レンゴー(3941)2027年3月期 中間決算分析――先行需要の反動を見込んだと読みました

レンゴー(3941)2027年3月期 中間決算分析――先行需要の反動を見込んだと読みました 日本株

はじめに

宅配便で届く箱、スーパーで野菜が積まれている箱、お菓子を包んでいるフィルム、肥料を入れる大きな紙袋。レンゴーはそういうものを作っている会社です。

段ボールは、波の形に成形した紙を板紙で挟んで作ります。レンゴーはその板紙を自分の工場で抄き、箱に加工して、荷主に納めるところまでを一貫でやっています。買い手は通販の会社、食品メーカー、農協、工場。個人が店で選んで買う商品ではないので、名前を知らないまま毎日触っている会社です。

段ボールのほかに、食品を包むフィルム、米や樹脂の粒を入れる袋、ケーキの箱、セロファンも作っています。ですから業績は、特定の商品の売れ行きではなく、国内でモノがどれだけ動いたかと、紙や樹脂をいくらで売れたかで決まります。

1割の増収で、利益は7割増えた

11月5日に出た中間決算です。2026年4月から9月までの半年分です。

項目今回前年同期増減率
売上高5,541億4,100万円4,972億2,000万円+11.4%
営業利益333億6,900万円199億7,400万円+67.1%
経常利益342億6,900万円200億3,700万円+71.0%
純利益208億5,000万円110億3,300万円+89.0%

営業利益率は前年同期の4.0%から6.0%へ上がりました。半年で2ポイントの改善です。

何がここまで効いたのかを探しに行きます。

増えた利益の半分は、売上の2割の事業から出ていた

事業ごとの営業利益を並べます。

セグメント今回前年同期
板紙・紙加工関連179億4,700万円125億5,200万円
軟包装関連122億8,200万円53億5,600万円
重包装関連16億8,200万円10億8,800万円
海外関連6億5,300万円1億4,700万円
その他6億2,900万円6億3,000万円
調整額1億7,400万円1億9,800万円
合計333億6,900万円199億7,400万円

営業利益の合計は、前年同期の199億7,400万円から333億6,900万円へ増えました。増加額は133億9,500万円です。このうち軟包装関連は53億5,600万円から122億8,200万円へ増えました。増加額は69億2,600万円で、全体の増加の半分を超えています。

軟包装の売上は外部顧客向けで1,131億5,000万円。全体の2割です。売上の2割の事業が、増えた利益の半分を出したことになります。

引っかかったのはここです。板紙と段ボールが主力の会社で、利益の伸びをいちばん作ったのは、袋とフィルムの事業でした。

営業外が稼いだのは、8億3,700万円だけだった

経常利益の増加分は142億3,200万円。営業利益の増加分が133億9,500万円ですから、差は8億3,700万円です。これが営業外の収支の改善分で、私の引き算です。

中身を見ると、持分法による投資利益が5億8,600万円から18億6,300万円へ増えています。受取配当金も14億8,600万円から21億3,500万円へ増えました。一方で支払利息は23億4,100万円から33億1,400万円へ増えました。増えた収益の大半が、増えた利息で消えた形です。

経常利益が7割増えたと聞くと、持分法や配当金が効いたように読めます。実際は142億円のうち134億円が本業から出た分です。

242億円増えた売掛金と、この短信に無いキャッシュ・フロー計算書

貸借対照表を開きます。受取手形及び売掛金が2,825億3,100万円から3,067億6,700万円へ増えていました。増加額は242億3,600万円です。半年で1割近い増加です。

商品及び製品も572億9,700万円から646億1,500万円へ増え、仕掛品と原材料も増えました。売上が1割伸びているので、珍しいことではありません。仕入れの側でも支払手形及び買掛金が147億4,100万円増えていて、こちらは資金の出を遅らせます。

では、半年でいくら現金が入ってきたのか。その答えを書いた表が、この決算短信には添付されていません。添付資料の目次には、貸借対照表、損益計算書、包括利益計算書、注記までしか並んでいません。表紙には決算補足説明資料があると書いてあります。そちらに載っているのかもしれませんが、まだ目を通していません。

