エーアイテイー(9381)2027年2月期 中間決算分析――コンテナが増えない増収と読みました

エーアイテイー(9381)2027年2月期 中間決算分析――コンテナが増えない増収と読みました 決算を読む

中国から届く服と雑貨を、船から税関まで引き受ける会社

エーアイテイーは、海外で作られた品物を日本へ運ぶ手配を、まとめて引き受ける会社です。中心になっているのは、中国から届く衣料品と日用雑貨です。船の運賃を仕入れて荷主に売り、日本に着いたあとは税関の手続きと国内の配送まで受け持ちます。

荷主は、服や雑貨を海外の工場で作らせて、日本の店に並べる会社です。船会社との交渉や通関書類の準備には手間がかかります。そこをひとまとめに任せられる相手として、エーアイテイーが間に入っています。

秋から年末にかけては、冬物と年末商戦の品が一気に入ってくる時期で、いちばんの書き入れ時です。今回の決算は、その直前で締めた半年の数字です。

増収増益で、経常利益だけが前年並みでした

2026年10月9日に出た中間決算です。期間は3月から8月までの半年です。

今回前年同期増減率
売上高305億1,700万円282億4,400万円+8.0%
営業利益22億4,300万円20億2,300万円+10.9%
経常利益23億9,000万円23億9,700万円-0.3%
純利益15億8,900万円16億2,800万円-2.4%

営業利益までは増えて、経常利益から下が前年をわずかに下回っています。この食い違いを確かめるのに、いちばん時間を使いました。

コンテナの本数は、前年より少し減っています

売上が1割近く増えたので、運ぶ量も増えたのだろうと考えていました。短信4ページ目の説明では、海上輸送の取扱いは輸出入の合計で124,101TEU(コンテナの本数を、小さいコンテナに揃えて数えた単位)、前年同期比0.3%減です。3月は春節の時期がずれて落ち込み、4月以降に持ち直したものの、半年では前年に届いていません。

では、何で売上が増えたのか。会社が短信とは別に出した決算補足資料に、海上輸送の売上の増減が要因ごとに分けて載っています。ここからは補足資料の数字です。

海上輸送の売上は10億9,500万円増えました。そのうち為替の影響が6億4,900万円、販売価格の上昇が4億9,900万円です。量の減少は5,300万円のマイナスでした。ドルは1ドル147.23円から160.82円へ動いたと書かれています。

増えた分の半分以上が為替で、残りの多くが値上げです。量はむしろ足を引っぱっています。

引っかかったのは、粗利の側でした。同じ補足資料で海上輸送の粗利を見ると、販売価格の上昇で4億9,900万円増え、仕入価格の上昇で3億4,000万円減っています。運賃の仕入れが上がった以上に、売値を上げられたということです。営業利益率が7.2%から7.4%へ上がったのは、この差が効いたからだと私は受け取りました。

円安の半年に、為替差損が出ています

営業利益は2億2,000万円増えたのに、経常利益は700万円減りました。損益計算書の営業外の欄に、その理由がそのまま出ています。

前年同期今回
営業利益20億2,300万円22億4,300万円
為替差益(△は差損)1億9,200万円△4,900万円
経常利益23億9,700万円23億9,000万円
法人税等合計6億7,900万円7億6,900万円
非支配株主に帰属する中間純利益8,800万円3,100万円
純利益16億2,800万円15億8,900万円

前年は為替で1億9,200万円の得、今回は4,900万円の損でした。差し引きで2億4,100万円の振れになります。営業利益の増加分が、ほぼそのまま消えています。

……円安で売上が伸びた半年に、為替差損か。どの残高から差損が出たのかは、短信にも補足資料にも書かれていません。

純利益が経常利益より大きく減ったのは、税金が原因です。税引前の利益は前年とほぼ同じなのに、法人税等が9,000万円増えています。税引前利益に対する法人税等の割合は、前年の28%ほどから32%ほどへ上がりました。これは私が割った数字です。上がった理由は、短信と補足資料からは読み取れませんでした。

