コインパーキングと、カーシェアの会社
街で車を停めるとき、黄色い看板の時間貸し駐車場に入る人は多いと思います。あれを運営しているのがパーク24です。土地を持つ人から駐車場用地を借り、精算機と看板を据えて、運転する人から時間単位で料金を受け取ります。目的地の近くで、短い時間だけ車を置く場所を用意する仕事です。
もう一つの柱がカーシェアのタイムズカーです。会員がスマートフォンで予約し、近所の駐車場に停めてある車を、短い時間だけ借ります。車を持たない都市部の人が、買い物や送り迎えのために使うものです。私も埼玉の自宅の近くで、月に何度か世話になっています。
この2つを国内で回しながら、英国や豪州でも駐車場を運営してきました。今回読んだのは、6月15日に出た中間決算です。
純利益が6倍になった半年
増収増益で、純利益は前年の6倍近くです。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,022億7,500万円 | 1,933億9,400万円 | +4.6% |
| 営業利益 | 172億9,500万円 | 157億8,000万円 | +9.6% |
| 経常利益 | 157億3,000万円 | 139億1,800万円 | +13.0% |
| 純利益 | 296億5,700万円 | 49億8,100万円 | +495.3% |
この6倍の中身を、損益計算書の下のほうまで追いました。
税引前の利益は、前年より減っています
損益計算書は短信の10ページ目にあります。経常利益の下に、特別損失が121億200万円。英国事業の再編とシンガポール事業の売却によるものだと、4ページ目の説明文にあります。その結果、税引前の利益は45億3,900万円で、前年の104億9,300万円から半分以下に減っています。ここまでは損益計算書の数字です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 関係会社整理損 | 87億2,400万円 | ― |
| 関係会社株式売却損 | 33億200万円 | ― |
| 特別損失合計 | 121億200万円 | 34億2,400万円 |
| 税金等調整前中間純利益 | 45億3,900万円 | 104億9,300万円 |
| 法人税等調整額 | △310億8,700万円 | 1億7,300万円 |
そのすぐ下に、法人税等調整額が310億8,700万円の益で載っています。税引前で45億円しか残っていない半年に、税金の欄で310億円を足しています。この一行が、純利益296億5,700万円のほぼ全部です。
法人税等調整額は、現金の出入りではありません。将来払う税金が減る見込みを、いま利益に入れる計算です。貸借対照表では繰延税金資産が49億7,900万円から453億1,800万円へ増えていて、これがその裏側です。純資産が増えたのも、この計算の分だと私は受け取りました。
現金は、半年で500億円減りました
現金及び預金は804億7,000万円から303億9,400万円へ。引き算すると、500億7,600万円の減少です。営業キャッシュ・フローは293億6,800万円で前年とほぼ並んでいるので、本業で減ったわけではありません。行き先は12ページ目のキャッシュ・フロー計算書に並んでいます。
| 項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 有形固定資産の取得による支出 | 145億7,600万円 | 274億8,800万円 |
| 長期借入金の返済による支出 | 2億3,700万円 | 540億5,500万円 |
| 長期借入れによる収入 | ― | 350億円 |
| 短期借入金の純増減額 | 5億9,000万円 | 133億1,300万円 |
| 子会社株式の追加取得による支出 | ― | 292億8,200万円 |
| 配当金の支払額 | 8億5,100万円 | 51億1,400万円 |
借金は540億円返して350億円借り直し、足りない分を短期借入で埋めています。1年内返済予定の長期借入金は80億9,900万円から333億4,900万円へ増えました。返済期日の近い借金が、半年前より重い形です。設備投資は前年の倍近くに増えています。
そして292億8,200万円の子会社株式追加取得。ここに引っかかりました。
買い増してから畳んだ子会社
注記は14ページ目です。子会社のタイムズ24が、英国の子会社CP2の株式を追加取得し、資本剰余金が292億8,200万円減っています。同じ注記の次の文で、CP2は英国企業倒産法に基づく清算手続きを開始し、連結から外れています。
……いや、順番が逆じゃないか。
