霞ヶ関キャピタル(3498)2026年8月期 通期決算分析――借りて仕込んだ一年と読みました

霞ヶ関キャピタル(3498)2026年8月期 通期決算分析――借りて仕込んだ一年と読みました 決算を読む

はじめに

霞ヶ関キャピタルは、土地を買って建物を建て、できあがった施設を投資家やファンドに売る会社です。建てているのは三つあります。家族や友人どうしで泊まるホテル、冷凍食品を保管する冷凍冷蔵倉庫、それに終末期の人が医療を受けながら暮らせるホスピス住宅です。

施設を使うのは、旅行者と、食品を運ぶ物流会社と、病気を抱えた本人とその家族です。ただ、この会社に売上をもたらすお客はもう一方にもいます。建物を丸ごと買い取る投資家と、運用を任せてくるファンドです。

ここ数年は米国、マレーシア、ドバイにも出ています。作って、売って、また作る商売なので、手元のお金の動き方は、ふつうのメーカーとはかなり違って見えます。

売上は7割近く伸び、利益の伸びはそれに届かなかった

2026年10月5日に出た、2026年8月期の通期決算です。

2026年8月期2025年8月期増減率
売上高1,637億5,600万円965億100万円+69.7%
営業利益278億6,600万円189億3,300万円+47.2%
経常利益258億9,600万円171億3,400万円+51.1%
純利益166億9,200万円102億5,000万円+62.9%

売上は7割近く、利益は5割から6割増えました。ただ、売上に対する営業利益の割合は、19.6%から17.0%に下がっています。量が増えたほどには、利益は伸びていません。

稼いだ利益とほぼ同じ額が、土地と建物に変わっていた

キャッシュ・フロー計算書まで進んだところで、引っかかりました。

2026年8月期2025年8月期
営業キャッシュ・フロー△167億6,500万円68億9,300万円
投資キャッシュ・フロー△314億7,800万円△185億5,700万円
財務キャッシュ・フロー653億3,600万円246億9,800万円
期末の現金417億8,700万円240億1,200万円

営業キャッシュ・フローは、前の期は収入だったのが、今期は167億6,500万円の支出に変わっています。純利益が166億9,200万円ですから、稼いだのとほぼ同じだけの現金が本業から出ていったことになります。……いや、これは大きい。

内訳をたどると、理由の大半は一つの行に集まっていました。

営業キャッシュ・フローの主な行2026年8月期
税金等調整前当期純利益257億900万円
棚卸資産の増加△263億4,000万円
前払金の増加△57億2,800万円
立替金の増加△48億2,600万円
法人税等の支払△87億1,000万円

この会社の棚卸資産は、売るつもりで持っている土地と建物です。貸借対照表では、販売用不動産が363億8,100万円から648億8,800万円へ増えています。売った分より、次に売るために仕込んだ分のほうが多かった一年です。

立替金の増加は、短信の説明文のほうには出てきません。計算書の行にあるだけです。何を立て替えたのかは、決算短信には書かれていません。

足りない現金は、借入と増資の両方で埋めていた

本業でも投資でも現金が出ていきました。投資のほうは、建物の取得や貸付け、会社の買収に使っています。財務キャッシュ・フローを開くと、その穴を埋めたお金は借入と増資の2本でした。

財務キャッシュ・フローの主な行2026年8月期
長期借入れによる収入658億9,900万円
長期借入金の返済△290億5,800万円
株式の発行による収入347億円
短期借入金の純減△55億5,300万円

658億9,900万円を借りて、290億5,800万円を返しています。差し引くと、長期の借入は1年でおよそ368億円増えたことになります。

ただ、借入だけに頼ったわけではありません。株式の発行で347億円を集めたので、自己資本比率は29.7%から39.1%に上がりました。財務の土台は、むしろ厚くなっています。

気になるのは返す時期のほうです。1年以内に返す長期借入金は、短信の説明文によると202億円増えて、337億9,500万円になりました。支払利息も13億1,400万円から27億2,200万円へ、ほぼ倍です。

ドバイの物件を、売り物から持ち物に移した

注記の「追加情報」に、短い一文がありました。ドバイで持っている不動産について、保有目的を変える決裁をした、という内容です。売るための開発中の資産だった129億6,100万円を、持ち続ける有形固定資産へ移しています。

有形固定資産は1年で331億9,700万円増えていて、その約4割がこの1件です。4割は、129億6,100万円を331億9,700万円で割った私の計算です。

売り物から持ち物に変わると、この資産は売ったときの売上にはなりません。家賃や運営の収入を少しずつ生む側に回り、減価償却も始まります。

説明文には、中東情勢が緊迫するなかでも、ドバイで2件の物件売却を進めたとあります。売れる物件は売り、この物件は持つと決めたわけです。なぜ持つことにしたのかは、決算短信には書かれていません。

会社の説明は、案件の数でできている

説明文の大半は、案件の件数です。

開業・竣工用地の取得
ホテル5件16件
ホスピス住宅7件—
冷凍冷蔵倉庫など3件6件

キャッシュ・フローの理由としては、棚卸資産と前払金の増加、それに法人税の支払が挙がっています。仕込みが増えたから現金が出た、という説明です。貸借対照表の動きとも合っているので、ここはそのまま受け取ります。

留保が一つあります。この会社は単一セグメントで、事業ごとの数字は短信に載っていません。ホテルと倉庫とホスピス住宅のどれが利益を運んだのかは、件数からは分かりません。

来期の予想には、利息の重さが入っている

今回は通期の決算なので、進み具合を測る段階はもう過ぎています。今期のはじめにどんな予想を出していたのかは、この短信には載っていません。予想に対して上だったのか下だったのかは、ここでは比べられません。

代わりに、2027年8月期の予想が出ています。

2026年8月期 実績2027年8月期 会社予想増減率
売上高1,637億5,600万円2,200億円+34.3%
営業利益278億6,600万円410億円+47.1%
経常利益258億9,600万円360億円+39.0%
純利益166億9,200万円240億円+43.8%

営業利益410億円から経常利益360億円を引くと、50億円になります。今期の同じ差は、278億6,600万円から258億9,600万円を引いて19億7,000万円でした。営業外で出ていくお金を、来期は2倍半ほどに見込んでいる計算です。

今期の営業外費用の中心は支払利息でした。ですから、来期のこの差の大半も利息だと私は受け取りました。見通しの節にも、金利の上昇や工期、コストといった下振れの要因を加味して保守的に作った、と書かれています。配当は165円から200円に増やす予想です。

私はどう読んだか

現金が出ていったことは、仕込みの結果だという見方をしています。理由は、出ていった現金が販売用不動産と建物の形で貸借対照表に残っているからです。それに、借入だけでなく増資でも賄っていて、自己資本比率が上がっています。

それでも、心配性なので先に目が行くのは返済の側です。1年以内に返す借入が増え、来期は利息の増加まで予想に入っています。仕込んだ土地と建物が、思った値段と時期で売れるかどうか。来期の数字はそこにかかっています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

IRライブラリ
霞ヶ関キャピタル株式会社のIR資料をご覧いただけます。

ドバイの物件を売らずに持つと決めた理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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