はじめに
シャッターを作っている会社です。商店の軽いものから、工場や倉庫に付く重量シャッター、火事のときに自動で降りてきて炎と煙を区切る防火シャッターまで。ビル向けのスチールドアや集合住宅の玄関ドアもここの製品です。買うのは建設会社や工務店、それにビルや商業施設の持ち主です。
シャッターは、毎日開けて閉めるものです。だから必ず壊れます。「上がらなくなった」と電話が入る先がこの会社です。緊急の修理と定期点検の仕事が、そこから続いていきます。
最近は、豪雨で店や地下に水が入るのを止める設備や、夏の暑さを建物の中に入れないための屋内用の遮熱シートにも手を広げています。開口部をふさぐ、という一点でつながった商売です。
増収増益と、減益が、同じ表に並んでいる
11月5日に出た中間決算です。4月から9月までの半年をまとめたものです。
| 項目 | 今回(4〜9月) | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,104億6,600万円 | 1,052億7,600万円 | +4.9% |
| 営業利益 | 40億5,400万円 | 38億6,300万円 | +5.0% |
| 経常利益 | 40億4,500万円 | 43億1,600万円 | △6.3% |
| 純利益 | 22億4,000万円 | 27億4,600万円 | △18.4% |
上の二行と下の二行で、向きが分かれています。分かれ目がどこにあるのかは、表紙の数字だけでは分かりません。
営業利益を押し上げたのは、シャッターではない
事業ごとの数字を前年同期と並べます。
| 事業 | 営業利益(前年同期) | 営業利益(今回) | 売上高の前年同期比 |
|---|---|---|---|
| シャッター関連製品 | 31億8,500万円 | 30億8,700万円 | +3.5% |
| 建材関連製品 | 4億6,200万円 | 6億8,800万円 | +0.9% |
| サービス | 23億3,100万円 | 26億4,700万円 | +9.7% |
| リフォーム | △4,500万円 | 7,500万円 | +12.9% |
| その他(止水・遮熱など) | 5億7,800万円 | 8億1,900万円 | +40.5% |
| 合計 | 65億1,100万円 | 73億1,800万円 | |
| 全社費用などの調整額 | △26億4,800万円 | △32億6,300万円 |
社名を背負っている主力だけが、減っています。会社は、国内の重量シャッター等が若干減少したためだと書いています。増収のほうは円安による押し上げ効果等だ、とも説明しています。
代わりに稼いだのは外側でした。修理と保守のサービス事業、オフィスビルや大型商業施設向けのスチールドアが伸びた建材、前年の損失から黒字へ転じたリフォーム。豪雨向けの止水と暑熱対策の遮熱は、売上が4割増えています。
ここまで並べて、中身は悪くないと思いました。……いや、合計の下の行を見落としている。
事業ごとの利益を足した額は8億700万円増えています。ところが営業利益の増え方は1億9,100万円しかありません。差を作ったのは、どの事業にも配分していない全社費用です。6億円ほど増えています。増えた利益の大半は、事業の外で消えました。
経常利益を削ったのは、グループ内の貸し借り
営業外収益が8億8,300万円から5億5,600万円へ減っています。前年あった為替差益2億6,200万円と持分法による投資利益1億3,400万円は、今回は無くなりました。逆に、為替差損8,200万円と持分法による投資損失5,700万円が営業外費用に入りました。
為替差損について、会社は海外子会社へのグループ内貸付金の評価替えによるものだと書いています。外の相手と売り買いして損をした、という話ではありません。グループの中で貸しているお金を、期末の為替で円に直したときに出た差です。
純利益の減り方は経常利益より大きく、18.4%減です。特別利益は2億3,700万円から3,100万円へ減りました。前年には固定資産売却益1億5,400万円と投資有価証券売却益8,200万円があり、今回はそれが無くなっています。
それに加えて、税金等調整前の利益は4億8,000万円減っています。それなのに法人税等は17億9,400万円から18億2,000万円へ増えました。中間期の税金費用は通期の見積実効税率を使って計算していると注記にあります。通期の利益見通しに引っぱられて動く数字です。
製品の在庫が、半年で5割近く増えている
営業活動によるキャッシュ・フローは91億3,200万円でした。前年同期は108億600万円で、15.5%の減少です。入ってきたのは売上債権及び契約資産の減少額113億1,200万円、出ていったのは棚卸資産の増加額61億100万円です。
引っかかったのは、その棚卸資産の中身です。商品及び製品が105億3,500万円から156億8,100万円へ増えました。増えた額は51億4,600万円で、半年で5割近くという計算になります。売上が5%弱しか伸びていない半年に、この増え方は目を引きます。なぜ積んだのかは、決算短信には書かれていません。
手元の現金は足りています。現金及び現金同等物は392億6,300万円で、半年で25億5,800万円増えました。設備投資は19億円、配当の支払いは26億1,000万円です。資金繰りが詰まっている話ではなく、積んだ理由が分からない、という話です。
下期で、通期予想のほとんどを取る形になっている
| 項目 | 通期予想 | 中間期の実績 | 進捗率 | 残り6か月に必要な額 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,500億円 | 1,104億6,600万円 | 約44% | 1,395億3,400万円 |
| 営業利益 | 188億円 | 40億5,400万円 | 約22% | 147億4,600万円 |
| 経常利益 | 195億円 | 40億4,500万円 | 約21% | 154億5,500万円 |
| 純利益 | 130億円 | 22億4,000万円 | 約17% | 107億6,000万円 |
進捗率と右端の金額は、通期予想から私が割ったり引いたりしたものです。
利益の進捗率は2割強で、半年なら半分という目安には遠く届いていません。ただ、この会社の利益は期の後ろに寄ります。8月4日に出た第1四半期は営業損失1億1,100万円でした。上期の累計が40億5,400万円の黒字ですから、7月から9月の3か月で41億6,500万円の営業利益を出したことになります。
それでも、残り6か月で営業利益147億4,600万円は軽い数字ではありません。前年の下期を26%上回る必要があります。会社は5月14日に出した通期予想を変えていません。据え置いた理由は、短信の将来予測の節には書かれていませんでした。
私はどう読んだか
経常利益と純利益の減少を、本業が傷んだ結果だとは考えていません。理由は、減らしたものが為替の評価替え、持分法、前年の資産売却益、税金費用の計算方法という、営業の外側の項目ばかりだからです。営業段階では、主力を除く四つの区分が増益でした。
ただ、増益の構図には引っかかりが残ります。主力のシャッターが減り、修理と保守、止水、遮熱といった周辺がそれを埋めました。増えた分の大半が全社費用に吸われた半年です。止水と遮熱の売上は52億7,600万円で、全体の5%ほどしかありません。主力の減りを支える柱になるには、まだ小さいと考えています。
心配性なので、在庫のほうを覚えておきます。下期で売れれば前向きの仕込みだったことになり、残れば来期の粗利を削ります。次の決算で、商品及び製品の行を先に見ます。
出典:決算短信(会社発表)
製品在庫が51億4,600万円増えた理由と、全社費用が6億円増えた内訳は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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