はじめに
ネクステージは中古車を販売する会社です。店に並んだ車の中から、車を乗り換える家族や、初めて車を持つ人が一台を選んでいきます。軽自動車から輸入車まで、車の種類ごとに店を分けているのが特徴で、新車のディーラーも持っています。
中古車の買取もしています。乗らなくなった車を持ち込むと、値段を付けて引き取ってくれる窓口です。今回の決算期間にも、買取だけを受け付ける店を東京と大阪に出しています。
うちは賃貸暮らしで、車を持っていません。それでも週末に広い駐車場のある中古車店の前を通ると、家族連れが車の周りをゆっくり回っています。あの光景の裏で、何台の車が動き、どれだけの利益が残っているのか。それを確かめに行きました。
9か月で、営業利益は1.7倍近くに
2026年10月5日に発表された第3四半期決算です。対象は2025年12月から2026年8月までの9か月です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,004億2,200万円 | 4,766億6,000万円 | +26.0% |
| 営業利益 | 216億2,400万円 | 129億7,500万円 | +66.7% |
| 経常利益 | 201億8,700万円 | 124億600万円 | +62.7% |
| 純利益 | 138億4,500万円 | 79億1,500万円 | +74.9% |
売上の伸びより、利益の伸びのほうがずっと大きい決算です。その差がどこから生まれたのかは、この表からは分かりません。
粗利の率は落ちたのに、経費がほとんど増えていない
短信の7ページ目の損益計算書で、最初に引っかかったのは売上総利益の行です。
| 前年同期 | 今回 | 増え方 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,766億6,000万円 | 6,004億2,200万円 | +26.0% |
| 売上総利益 | 820億3,700万円 | 962億6,300万円 | 約17%増 |
| 販売費及び一般管理費 | 690億6,200万円 | 746億3,800万円 | 約8%増 |
| 売上に対する粗利の率 | 約17.2% | 約16.0% | |
| 売上に対する販管費の率 | 約14.5% | 約12.4% |
約の付いた数字は、損益計算書の金額から私が割り算したものです。
売上が26%増えたのに、売上総利益は17%ほどしか増えていません。売上100円あたりに残る粗利で比べてみます。前年同期は17円台でしたが、今回は16円ほどへ薄くなりました。ここまでは損益計算書の数字です。
それでも営業利益が1.7倍近くになったのは、販管費が8%ほどしか増えていないからです。人件費、店の費用、広告費がまとめて入る行です。店舗は前年同期の353から367に増えています。店を増やしながら、経費の伸びを売上の伸びの3分の1ほどに収めたことになります。
1台あたりの儲けが厚くなったのではありません。売れる台数が増え、店と人の費用がその台数に薄く広がりました。そこから利益が出てきた、と私は読みました。
台数は2割弱、金額は2割半ばの伸び
5ページ目に、地域別の販売実績の表があります。販売台数は全国で33万1,542台から39万74台へ、17.7%増えました。6つの地域すべてで、前年同期の台数を超えています。
販売高は26.0%増で、台数より金額が大きく伸びています。1台あたりの値段が高くなった計算です。高い車の割合が増えたのか、新車の販売が伸びたのかは、この表では分けられません。粗利の率が薄くなったこととも関わっていそうですが、そこまでは確かめられませんでした。
拠点の数にも動きがあります。創業の地域である東海北陸では拠点を2つ減らし、関東甲信越では8つ増やしています。
この短信には、キャッシュ・フロー計算書が無い
いつもの順番で、キャッシュ・フロー計算書を探しました。9ページ目の注記に「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とあります。第3四半期は作らなくてよい決まりなので、手続きとしての問題はありません。……ただ、そこまでめくって空振りなのは、やはりこたえる。
代わりに、貸借対照表で現金の動きを追います。
| 2025年11月30日 | 2026年8月31日 | |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 176億8,600万円 | 324億900万円 |
| 商品 | 885億400万円 | 1,002億8,100万円 |
| 売掛金 | 201億4,000万円 | 264億3,200万円 |
| 短期借入金 | 79億7,300万円 | 89億5,600万円 |
| 1年内返済予定の長期借入金 | 220億3,200万円 | 390億7,000万円 |
