はじめに
古野電気は、船の上で使う電子機器の会社です。漁師が魚の群れを探す魚群探知機を作っています。商船の船橋で他の船や陸地を映すレーダーや、紙の海図に代わる電子海図も扱っています。大型船の新造船にも、既存船の機器の入れ替えにも、ここの製品が載ります。
陸の上の仕事もあります。携帯電話の基地局が時刻を合わせるためのGNSS受信機や、ETC車載器を作っています。防衛装備品もあります。学校に置く無線LANの機器まで扱っています。ただ、売上の大半は船の仕事です。
この決算で何が起きたか
10月9日に出た中間決算です。同じ日に、通期予想の上方修正と増配も出ています。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 799億1,700万円 | 686億5,300万円 | +16.4% |
| 営業利益 | 128億6,600万円 | 93億300万円 | +38.3% |
| 経常利益 | 137億8,100万円 | 101億6,900万円 | +35.5% |
| 純利益 | 99億4,800万円 | 101億9,000万円 | △2.4% |
上の3行はそろって増えています。最後の1行だけが減っています。
純利益だけが減った理由は、税金の欄にありました
まず損益計算書を下までたどりました。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 税金等調整前中間純利益 | 102億6,000万円 | 137億7,900万円 |
| 法人税等合計 | 3,500万円 | 37億8,900万円 |
| うち法人税等調整額 | △17億4,400万円 | 1億5,800万円 |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 99億4,800万円の前年は101億9,000万円 | 99億4,800万円 |
税金を引く前の利益は、3割以上増えています。減ったのは税金のあとです。前年の中間期は、102億円を超える利益に対して、税金が合計でわずか3,500万円でした。法人税等調整額が17億4,400万円のマイナスで、本来の税金をほぼ打ち消していたからです。
今回はその打ち消しがなく、37億8,900万円をふつうに負担しています。純利益の△2.4%は、本業が細った結果ではありません。前年の税負担が軽すぎた反動です。
前年に何があって調整額がそこまで大きくなったのかは、短信にも、私が目を通した説明会資料のページにも書かれていませんでした。
営業キャッシュ・フローの減少も、税金の支払いで説明がつきます
増収なのに、営業キャッシュ・フローが減っています。85億600万円から69億6,400万円へ。私はこの形に弱いので、添付資料8ページ目のキャッシュ・フロー計算書の前で一度手が止まりました。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 小計 | 92億9,400万円 | 99億7,900万円 |
| 棚卸資産の増減額 | 6,700万円 | △27億600万円 |
| 売上債権及び契約資産の増減額 | 1億5,800万円 | △12億5,600万円 |
| 法人税等の支払額 | △12億7,800万円 | △35億300万円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 85億600万円 | 69億6,400万円 |
税金の支払いは、今回が35億300万円、前年が12億7,800万円です。差し引くと、前年より22億2,500万円多く払っています。営業キャッシュ・フローは、85億600万円から69億6,400万円に減りました。減り幅は15億4,200万円です。
……いや、税金のほうが大きい。税金の支払いが前年並みなら、営業キャッシュ・フローはむしろ増えていたことになります。在庫と売掛金に40億円近くを吸われたうえで、小計は前年を超えています。
在庫の増え方と、前受けの増え方
それでも在庫の増加は確かめておきたいところです。貸借対照表では、原材料及び貯蔵品が2月末の127億6,100万円から141億1,800万円へ増えました。商品及び製品も286億100万円から301億9,000万円へ増えています。
その一方で、契約負債も38億6,300万円から48億1,400万円へ伸びています。お客さんから先に受け取ったお金で、まだ品物を渡していない分です。前受けが積み上がっているのは、注文が先に入っているということです。
説明会資料には、下期は部品価格の上昇を織り込むとあります。原材料の増加は、値段の上がる前に部品を押さえた分を含むのかもしれません。前受けの増え方と合わせて、売れ残りの在庫とは別のものだと私は受け取りました。
会社はどう説明しているか
短信の説明文で引っかかったのは、商船の話です。新造船の発注は、過去最高だった2007年とほぼ同じペースで進んでいて、造船会社の手持ちの工事は増え続けていると書いてあります。中国の新造船向けが特に伸びたそうです。
漁業向けは軟調だと、会社自身が書いています。北米のプレジャーボート向けも軟調でしたが、足元では底打ちの兆しがあるとしています。防衛装備品は、受注残を背景に生産が増えたとあります。
ただ、短信の説明は売上の話が中心で、利益がなぜここまで伸びたかの説明は短めです。そこは説明会資料のほうにありました。売上の増加112億6,000万円のうち、為替影響が41億円あります。粗利の増加64億1,000万円のうち、29億8,000万円が為替です。
需要が強いという説明は、そのまま受け取ります。前受けの増え方とも合っています。ただし、増益の半分近くは円安の分です。自分の商売で稼いだ分と、為替に乗った分は分けて考えておきます。
通期予想に対して、どこまで来ているか
| 通期予想 | 中間実績 | 進み具合 | 下期に要る額 | 前年の下期と比べて | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,580億円 | 799億1,700万円 | 約50.6% | 約780億8,300万円 | 約+8.6% |
| 営業利益 | 210億円 | 128億6,600万円 | 約61.3% | 約81億3,400万円 | 約+17.2% |
| 経常利益 | 220億円 | 137億8,100万円 | 約62.6% | 約82億1,900万円 | 約+1.3% |
| 純利益 | 170億円 | 99億4,800万円 | 約58.5% | 約70億5,200万円 | 約+7.8% |
約の付いた数字は、通期予想から中間実績を引き、前年の実績と並べて私が出したものです。
利益はどれも半分を超えて進んでいます。引っかかったのは経常利益です。下期に要る額は、経常利益が82億1,900万円、営業利益が81億3,400万円です。その差、つまり営業外の上乗せは8,500万円しかありません。上期の経常利益は137億8,100万円、営業利益は128億6,600万円でした。その差は9億1,500万円ありました。
下期は営業外の収入をほとんど見込んでいません。そのうえで、部品価格の上昇も織り込んでいるとのことでした。慎重な予想だと受け取りました。
私はどう読んだか
本業で稼いだ、素直に良い決算だという見方をしています。理由は、気になった2つの減少――純利益と営業キャッシュ・フロー――が、どちらも税金の欄で説明できたからです。税引前の利益も、税金を払う前の現金の入りも、前年を超えています。
心配性なので、頭に残しておくことは2つあります。増益の半分近くが為替であること。下期に部品の値段がどこまで効いてくるか。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.furuno.co.jp/Portals/0/images/ir/library/bs/kessan_27d02kt.pdf
前年の中間期に法人税等調整額が17億円を超えるマイナスになった理由は、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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