旭コンクリート工業(5268)2027年3月期 第1四半期決算分析――原価が減った中身を読みました

旭コンクリート工業(5268)第1四半期決算分析――営業利益291百万円は、会社が置いた上期予想270百万円をすでに超えている 決算を読む

はじめに

道路の下をくぐる水路や、川の下を通す通路。ああいう箱の形をしたコンクリートの筒を工場で作って、現場に運んで据え付けるのが、この会社の主力です。ボックスカルバートと呼びます。現場で型を組んでコンクリートを流し込むより、工場で作った箱を並べるほうが工期が短くなるので、災害対策の工事で好まれます。

買い手の中心は、国や自治体が発注する土木工事です。地震に強い据え付け方を得意にしていて、短信の説明文にも「国土強靭化」という言葉が出てきます。ほかに、工事で使う資材を仕入れて売る部門と、小さな不動産の賃貸があります。

この短信では、1ページ目の営業利益の欄でいったん手が止まりました。そこから損益計算書の2行目を確かめに行きました。今回はその順番で書きます。

この決算で何が起きたか

8月7日に出た第1四半期決算です。売上は5%しか増えていないのに、営業利益は前年の同じ時期の4倍を超えました。

項目今回前年同期増減率
売上高16億900万円15億3,200万円+5.0%
営業利益2億9,100万円6,400万円+353.3%
経常利益3億7,100万円1億1,700万円+216.5%
純利益2億5,600万円8,400万円+204.3%

売る量がほとんど変わらずに利益だけ4倍というのは、売り先ではなく、売ったものの中身が変わったときの形です。

売上が増えて、売上原価が1億5,100万円減っている

損益計算書の7ページ目です。売上原価は前年の12億4,100万円から10億9,000万円へ減っています。引き算すると1億5,100万円です。売上は7,700万円増えています。ですから粗利は2億9,100万円から5億1,900万円へ膨らみました。販管費は2億2,700万円から2億2,800万円で、動いていません。

売上に対する粗利の割合は、前年の2割弱から3割強へ上がっています。これは私の割り算です。営業利益の4倍は、ほぼこの1行で説明が付きます。ここまでは損益計算書の数字です。

引っかかったのは、同じ短信の9ページ目に、減価償却費が4,200万円から6,905万円へ増えたと書いてあることです。償却費が2,700万円増えているのに、原価全体は1億5,100万円減っている。……いや、材料か構成のどちらかが、相当動いている。そう思って、部門ごとの内訳を見に行きました。

仕入れて売る部門が、4割近く減っている

4ページ目に部門ごとの売上があります。自社で作るコンクリート二次製品が2割増え、工事部門は倍になり、資材を仕入れて売る「その他の部門」が4割近く減っています。前年の数字は書かれていないので、増減率から私が割り戻しました。

部門今回前年同期増減率
コンクリート二次製品11億円約9億1,000万円+20.8%
工事1億6,900万円約8,400万円+100.2%
その他(資材の仕入・販売)3億3,000万円約5億2,600万円△37.3%
不動産1,000万円1,000万円△4.1%

約の付いた数字は、今回の売上を短信の増減率で割り戻したものです。

仕入れて売る商売は、仕入れた値段がそのまま原価になるので、粗利が薄いのがふつうです。その部門が2億円近く縮み、自分の工場で作る製品が2億円近く伸びた。売上の合計はほとんど動かず、原価だけ減る、という形はこれで作れます。売ったものの構成が入れ替わった分が、粗利の増え方の大きな部分を占めている、と私は読みました。

ただし、材料の値段そのものが下がった分がどれだけあるのかは、この表からは分かりません。短信の説明文は「原材料高騰が続く」と書いていますから、材料が安くなった話ではなさそうです。

営業外にも、増えたものがある

経常利益3億7,100万円には、営業外収益8,400万円が乗っています。中で目立つのは、スクラップ売却益が86万円から2,011万円へ増えたことです。工場から出る鉄くずの類でしょうが、何が増えたのかは短信に書かれていません。受取配当金は5,980万円で、こちらは毎年ある種類のものです。

一時的に見える2,000万円は営業外の話で、営業利益の4倍には関わりません。ですから、この記事の話の中心は営業外ではなく、上の売上原価のほうです。

キャッシュ・フロー計算書は無いが、現金は増えている

第1四半期なので、キャッシュ・フロー計算書は作られていないと注記にあります。代わりに貸借対照表を前期末と並べました。現金及び預金は46億4,400万円から48億1,800万円へ増えています。差は1億7,400万円で、これは私の引き算です。

この3か月で、売上債権が7億2,400万円減り、仕入債務が4億1,000万円減りました。どちらも会社が説明文に書いている数字です。売掛金を回収し、仕入先に払い、賞与と法人税も払って、それでも現金が増えた。四半期の利益が、帳簿の上だけの話ではなかったことになります。

一つ気になる動きは、製品の在庫が11億1,100万円から12億1,500万円へ増えていることです。受注に合わせて作り置きしているなら悪くありませんが、理由は短信に書かれていません。社債5億円が1年内償還に移っていますが、現金48億円の会社なので、ここは心配していません。

会社はどう説明しているか

短信の説明文で、利益が増えた理由に当たる箇所は3つです。「原価低減活動に継続的に取り組む」という一節、設計の段階から自社製品を織り込む営業、3Dのモデルを使った提案です。どれも取り組みの話で、原価が1億5,100万円減った理由を、数字で説明している箇所はありません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:無」とあるので、別の資料で補われている見込みも薄いです。

もう一つ、この短信には目を引く一文があります。「第2四半期の売上推移等を見極めながら、業績への影響について精査を進めております。まとまり次第、速やかに公表いたします」。何の影響なのかは短信には書かれていませんが、予想を作り直していると宣言しているに等しい文です。次の節で、なぜそう書かざるを得なかったのかが分かります。

通期予想に対して、どこまで来ているか

会社は5月に出した予想を変えていません。上期の営業利益予想は2億7,000万円です。第1四半期だけで2億9,100万円ですから、引き算すると7月から9月の3か月は2,100万円の赤字という置き方になります。

営業利益第1四半期7月〜9月上期累計通期
会社予想約△2,100万円2億7,000万円6億2,000万円
実績2億9,100万円

約の付いた数字は、上期予想から第1四半期の実績を引いた私の数字です。

通期6億2,000万円に対しては、3か月で半分近くまで来ています。残り9か月に必要なのは3億2,900万円で、これは前年の同じ9か月より4割近く少ない額です。売上のほうは進みが2割で、こちらは季節どおりです。……この上期の数字は、もう持たない。会社自身が精査中と書いている以上、表紙の予想は、いまのところ置いてあるだけの数字だと受け取っています。

私はどう読んだか

予想が古いのか、利益の前借りなのか。私は前者の見方をしています。理由は、増えた利益が営業外ではなく、売上原価が減って粗利が増えたところから出ていて、しかもその中身が部門の入れ替わりとして4ページ目に見えているからです。

留保は一つあります。仕入れて売る部門が縮んだのは、工事の時期がずれただけかもしれません。そうなら、来期に同じ構成が戻ってきて、粗利の割合も元に近づきます。心配性なので、次の短信では部門の表を最初に開くつもりです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260724599398.pdf

売上原価が減った1億5,100万円のうち、製品の構成が入れ替わった分と、原価低減の取り組みで削れた分が、それぞれどれだけなのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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