| 長期借入金 | 612億1,300万円 | 627億4,200万円 |
現金は9か月で147億2,300万円増えました。表の借入金3行を足すと、912億1,800万円から1,107億6,800万円になります。差し引きで195億5,000万円の増加です。これは私の足し算です。
借りた分の多くが、そのまま現金として手元に残っている形です。在庫の車にあたる商品も117億7,600万円増えています。1年以内に返す借入が170億円増えたので、返済に備えて現金を厚く持っているのかもしれません。ただ、本業で現金がどれだけ入ってきたのかは、この短信からは確かめられません。
営業外の費用が、9億円近く増えている
経常利益の伸びが営業利益より小さいのは、営業外費用が10億7,600万円から19億900万円に増えたからです。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 支払利息 | 7億500万円 | 8億9,600万円 |
| デリバティブ評価損 | 7,800万円 | 5億5,300万円 |
| 支払手数料 | 2,700万円 | 1億3,000万円 |
いちばん増えたのはデリバティブ評価損です。9ページ目の「表示方法の変更」には、金額が大きくなったので独立した行に出すことにした、とだけ書かれています。何の取引なのかは、決算短信には書かれていません。支払手数料が5倍近くになった理由も同じです。
会社は、業界の数字と出店を挙げている
4ページ目で会社が書いているのは、景気がゆるやかに持ち直していること、中古車の国内登録台数が前年同期比100.8%だったこと、そして買取の店を3つ出したことです。
業界全体の台数がほぼ横ばいのなかで、この会社の販売台数は2割近く増えています。その差の理由として説明文に挙がっているのは、出店だけです。粗利の率が下がった理由や、販管費を抑えられた理由は、短信には書かれていません。新しく設立して連結に加えた4社が何をする会社なのかも、短信からは分かりません。
書かれている事実は、そのまま受け取ります。ただ、利益の伸びの中身までは説明していない文章でした。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。
残り3か月の売上を、前年より2割近く少なく見込んでいる
| 9か月の実績 | 通期予想 | 進み具合 | 残り3か月に必要な額 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,004億2,200万円 | 7,460億円 | 約80.5% | 1,455億7,800万円 |
| 営業利益 | 216億2,400万円 | 276億円 | 約78.3% | 59億7,600万円 |
| 純利益 | 138億4,500万円 | 171億円 | 約81.0% | 32億5,500万円 |
約の付いた進み具合は、私が通期予想で割ったものです。残り3か月の額は、通期予想から9か月の実績を引いています。
9か月で4分の3の目安を超えているので、ここまでは順調です。引っかかるのは、残りの3か月の置き方です。
表紙の売上予想7,460億円は、前期より14.4%多い数字です。そこから逆算すると、前期の通期売上は約6,521億円です。そこから前年の9か月の4,766億6,000万円を引くと、前年の9月から11月はおよそ1,754億円になります。今年の同じ3か月を、会社は1,455億7,800万円と見込んでいます。2割近く少ない数字です。純利益に至っては、3割以上減る見込みです。
この予想は7月6日に修正されたものです。7月6日は、この第3四半期のさなかにあたります。そのあと6月から8月の結果が出そろっても、会社は数字を動かしませんでした。
私はどう読んだか
予想が7月の時点のまま控えめに据え置かれているのか。それとも、9月以降に何か悪い材料を見込んでいるのか。このどちらかだと思います。
私は前者の見方をしています。理由は、9か月のあいだ全地域で台数が前年を超え、直近の3か月にも店を出しているからです。そこから売上が急に2割近く落ちる姿は、短信の数字からは出てきません。
それでも、粗利の率が薄くなったこと、借入が200億円近く増えたこと、現金の出入りを確かめられないことは、頭に残っています。心配性なので、次の通期決算ではキャッシュ・フロー計算書から先に開きます。この先どうなるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
残り3か月の売上を前年より少なく見込んでいる理由は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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