古野電気(6814)2027年2月期 中間決算分析――純利益の減少は税金の反動と読みました

古野電気(6814)2027年2月期 中間決算分析――純利益の減少は税金の反動と読みました 決算を読む

はじめに

古野電気は、船の上で使う電子機器の会社です。漁師が魚の群れを探す魚群探知機を作っています。商船の船橋で他の船や陸地を映すレーダーや、紙の海図に代わる電子海図も扱っています。大型船の新造船にも、既存船の機器の入れ替えにも、ここの製品が載ります。

陸の上の仕事もあります。携帯電話の基地局が時刻を合わせるためのGNSS受信機や、ETC車載器を作っています。防衛装備品もあります。学校に置く無線LANの機器まで扱っています。ただ、売上の大半は船の仕事です。

この決算で何が起きたか

10月9日に出た中間決算です。同じ日に、通期予想の上方修正と増配も出ています。

今回前年同期増減率
売上高799億1,700万円686億5,300万円+16.4%
営業利益128億6,600万円93億300万円+38.3%
経常利益137億8,100万円101億6,900万円+35.5%
純利益99億4,800万円101億9,000万円△2.4%

上の3行はそろって増えています。最後の1行だけが減っています。

純利益だけが減った理由は、税金の欄にありました

まず損益計算書を下までたどりました。

前年同期今回
税金等調整前中間純利益102億6,000万円137億7,900万円
法人税等合計3,500万円37億8,900万円
うち法人税等調整額△17億4,400万円1億5,800万円
親会社株主に帰属する中間純利益99億4,800万円の前年は101億9,000万円99億4,800万円

税金を引く前の利益は、3割以上増えています。減ったのは税金のあとです。前年の中間期は、102億円を超える利益に対して、税金が合計でわずか3,500万円でした。法人税等調整額が17億4,400万円のマイナスで、本来の税金をほぼ打ち消していたからです。

今回はその打ち消しがなく、37億8,900万円をふつうに負担しています。純利益の△2.4%は、本業が細った結果ではありません。前年の税負担が軽すぎた反動です。

前年に何があって調整額がそこまで大きくなったのかは、短信にも、私が目を通した説明会資料のページにも書かれていませんでした。

営業キャッシュ・フローの減少も、税金の支払いで説明がつきます

増収なのに、営業キャッシュ・フローが減っています。85億600万円から69億6,400万円へ。私はこの形に弱いので、添付資料8ページ目のキャッシュ・フロー計算書の前で一度手が止まりました。

前年同期今回
小計92億9,400万円99億7,900万円
棚卸資産の増減額6,700万円△27億600万円
売上債権及び契約資産の増減額1億5,800万円△12億5,600万円
法人税等の支払額△12億7,800万円△35億300万円
営業活動によるキャッシュ・フロー85億600万円69億6,400万円

税金の支払いは、今回が35億300万円、前年が12億7,800万円です。差し引くと、前年より22億2,500万円多く払っています。営業キャッシュ・フローは、85億600万円から69億6,400万円に減りました。減り幅は15億4,200万円です。

……いや、税金のほうが大きい。税金の支払いが前年並みなら、営業キャッシュ・フローはむしろ増えていたことになります。在庫と売掛金に40億円近くを吸われたうえで、小計は前年を超えています。

在庫の増え方と、前受けの増え方

それでも在庫の増加は確かめておきたいところです。貸借対照表では、原材料及び貯蔵品が2月末の127億6,100万円から141億1,800万円へ増えました。商品及び製品も286億100万円から301億9,000万円へ増えています。

その一方で、契約負債も38億6,300万円から48億1,400万円へ伸びています。お客さんから先に受け取ったお金で、まだ品物を渡していない分です。前受けが積み上がっているのは、注文が先に入っているということです。

説明会資料には、下期は部品価格の上昇を織り込むとあります。原材料の増加は、値段の上がる前に部品を押さえた分を含むのかもしれません。前受けの増え方と合わせて、売れ残りの在庫とは別のものだと私は受け取りました。

会社はどう説明しているか

短信の説明文で引っかかったのは、商船の話です。新造船の発注は、過去最高だった2007年とほぼ同じペースで進んでいて、造船会社の手持ちの工事は増え続けていると書いてあります。中国の新造船向けが特に伸びたそうです。

漁業向けは軟調だと、会社自身が書いています。北米のプレジャーボート向けも軟調でしたが、足元では底打ちの兆しがあるとしています。防衛装備品は、受注残を背景に生産が増えたとあります。

ただ、短信の説明は売上の話が中心で、利益がなぜここまで伸びたかの説明は短めです。そこは説明会資料のほうにありました。売上の増加112億6,000万円のうち、為替影響が41億円あります。粗利の増加64億1,000万円のうち、29億8,000万円が為替です。

需要が強いという説明は、そのまま受け取ります。前受けの増え方とも合っています。ただし、増益の半分近くは円安の分です。自分の商売で稼いだ分と、為替に乗った分は分けて考えておきます。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想中間実績進み具合下期に要る額前年の下期と比べて
売上高1,580億円799億1,700万円約50.6%約780億8,300万円約+8.6%
営業利益210億円128億6,600万円約61.3%約81億3,400万円約+17.2%
経常利益220億円137億8,100万円約62.6%約82億1,900万円約+1.3%
純利益170億円99億4,800万円約58.5%約70億5,200万円約+7.8%

約の付いた数字は、通期予想から中間実績を引き、前年の実績と並べて私が出したものです。

利益はどれも半分を超えて進んでいます。引っかかったのは経常利益です。下期に要る額は、経常利益が82億1,900万円、営業利益が81億3,400万円です。その差、つまり営業外の上乗せは8,500万円しかありません。上期の経常利益は137億8,100万円、営業利益は128億6,600万円でした。その差は9億1,500万円ありました。

下期は営業外の収入をほとんど見込んでいません。そのうえで、部品価格の上昇も織り込んでいるとのことでした。慎重な予想だと受け取りました。

私はどう読んだか

本業で稼いだ、素直に良い決算だという見方をしています。理由は、気になった2つの減少――純利益と営業キャッシュ・フロー――が、どちらも税金の欄で説明できたからです。税引前の利益も、税金を払う前の現金の入りも、前年を超えています。

心配性なので、頭に残しておくことは2つあります。増益の半分近くが為替であること。下期に部品の値段がどこまで効いてくるか。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.furuno.co.jp/Portals/0/images/ir/library/bs/kessan_27d02kt.pdf

前年の中間期に法人税等調整額が17億円を超えるマイナスになった理由は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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