四国化成ホールディングス(4099)決算分析――中間として過去最高、ただし伸びの中に「買った会社の3ヶ月」が混ざっています

8月12日に決算を発表した四国化成ホールディングス(4099)――中間として過去最高、ただし伸びの中に「買った会社の3ヶ月」が混ざっています 決算を読む

はじめに

タイヤの中身の会社です。ラジアルタイヤはゴムを硫黄で固めて作りますが、その硫黄が製造の途中で溶け出さないように加工したものを「不溶性硫黄」と呼びます。四国化成はこれを柱にしてきた化学メーカーで、いまはもう一本の柱が育っています。サーバー基板の製造工程で使う密着性向上の薬品や、半導体プロセス材料。つまり、車のタイヤとデータセンターの両方に、部品ではなく「薬品」の形で入り込んでいる会社です。もうひとつ、門扉やフェンスといったエクステリア建材の事業も持っています。2023年に持株会社になりました。

今回は12月期の中間決算です。会社自身が短信の中で、売上も利益も「中間連結会計期間として過去最高」と書きました。同時に通期予想を大きく引き上げています。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高45,84134,172+34.1%
営業利益9,4395,253+79.7%
経常利益9,6925,205+86.2%
純利益6,6633,729+78.7%

(単位:百万円)

売上が3割以上増えて、利益はその倍以上の勢いで増えました。営業利益率は前年同期の15.4%から20.6%へ。数字だけ見れば文句のつけようがない中間決算です。

ただ、この表を見ただけでは分からないことが、後ろのページにいくつもありました。

最初の表では分からなかったこと

アジアの売上が2.7倍になっている

5ページの参考情報に、海外売上高の地域別の表があります。アジア向けの売上が、前年同期の4,659百万円から12,495百万円に増えていました。北米は7,811百万円で前年並みの水準です。海外売上比率は36.1%から47.4%へ。売上の半分近くが海外になりました。

ここに引っかかりました。アジアだけが突出して伸びている理由の一部は、14ページの注記にあります。今年2月に、インドネシアの化学メーカーTimuraya社の全株式を取得して連結に加えました。損益計算書に含まれるのは4月から6月までの3ヶ月分です。

つまり今回の増収34.1%には、去年は存在しなかった会社の3ヶ月分が乗っています。ではいくら乗っているのか。短信には書かれていませんでした。取得対価4,684百万円、のれん2,059百万円を8年で償却、取得関連費用642百万円は今期の費用として処理済み――ここまでは印字されていますが、売上への寄与額は開示がありません。

経常利益の伸びには為替の振れが入っている

経常利益の伸び(+86.2%)が営業利益の伸び(+79.7%)を上回っています。9ページの営業外の内訳を見ると、前年同期は為替差損536百万円を計上していたのが、当期は為替差益183百万円に振れていました。前年が沈んでいた分、今年の伸び率がかさ上げされています。これは事業の力とは別の話です。

一方で支払利息は71百万円から291百万円に増えています。買収と設備投資で借入が増えた影響で、自己資本比率は65.0%から64.2%に下がりました。大きな数字ではありませんが、方向としては覚えておきます。

現金は利益ほど入ってきていない

営業キャッシュ・フローは5,987百万円。前年同期より増えていますが、純利益6,663百万円より小さい。中身を見ると、売掛金の増加が2,702百万円の現金流出になっています。貸借対照表では売掛金が15,143から19,989百万円へ、原材料及び貯蔵品が4,645から7,390百万円へ増えました。

売上が3割増えれば売掛金が増えるのは当然で、増え方も売上の伸びと大きくは矛盾していません。……いや、原材料の増え方はちょっと大きいか。買収した会社の在庫が乗っている分もあるはずなので、これだけでは判定できませんが、次の決算で残高がどう動くかは見ておきたいところです。

建材事業で減損と組織再編

13ページの注記に、建材事業で子会社間の組織再編を決定し、減損損失228百万円を計上したとあります。1ページ目の業績表からは見えない話です。建材のセグメント利益は313百万円と前年から大きく改善しましたが、住宅向けの需要は低調で、会社は非住宅分野への拡販と価格改定で利益を出したと説明しています。化学品の陰で、こちらは静かに構造を作り替えている最中のようです。

配当は実質的に増えている

7月1日付で1株を2株に分割しました。分割を考慮しない場合の年間配当は80円の予想で、前期の55円から増配です。分割後の数字だけ見ると比べにくいのですが、注記にこの換算が書いてありました。

会社はどう説明しているか

会社の説明ははっきりしています。AI関連需要の増加を背景にファインケミカルが好調。サーバー基板向けの密着性向上プロセスGliCAPが海外で伸び、半導体プロセス材料も需要が拡大した。通期の上方修正の理由も「収益性の高いファインケミカルが堅調」です。

セグメントの内訳を見ると、ファインケミカルの売上は前年同期の8,067百万円から13,671百万円に増えています。私の読みでは、買収したTimuraya社は硫黄を起点とする基礎化学品の会社なので、この伸びは買収とは別の、もともとの事業の実力に近いはずです。ここは短信に明記がないので、私の読み違いかもしれません。それでも、伸びの説明としては筋が通っていると受け取りました。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目通期予想進捗率
売上高94,00048.8%
営業利益18,00052.4%
純利益12,60052.9%

(単位:百万円。予想は今回25%引き上げた後の数字)

営業利益は引き上げた後の予想に対して、すでに半分を少し超えたところまで来ています。残り6ヶ月に必要な営業利益は8,561百万円で、前年の下期に対して5割ほど増える置き方です。強気に見えますが、下期にはTimuraya社がまるまる6ヶ月分乗ってくること、上期の勢いを考えると、無茶な数字ではないと思います。為替の前提は150円/米ドルと書かれています。

私はどう読んだか

私は良いほうに寄せて読んでいます。理由は、伸びの中心にあるファインケミカルが、買収でかさ上げされた部分とは別の場所で伸びていると読めるからです。買収の3ヶ月分、為替の振れ、この2つを割り引いてもなお、本体の化学品が伸びている決算だと受け取りました。

心配性なので一応書いておくと、気になるのは原材料の積み上がりと、支払利息の増え方です。どちらも今すぐ問題になる規模ではありませんが、買収と設備投資を同時に進めている会社の決算は、次の期の現金の動きで答え合わせをするのが確実です。建設仮勘定も3,047から6,682百万円に増えていて、投資はまだ続きます。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260812/140120260812517643.pdf

Timuraya社が上期の売上にいくら寄与したのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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