持ち株を増やしてから、清算に入っています。この一連の手続きで、持分変動差額に係る税効果調整として資本剰余金が92億2,600万円増えました。損益計算書では、法人税等調整額の益が310億円出ています。のれんも163億5,000万円から67億4,600万円へ減っています。英国の再編が、税の計算を通して純利益と純資産を動かした半年でした。ここまでは注記と貸借対照表の数字です。
なぜ清算する子会社の株を買い増す必要があったのかは、決算短信には書かれていません。表紙に、同じ日に特別損失と法人税等調整額についてのお知らせが出ているとあります。そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。
海外セグメントの数字だけ足しておきます。総駐車場運営台数は3割減り、売上も2割近く減りましたが、営業損益は9億8,200万円の赤字から2億2,400万円の黒字になりました。大型で長期契約の駐車場を切り、小さな事業に組み直したと4ページ目にあります。
会員が車を追い抜いたのは、4月です
カーシェアのモビリティ事業は、売上666億8,800万円で1割強の増収、営業利益は59億1,700万円で前年からほぼ横ばいでした。台数を増やして、利益は増えていません。
5ページ目に、会社側の説明があります。会員数の増加ペースが、車両の増車ペースを3月末まで下回っていた。だから稼働は軟調だった。中間期末の時点では上回った。この3文です。車を増やしても、借りる人が同じ速さで増えなければ、1台あたりの稼働は下がります。それが半年のうち5か月続いていたことになります。
逆転したのは4月の1か月だけです。会員は385万1,000人、専用車両は6万6,982台まで来ていますが、この短信からは、4月の逆転が稼働にどこまで届いたかは分かりません。増収で利益が伸びないのは、車がまだ余っている段階の数字だと考えています。
会社はどう説明しているか
4ページ目の説明文では、国内と海外の駐車場は稼働が想定を上回り、モビリティは軟調だった、と分けて書いています。純利益については、特別損失120億円と法人税等調整額の益310億円を並べて、後者のために前年を大きく上回ったと自分から言っています。
本業の説明は、そのまま受け取ります。理由は、セグメントの数字と食い違いが無いからです。税と再編の部分は、詳細を別のお知らせに回しているので、短信の範囲で言えることまでにしています。
通期予想に対して、どこまで来ています
会社は6月15日に、通期の予想を修正しています。修正前の数字は短信には載っておらず、3月17日に出た予想とは比べられませんでした。
| 項目 | 通期予想 | 中間実績 | 残り6か月に必要 | 進捗 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,110億円 | 2,022億7,500万円 | 約2,087億2,500万円 | 約49% |
| 営業利益 | 425億円 | 172億9,500万円 | 約252億500万円 | 約41% |
| 経常利益 | 395億円 | 157億3,000万円 | 約237億7,000万円 | 約40% |
| 純利益 | 440億円 | 296億5,700万円 | 約143億4,300万円 | 約67% |
約の付いた数字は、通期予想から中間実績を引き、通期予想で割った私の計算です。
営業利益は4割まで来ています。残り6か月に252億円、前年の同じ6か月より1割半ほど多く稼ぐ置き方です。純利益は3分の2まで進んでいますが、税効果の益は下期にはもう無いので、残りの143億円が会社の考える下期の実力だと読みました。
配当は前期の30円から65円へ増える予想で、配当性向は4分の1ほどです。ただし分母の純利益440億円には、310億円の税効果が入っています。それを抜いた利益に対する割合は、もっと高いはずです。
私はどう読んだか
見出しの6倍は、税の計算です。この半年の実力は、営業利益の1割増で測るべきだと考えています。増収4.6%に対して、営業利益は9.6%伸びました。その差の分は、海外の赤字が12億円分消えたからです。国内駐車場は4%増、カーシェアはほぼ横ばいでした。
本業は堅い、という見方をしています。理由は、駐車場の稼働が会社側の想定を上回り、営業キャッシュ・フローも前年並みを保っているからです。上がるかは知りません。
それでも頭に残っているのは、半年で500億円減った現金と、1年内に返す借金が333億円まで増えたことのほうです。心配性なので、次の決算では現金の欄を先に開くと思います。
出典:決算短信(会社発表)
清算に入る英国子会社の株式を、その前に292億円で買い増した理由は、短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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