現金及び預金は922億1,700万円から961億2,800万円へ増えています。増えた額は38億円ほどです。……いや、これだけでは何も言えない。社債が951億円から1,151億円へ増えています。200億円の増加ですから、増えた現金の出どころは分けられません。

922万株を消して、1株利益は純利益より速く増えた

5月14日の取締役会の決議にもとづいて、自己株式922万200株を134億6,400万円分取得していました。自己株式の残高は122億6,000万円から257億2,400万円へ増えています。

期中平均株式数は2億4,793万6,747株から2億4,344万2,504株へ減りました。この結果、1株当たり中間純利益は44円50銭から85円65銭へ増えました。ほぼ2倍です。純利益の伸びは+89.0%でしたから、株数が減ったぶんだけ1株利益のほうが速く増えた形です。

配当は中間が25円、期末も25円の予想です。年間では50円で、前期は年間40円でした。

会社は値上げと、中東情勢の先行需要で説明している

会社自身の説明は、添付資料の2ページから3ページにあります。

事業ごとの説明に「製品価格改定が寄与し増収増益」と書いてあります。板紙・紙加工、軟包装、重包装、海外関連の4つすべてに価格改定が出てきます。値上げが通った半年だったということです。

量のほうはほとんど伸びていません。板紙製品の生産量は125万6,000トンで+1.9%でした。段ボールは+0.9%、段ボール箱は+1.2%です。紙器業界については、物価上昇による消費の下押し圧力とギフト市場の縮小で「生産量は前年を下回りました」と書いています。

そして軟包装と重包装の増益理由には、価格改定のほかにもう一つ入っています。「中東情勢の緊迫化を背景とした先行需要」です。重包装では「包装資材確保の先行需要が発生し」とも書いてあります。利益がいちばん伸びた2つの事業に、この言葉が付いていました。

先行需要は、あとの期から前に持ってきた注文です。前に持ってきた分は、そのあとの期から引かれます。

セロファンについては、溶解パルプや薬品の価格が上がったため、7月納品分から価格改定に取り組んでいると書いてあります。値上げの裏側に原材料の値上がりがあることは、会社も隠していません。

残りの半年に、会社は営業利益126億3,100万円しか見込んでいない

通期予想は5月14日に出したものから変わっていません。

項目通期予想中間期までの進捗率
売上高1兆900億円約50.8%
営業利益460億円約72.5%
経常利益440億円約77.9%
純利益310億円約67.3%

約の付いた進捗率は、中間期の実績を通期予想で割った、私の割り算です。

売上高は半分を少し超えたところで、半年経ったのだから妥当な水準です。営業利益は7割を超え、経常利益は8割に近づいています。

通期予想の営業利益460億円から中間期の実績を引くと、残りの半年は126億3,100万円。前年の下半期と比べて3割近く減る計算になります。経常利益は97億3,100万円で、こちらは4割以上減ります。

ところが純利益だけは101億5,000万円で、前年の下半期とほぼ同じ水準です。経常利益が4割以上減るのに、純利益は横ばい。この組み立ての理由は、決算短信には書かれていません。

予想を動かさなかったことについて、会社は「現時点では不確定要素が多いため」とだけ書いています。

据え置かれた予想を、私はこう受け取った

受け取り方は2つあると思います。一つは、予想が5月のまま古いだけで、下半期も中間期のペースで進むという見方。もう一つは、下半期に反動を見込んでいるという見方です。

私は後者だと考えています。理由は、増益の説明に会社が自分から「先行需要」と書いているからです。中東情勢を背景に先に買われた包装資材は、下半期の注文から引かれます。利益がいちばん伸びた軟包装と重包装が、そのまま反動を受ける事業にあたります。

ただ、増えた利益の中身そのものは悪くありません。営業外の寄与は8億3,700万円どまりで、残りは本業から出ています。しかもその増益は、原価が下がったからではなく、値上げが通ったからです。価格改定は取り消されない限り、半年で消える種類のものではありません。

だとすると、残りの半年が3割減というのは、先行需要の反動だけでは説明が付かない気もします。エネルギーや原材料の値上がりをどこまで見込んでいるのか、そこまでは決算短信から追えませんでした。心配性なので、頭の片隅に置いておきます。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信
レンゴー株式会社の決算短信を掲載しています。

半年で本業からいくら現金が入ってきたのかは、この決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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