サイエンスアーツ(4412)2026年8月期 第3四半期決算分析――減益予想の正体は税金と読みました

サイエンスアーツ(4412)第3四半期決算分析――営業利益が2.6倍になった四半期に、現金が432,784千円減っていた 決算を読む

サイエンスアーツは、スマートフォンをトランシーバーとして使うためのサービス「Buddycom」を作っています。工場の中や店の売り場、駅のホームのように、机の前に座っていない人たちが、離れた仲間と声でやり取りするための道具です。

売り方は月額の利用料で、契約社数と一社あたりの人数で売上が決まります。それに加えて、無線を使うための周辺機器を自社で作って売っています。ほかに古いデータベースの事業も残っていますが、自分から広げない方針だと短信にあります。

売上が3割増えて、利益は2倍を超えました

2026年7月15日に出た第3四半期の決算です。

今回(9か月)前年同期増減率
売上高15億6,400万円11億6,000万円+34.9%
営業利益1億4,900万円5,700万円+160.6%
経常利益1億4,700万円4,100万円+253.5%
純利益1億2,500万円3,400万円+268.7%

営業利益率は前年の4.9%から9.5%へ、ほぼ倍です。同じ日に通期予想も直しています。

契約社数と前受収益で、伸びの中身が見えました

4ページ目の数字です。契約社数は前事業年度末の1,562社から1,828社へ。ARRは10億6,879万円から12億6,580万円へ増えました。ARRは期末月の利用料を12倍した数字で、来年の売上の土台にあたります。

9か月の売上金額前年同期比
Buddycom利用料8億8,259万円+36.4%
周辺機器6億7,952万円+32.9%

片方だけが引っ張る形ではありません。

私が引っかかったのは、6ページ目の前受収益です。3億7,055万円から5億1,571万円へ増えました。9か月で1億4,516万円の増加です。前受収益は、先にお金を受け取って、まだ売上にしていない分です。5ページ目には、売上が順調だったことによる増加、と書いてあります。

経常利益の伸びは、前年が重かったぶんを含みます

営業利益は2.6倍、経常利益は3.5倍。この差の理由は7ページ目にありました。前年の営業外費用に株式交付費1,401万円が載っていて、今年はゼロです。株を発行したときの費用なので、毎年出るものではありません。

残り3か月の純利益だけが、前年を下回る置き方です

通期予想から第3四半期累計を引くと、6月から8月に必要な額が出ます。営業利益は、通期予想の2億2,000万円から今回の1億4,900万円を引きます。残りは7,100万円です。純利益は1億8,800万円から1億2,500万円を引きます。残りは6,300万円です。営業利益は前年の同じ3か月より4割増える計算なのに、純利益は2割減る計算になります。……いや、これは変だ。

前年の6月から8月を割り戻してみました。表紙の通期予想には、純利益の前期比が+68.4%と載っています。1億8,800万円を1.684で割ると、前期の純利益は約1億1,160万円です。ここから前年の第3四半期累計3,405万円を引いて、前年の6月から8月は約7,760万円です。

経常利益も同じ手順です。2億1,800万円を、表紙の前期比から同じように出した2.361で割ると、約9,230万円です。そこから4,172万円を引いて約5,060万円になります。

6月から8月の3か月営業利益経常利益純利益
前年約5,000万円約5,060万円約7,760万円
今年(会社予想)7,100万円7,100万円6,300万円

約の付いた数字は表紙の前期比から私が割り戻したもの、今年の行は通期予想から今回の累計を引いた額です。

前年の6月から8月は、経常利益より純利益のほうが大きいことになります。税金を払って利益が増えることはないので、この3か月は法人税等がマイナス、つまり税金が戻ってきていたはずです。ここまでは短信の数字からの引き算です。

なぜ戻ったのかは、短信には書かれていません。6ページ目の利益剰余金は今も△1億1,603万円で、前事業年度末は△2億4,158万円でした。赤字が残っていると、あとで払う税金が軽くなる見込みを繰延税金資産として載せられます。それを前期末に計上したのだと、私は読みました。今年の第3四半期累計も同じです。法人税等は2,193万円で、税引前は1億4,749万円です。割ると15%ほどで、税金が軽い期間が続いています。

今年の6月から8月は、普通に税金を払う置き方です。純利益が2割減る予想は、本業が弱る話ではなく、前年の税金が特別だった話だと考えています。

現金が4億円減って、有価証券が5億円増えました

6ページ目で、現金及び預金が15億7,927万円から11億4,648万円へ減りました。同じ表で有価証券が4億9,953万円増えています。置き場所を変えただけです。第3四半期のキャッシュ・フロー計算書は作っていないと9ページ目にあるので、細かい流れはそこまでです。

ほかに増えたのは、本社移転の敷金1億1,917万円と、商品の在庫です。商品は6,004万円から1億4,087万円へ、倍以上になりました。周辺機器の売上が3割増えたのに対して在庫は2倍を超えていて、ここは頭に残っています。

本社移転は、利益にも効いています。8ページ目の注記に、移転で使えなくなる固定資産の耐用年数を短くして、営業利益が3,139万円減った、とあります。減価償却費は前年の1,140万円から4,461万円へ増えました。

会社は人件費と広告費と減価償却費を挙げています

会社の説明は4ページ目にまとまっています。開発と販売の人員を増やして人件費が増え、知名度を上げるために広告宣伝費が増え、本社移転の減価償却費が増えた、という三つです。このうち金額が載っているのは減価償却費だけで、人件費と広告宣伝費がいくら増えたのかは短信には書かれていません。

通期予想の修正は、同じ日の別のお知らせを見るように、とだけあります。私はまだ開いていません。

通期予想には、利益で3分の2まで来ています

通期予想第3四半期累計進捗率
売上高21億3,000万円15億6,400万円73.4%
営業利益2億2,000万円1億4,900万円67.7%
純利益1億8,800万円1億2,500万円66.5%

進捗率は私の割り算です。9か月が過ぎた時点の目安は4分の3なので利益は少し遅れて見えますが、6月から8月は税金を普通に払う計算なので、遅れているぶんは税金です。

残り3か月の売上は5億6,600万円で、前年の同じ3か月より1割半ほど多い計算です。9か月で3割5分伸びてきた会社が、最後の3か月は1割半。直した直後の予想としては、控えめに置いたように見えます。

私はこの決算を良いほうに見ています

理由は、利益の増え方の説明が、営業外や一時的な収入ではなく、契約社数とARRと前受収益という、売上より前にある数字でつくからです。減価償却の前倒し3,139万円を負担して、それでも利益率が倍になっています。

心配性なので、二つだけ残しておきます。商品の在庫が倍以上になった理由と、広告宣伝費の額です。売れる前に仕入れたのか、売れなかったから残ったのかで、意味が反対になります。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260715/140120260714593441.pdf

商品が倍以上に増えた理由は、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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