JMACS(5817)第1四半期決算分析――営業利益は3ヶ月で通期予想の7割、それでも予想は据え置きだった

JMACS(5817)第1四半期決算分析――営業利益は3ヶ月で通期予想の7割、それでも予想は据え置きだった 決算を読む

はじめに

JMACSは電線の中堅メーカーです。電線といっても、家庭のコンセントにつながるような電力線ではなく、計装・制御用が主体です。工場やプラントの中で、機械を動かしたり、温度や圧力を測ったりするための信号を運ぶケーブル。つまり、設備を建てる人・設備を動かす人が買うものです。工場に投資が入ると注文が来て、投資が止まると注文も止まる、そういう場所にいる会社です。

もうひとつの特徴は、小ロット・短納期に寄せていることです。大量生産の規格品で大手と正面からぶつかるのではなく、「この仕様のケーブルを、少しだけ、急ぎで」という注文を拾う。会社自身が短信の中で「スピードと技術」と書いている部分です。

かつてはFA事業も持っていましたが撤退し、いまは電線に戻っています。実際、短信の注記にも「電線事業」の単一セグメントだと書かれています。会社が何で稼いでいるかを追うのは、その意味では楽な会社です。

7月15日に出た、2027年2月期の第1四半期決算です。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高1,6471,302+26.5%
営業利益22767+238.8%
経常利益23273+215.6%
純利益16152+209.4%

(単位:百万円)

売上が2割半増えて、営業利益は2.4倍。数字だけ見れば文句のない四半期です。ただ、1ページ目にはこの表の下に通期予想も印字されていて、そちらは営業利益で3割以上減る置き方のままです。増益のQ1と減益の通期予想が、同じ紙の上に並んでいます。

最初の表では分からなかったこと

利益が2.4倍になった構造は、単純だった

7ページ目の損益計算書を見ると、からくりというほどのものはありませんでした。売上総利益が332,931千円から505,393千円に増えた一方で、販売費及び一般管理費は265,813千円から278,005千円と、ほとんど動いていません。増えた粗利が、途中でほぼ削られずに営業利益まで落ちてきた。それだけです。

営業利益率は5.1%から13.8%になりました。固定費の上に売上が乗ると利益率はこう動く、という教科書どおりの形です。逆に言えば、売上が引けば同じ勢いで戻る形でもあります。

現金は減り、在庫は増えている

ここが引っかかった場所です。5ページ目の貸借対照表で、現金及び預金は3ヶ月で372,278千円減っています。四半期純利益を161,106千円計上した期に、です。

代わりに増えているのが在庫でした。原材料及び貯蔵品が175,206千円増えて967,339千円。会社は4ページ目で「材料入荷面での懸念は続いております」と書いているので、材料を先に厚く持ちにいった読み方はできます。受注が堅調なら、それ自体は前向きな在庫です。ただ、前向きかどうかを確かめたいときに見るのがキャッシュ・フロー計算書で、8ページ目にはこうあります。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。第1四半期では珍しくない扱いですが、現金の減り方の中身を短信から確かめる手段は、今回はありません。

もうひとつ、7ページ目の営業外費用に、前年には無かった売上債権売却損3,445千円が出ています。売掛金を期日前に現金化したときに出る費用です。金額は小さいので、これだけで資金繰りの話にするのは行き過ぎだと思います。ただ、現金の減少・在庫の増加と同じ四半期に並んで出てきた項目として、頭の隅には置いておきます。

財務そのものは静か

負債は3ヶ月で252,373千円減り、自己資本比率は55.0%から56.7%へ。借入金も少し減っています。配当予想15円に対して予想配当性向は34.0%。バランスシート側に急いで読むべきものは見当たりませんでした。

会社はどう説明しているか

4ページ目の説明文で、会社は好調の理由を、半導体業界の大幅な需要拡大と、国内工場などの設備投資需要を短納期対応で取り込めたこと、プラント案件やFA・計装ケーブルの受注が堅調なこと、としています。冒頭に書いた「工場に投資が入ると注文が来る会社」の、注文が来ている局面だという説明です。ここは損益計算書の形とも合っていて、そのまま受け取っています。

一方で心配ごととしては、ホルムズ海峡の封鎖に伴って原油由来製品の価格が上がっていること、材料の入荷面の懸念を挙げています。電線は材料の塊なので、ここは利益率に直接効く話です。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目進捗率
売上高26.1%
営業利益69.0%
経常利益64.3%
純利益64.9%

3ヶ月経過時点の目安は4分の1です。売上はちょうど目安どおり。ところが営業利益は、3ヶ月で通期予想329百万円の7割近くまで来ています。

……3ヶ月で7割。これは変だ。

機械に引き算をさせると、残り9ヶ月に会社が置いている営業利益は102百万円。前年の同じ9ヶ月から7割以上減る置き方です。売上のほうは残り9ヶ月でほぼ前年並みを置いているのに、利益だけが大きく沈む計算になる。そして通期予想は「2026年4月14日に発表した内容から変更はありません」の一文だけで、なぜ残り9ヶ月がそれほど細るのか、その理由は決算短信には書かれていません。決算補足説明資料も説明会も無し、と1ページ目に印字されているので、短信の外で補われる予定も、今のところ見えません。

私はどう読んだか

読み方は2つあると思います。半導体や設備投資の需要が一時的で、Q1に案件が固まって落ちただけだと会社が見ている読み方。もうひとつは、期初予想を機械的に置いたまま、まだ触っていないだけだという読み方。

私は前者に寄せて読んでいます。理由は、原材料価格の上昇と入荷面の懸念を会社自身が心配ごとの筆頭に書いていることと、利益率13.8%が固定費の上に売上が乗ったときの数字であって、売上が普通に戻れば利益率も戻る構造だからです。据え置きは怠慢ではなく、Q1の勢いを続く前提にしていない、という意思表示だと読みました。私の読み違いかもしれません。少なくとも、どちらなのかを短信の文面から確定させることはできませんでした。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260715/140120260715593902.pdf

残り9ヶ月の利益を前年から大きく落として置いたまま予想を据え置いた理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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