現金同等物の減少は、定期預金への預け替えでした

キャッシュ・フロー計算書の最後の行では、現金及び現金同等物が半年で39億3,100万円減っています。ところが、貸借対照表の現金及び預金は8億7,100万円しか減っていません。

差を生んだのは、定期預金への33億6,400万円の預け入れです。3か月を超える預金は計算書の上で現金同等物から外れるので、置き場所を変えただけで数字が減って見えます。投資有価証券も12億8,600万円買い増しています。受取利息が前年の倍近くに増えたのは、この預け替えの結果だと考えています。

本業の稼ぎを示す営業キャッシュ・フローは16億2,600万円で、配当の支払い12億9,100万円をまかなえています。

短信を読んでも中身が分からないものが、ひとつだけありました。立替金が半年で9億5,000万円増え、29億6,200万円になっています。通関を扱う会社なので、荷主に代わって払った関税や消費税が入っているのだろうと考えています。ただ、内訳は短信にも補足資料にも載っていません。同じ半年に買掛金も増えていて、資金繰りの上では打ち消し合っています。

会社の説明は、値上げと円安と、為替差益の反動です

短信4ページ目の説明は、補足資料とほぼ同じ文面です。増収の理由として、燃油サーチャージと国内の陸送費の上昇を価格に反映したこと、アパレルが堅調で雑貨も持ち直したこと、円安の3つを挙げています。経常利益については「前年同期に計上した為替差益の反動」とはっきり書いています。

この説明は、数字と食い違っていません。量が減ったことも、3月の落ち込みとして会社側から書いています。そのまま受け取ってよいと考えています。

ひとつだけ気になるのは、「積極的な営業活動も奏功し」の部分です。補足資料の予想との比較によると、海上の取扱量は4月時点の想定を約3,700TEU下回りました。営業の成果は、量にはまだ表れていません。

通期予想は据え置きで、下期は営業外を厚めに見込む形です

上期は4月に出した計画をすべての段階で上回りましたが、通期予想は変えていません。

通期予想上期実績進み具合下期に要る額前年の下期と比べて
売上高625億円305億1,700万円約49%約319億8,300万円約6%増
営業利益45億3,000万円22億4,300万円約50%約22億8,700万円約5%増
経常利益49億6,000万円23億9,000万円約48%約25億7,000万円約13%増
純利益33億9,000万円15億8,900万円約47%約18億100万円約16%増

約の付いた数字は私の計算です。下期に要る額は、通期予想から上期実績を引いて出しました。前年の下期は、表紙にある通期予想の増減率から前年の通期を割り戻し、そこから前年の上期を引いています。

進み具合は、どの利益もほぼ半分です。気になったのは、経常利益と営業利益の差でした。下期に要る経常利益は25億7,000万円、営業利益は22億8,700万円です。差し引くと、営業外で2億8,300万円を稼ぐ形になります。上期の経常利益は23億9,000万円、営業利益は22億4,300万円でした。営業外で稼いだのは、差し引き1億4,700万円です。下期は、営業外を上期の倍近く見込んでいることになります。

4月に作った予想を、為替の前提ごと据え置いたからだろうと考えています。下期の為替の前提は、短信には書かれていません。据え置いた理由として、会社は物価高による消費への影響、気候による季節商品の売れ行き、運賃の水準の変化を挙げています。

値上げが通った半年だと受け取っています

この上期は「値上げが通った半年」だった、と私は読みました。理由は、海上輸送の粗利で、売値を上げた分が仕入れの上昇分を上回っているからです。円安とは別の、会社自身の交渉で取った部分です。

一方で、コンテナの本数は増えていません。為替は売上を押し上げた一方で、営業外では差損として利益を削りました。為替が円高に振れれば、売上の伸びと営業外の両方が同時に変わります。心配性なので、下期はまず量が前年を超えるかを確かめます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.ait-jp.com/docs/ir/library/202610091200001.pdf

円安の半年に為替差損が出た理由と、立替金が9億5,000万円増えた中身は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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