。日系自動車メーカーがBEV向けの設備投資に慎重で、電池の製造システムの売上も減った、ともあります。
ただ、この部門には受注の数字が出ています。受注高は36億8,300万円でした。受注残は172億6,000万円で、前年同期から2.0%増えました。受注高が売上を上回っているので、注文の残りは減っていません。会社が「一時的」と書いた根拠は、この受注残にあると考えています。
現金が減った分は、原材料に変わっています
ここが今回いちばん時間をかけた場所です。第1四半期なので、キャッシュ・フロー計算書は「作成しておりません」と11ページ目にあります。純利益56億8,600万円を出した3か月です。それでも現金及び預金は428億3,900万円から424億9,200万円へ減りました。減った額は3億4,700万円です。
減った現金がどこへ行ったかは、貸借対照表の資産側で追えます。
| 3月末から6月末へ | 3月末 | 6月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 商品及び製品 | 107億9,300万円 | 120億9,000万円 | +12億9,600万円 |
| 仕掛品 | 50億9,400万円 | 53億5,900万円 | +2億6,500万円 |
| 原材料及び貯蔵品 | 366億900万円 | 417億7,500万円 | +51億6,600万円 |
| 電子記録債権 | 121億6,300万円 | 149億4,200万円 | +27億7,900万円 |
3つの在庫を足すと、524億9,600万円から592億2,400万円へ増えています。差は約67億2,800万円です。これは私の足し算です。そのうち51億6,600万円が原材料で、製品と仕掛品を合わせても15億6,100万円しか増えていません。……いや、原材料だけで52億円は大きい。
製品が余ったのかを確かめるために、生産の数字を見ました。11ページ目の生産実績は511億8,500万円でした。売上の491億800万円より20億7,700万円多くなっています。作った分と売れた分の差は、製品と仕掛品の増加15億6,100万円とおおむね見合います。作りすぎて倉庫に残ったのではなく、まだ作っていない材料を買い込んでいます。ここまでは貸借対照表と生産実績の数字です。
負債側も動いています。支払手形及び買掛金と電子記録債務を足すと34億100万円増えました。仕入れた分の支払いがまだ済んでいない、という形です。材料を買って、支払いは先で、売上の回収も先。現金が減ったのはその間の話だと私は受け取りました。
経常利益の伸びが営業利益を上回った分は、為替です
小さな話ですが、8ページ目の損益計算書に理由があります。前年同期は為替差損が1億4,900万円あり、今回は為替差益が200万円です。営業外費用の合計が3億3,500万円から1億5,700万円へ減りました。経常利益の増減率が営業利益より10ポイント高いのは、ほぼこれで説明がつきます。
「当初の想定を大きく上回って推移」と会社は書いています
短信の4ページ目で、会社は国内の半導体関連市場について「生成AIの需要拡大が設備投資を牽引し、半導体製造装置向けの売上高が大きく増加」と書いています。海外では中国の半導体と二次電池、その他の地域でも半導体関連の設備投資が続いた、と。自動車関連は「完成車メーカーにおける設備投資が想定を下回った」と、こちらも隠していません。
上方修正の理由は5ページ目です。機器部門の半導体関連の需要が「当初の想定を大きく上回って推移したこと及び足元の受注動向を勘案した」とあります。ただし、機器部門は「需要見込による生産方法」なので受注の数字は開示していない、と11ページ目に注記があります。その受注動向を、読者が短信で確かめることはできません。
原材料の積み増しについては、短信には直接の説明がありません。4ページ目に「グローバルで生産・供給体制を整え」とあるのと、説明会資料に「生産能力増強に伴う設備投資を実施。2Q以降増加」とある、この2つが手がかりです。需要が想定を上回ったので、次の四半期に向けて材料を先に押さえた。短信と説明会資料の文言をつなげると、そう読めます。
通期の残り9か月は、この四半期より低い利益率で置いています
通期予想は、売上を1,800億円から1,930億円へ引き上げました。営業利益も245億円から285億円へ上げています。前期実績は売上1,578億8,600万円、営業利益196億4,000万円です。
| 通期予想 | 進み具合 | 残り9か月に必要 | 残りの前年比 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,930億円 | 4分の1ほど | 1,438億9,200万円 | +18.2% |
| 営業利益 | 285億円 | 3割弱 | 204億6,800万円 | +29.0% |
| 経常利益 | 285億円 | 3割弱 | 202億5,800万円 | +25.4% |
| 純利益 | 190億円 | 3割 | 133億1,400万円 | +19.9% |
残り9か月に必要な営業利益は204億6,800万円です。これを必要な売上1,438億9,200万円で割ると約14%になります。この四半期の16.4%より低くなります。私が決めた数字ではなく、会社の予想から逆算した割り算です。第1四半期の勢いがそのまま続く前提にはなっていません。
前提の為替も151円で、説明会資料にある第1四半期の実績145円より円安です。心配性の目で見ても、この置き方に無理は感じませんでした。
原材料の積み増しは、次の生産の仕込みだと考えています
現金が減って在庫が積み上がる四半期を、私は2015年に痛い目を見て以来、まず疑ってかかります。ただ今回は、疑いより仕込みだと考えています。理由は、増えたのが製品ではなく原材料だからです。生産と売上の差も製品の増加とほぼ釣り合っていて、売れ残りの形をしていません。
疑いが残るのは、それをキャッシュ・フロー計算書で確かめられないことです。第2四半期の短信には載るので、そのとき営業キャッシュ・フローがどうなっているかを見に行きます。原材料が減って現金に戻っていれば、この読みで合っていたことになります。増え続けていたら、書き直します。
自動機械部門の「一時的」も同じです。受注残は積み上がっているので、これが売上に変わる四半期がどこかで来るはずです。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260810/140120260804508957.pdf
原材料及び貯蔵品417億7,500万円のうち、どの部門の、何のための材料が増えたのかは、短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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