工事現場に建機を貸し出す、大阪の商社です
ワキタは大阪に本社を置く機械の商社です。中心は、土木や建設の現場で使う機械です。建設会社やレンタル会社に売るほか、自分たちでも現場へ貸し出しています。工事のたびに機械を買わず、必要な期間だけ借りて返す。その借り先の一つがこの会社です。小さな機械は自社でも作っています。
柱はほかに二つあります。カラオケ機器などを扱う商事の事業と、オフィスビルやマンション、ホテルを持って貸す不動産の事業です。建機の商社が大阪でホテルも持っているとは、短信を開くまで知りませんでした。
売上は1割近く伸び、最後の利益は減りました
10月8日に出た中間決算で、3月から8月までの半年分です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 487億8,800万円 | 446億9,300万円 | +9.2% |
| 営業利益 | 26億7,000万円 | 25億5,800万円 | +4.4% |
| 経常利益 | 27億5,300万円 | 26億3,100万円 | +4.6% |
| 純利益 | 15億8,900万円 | 17億1,200万円 | -7.2% |
税金を引く前の利益は、前年とほぼ同じです。前年にあった関係会社株式の売却益1億1,300万円が今年は無く、税金の負担も重くなったぶん、最後の行が減っています。
三つの事業を足すと、利益は前年より減っていました
短信の後ろのほうに、事業ごとの利益の表があります。印刷して赤ペンを入れていて、ここで手が止まりました。
| 事業ごとの利益 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 建機事業 | 13億3,600万円 | 11億2,800万円 |
| 商事事業 | 3億7,000万円 | 4億9,500万円 |
| 不動産事業 | 10億800万円 | 9億6,200万円 |
| 三つの事業の計 | 27億1,500万円 | 25億8,600万円 |
| 調整額 | △1億5,600万円 | 8,400万円 |
| 営業利益 | 25億5,800万円 | 26億7,000万円 |
三つの事業を足した利益は、27億1,500万円から25億8,600万円へ減っています。減った額は1億2,900万円です。それでも全体の営業利益が増えたのは、一番下の調整額がマイナスからプラスに変わったからです。
……事業は減益なのに、会社全体は増益。順番が逆だ。
この行の中身は注記で分かります。今期から、株主優待の費用は各事業に配らず、どこにも属さない全社の費用としてこの行に入れる形に変わりました。前年の数字も同じ形に直してあります。
会社の説明文にも、関係する一文があります。前期末に積んだ優待の引当金は、使われた割合が見込みを下回りました。そのため8,300万円を戻し入れ、販管費が減ったという内容です。全社費用の行がちょうどプラス8,300万円なので、この行はほぼ戻し入れだけでできていると考えています。
営業利益の増えた分は、26億7,000万円から25億5,800万円を引いて出します。差は1億1,200万円です。そのうち8,300万円が、優待の引当金の戻し入れでした。会社自身も、これを「利益を押し上げる要因」と書いています。
配当に払った現金は、半年の純利益の3倍ありました
キャッシュ・フロー計算書を開くと、半年で現金が62億2,000万円減っています。
| 現金の出入り | 金額 |
|---|---|
| 期首の残高 | 172億7,000万円 |
| 営業活動 | +51億1,400万円 |
| 投資活動 | △25億5,900万円 |
| 財務活動 | △87億7,900万円 |
| うち配当金の支払い | △49億9,900万円 |
| うち設備関係割賦債務の返済 | △35億100万円 |
| 中間期末の残高 | 110億4,900万円 |
配当の49億9,900万円を、半年の純利益15億8,900万円で割ります。答えは3倍あまりです。これは前期末の配当、1株100円の支払いでした。前年の同じ半年も49億円台を払っているので、今年だけ重いわけではありません。
割賦債務の返済35億100万円は、名前のとおり、設備を分割払いで買った代金の支払いです。貸し出す建機の代金の多くが、投資の欄ではなく財務の欄から出ている、と私は受け取りました。貸すための建機を多く抱えているなら、減価償却費が40億9,800万円と大きいことにも筋が合います。
配当の形も変わります。前期は期末に100円を1回でした。今期は中間50円と期末50円の2回に分けます。年間では同じ100円です。
中間の50円は10月30日から払われます。自己株式を除いた株数、およそ4,972万株に50円を掛けると、およそ25億円。これは私の掛け算です。前年の下期には無かった支払いです。前期末の100円と今回の中間50円を、今期の1年の間に払うことになります。合わせると150円分の配当の現金が出ていきます。
予想の1株利益は72円39銭です。100円の配当は、利益の1.4倍ほどを配る計算になります。
事業ごとの理由は、会社がはっきり書いています
建機事業の減益について、会社の説明はこうです。売る部門は、レンタル会社の購買意欲が持ち直して売上が増えた。ただ、測量のデジタル化を手がけるグループ会社が設備や人材に先行投資をして、利益は減った。貸す部門は単価の見直しと稼働の向上で、売上も利益も伸びた。
商事事業が大きく伸びたのは、ケアレックス株式会社を新たに連結したためです。販売のほうはカラオケの新機種の反動で、売上も利益も減っています。不動産事業は、大阪・関西万博の閉会後にホテルの単価が下がりました。
どの理由もそのまま受け取ります。ただ、下期に優待の費用がまた計上されるのかどうかは、決算短信には書かれていません。前期末の引当金はそれなりの額でした。期末に同じように積むなら、今回の戻し入れの逆の動きが下期に来ます。
予想は据え置き、重みは下期に残っています
| 中間の実績 | 通期予想 | 進み具合 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 487億8,800万円 | 1,000億円 | 約48.8% |
| 営業利益 | 26億7,000万円 | 58億円 | 約46.0% |
| 純利益 | 15億8,900万円 | 36億円 | 約44.1% |
約の付いた数字は、表紙の通期予想で中間の実績を割った私の計算です。
通期予想の58億円から、中間の26億7,000万円を引きます。下期に要る営業利益は31億3,000万円です。前年の下期より1割半ほど多い額で、こちらは表紙の増減率から前年を割り戻して出しました。予想は4月9日に出したまま、変えていません。
私はどう読んだか
私は、この半年を、事業の稼ぎが前年を下回った半年だと読んでいます。理由は、三つの事業を足した利益が減り、全体の増益の大半が、引当金の戻し入れという一度きりのものだからです。
建機の減益は先行投資のため、という説明は筋が通っています。ただ、その成果はまだ数字に表れていません。配当は、半期の利益ではなく手元の現金から払っている形です。自己資本比率が7割ある会社なので、すぐ苦しくなる話ではありません。心配性なので、下期の現金の減り方は次の決算で確かめます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
下期の決算で株主優待の費用が改めて計上されるのかどうかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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