エクスモーション(4394)2026年11月期 第3四半期決算分析――原価が減った理由が気になる

エクスモーション(4394)2026年11月期 第3四半期決算分析――原価が減った理由が気になる 決算を読む

はじめに

クルマのブレーキやエアコン、家電の中では、小さなプログラムが動いています。組み込みソフトと呼ばれるものです。昔は数千行で済んでいたものが、今のクルマは1台で数千万行になりました。

行数が増えると、書く人の数も増えます。何十人、何百人で一つの製品のソフトを作ります。すると設計の考え方がばらばらになり、どこを直すと何が壊れるのか誰も分からなくなります。それでも不具合は出せません。ブレーキですから。

エクスモーションは、その現場に入っていく会社です。開発の進め方を整え、設計の書き方を直し、品質をどう測るかを決める。売っているのは製品ではなく、製品を作る手順のほうです。客は自動車メーカーと部品メーカーの開発部門が中心で、ここ数年は他の産業にも広げています。技術者向けの学習サービスや、生成AIに要件定義を手伝わせる仕組みも出しています。

この決算で何が起きたか

10月2日に出た、2026年11月期の第3四半期決算です。昨年12月から今年8月までの9か月分をまとめたものです。

項目今回前年同期増減率
売上高10億6,200万円10億2,600万円+3.4%
営業利益1億5,500万円1億3,200万円+17.2%
経常利益1億6,000万円1億3,600万円+17.8%
純利益1億300万円8,600万円+19.0%

売上は3%ほどしか増えていません。利益は2割近く増えています。

増えた売上より、粗利の増えたほうが大きい

ここで引っかかりました。損益計算書の売上原価は、前年同期が6億297万円でした。今回は5億9,416万円です。880万円減っています。売上が増えているのに、原価が減りました。

結果、売上総利益は4億2,388万円から4億6,793万円へ動きました。増えた額は4,405万円です。売上の増えた分は3,600万円ほどです。増えた売上より、粗利の増えたほうが大きいわけです。

販管費は2億9,111万円から3億1,234万円になりました。2,122万円の増加です。粗利の増加4,405万円から、販管費の増加2,122万円を引きます。残りは2,283万円です。これが営業利益の増えた分で、1億3,276万円から1億5,559万円になっています。

人を出して時間を売る商売なら、売上が増えれば原価も増えます。減ったということは、売り方が変わったか、同じ人数で前より多く稼いだかのどちらかです。

経常利益のほうが営業利益より伸びています。受取利息が174万円から390万円へ増えたのが主な理由です。手元の現金が厚いので、金利が上がった分がそのまま乗りました。ただ200万円ほどの話で、伸びの本体ではありません。

原価の話が、会社の説明文に出てこない

短信の4ページ目に、会社自身の説明があります。自動車業界からの継続案件が中心で、他の分野の新規顧客も進んだ。生成AIを前提にした新しい形の契約を増やし、ビジネスモデルの変革を進めている。学習サービスはリスキリング需要で順調。要件定義支援は顧客数が増え、この四半期から「Model Context Protocol」への対応を始めた。

読んで感じたのは、売り物の話はあるのに、原価の話が一行も無いことです。880万円減った内訳は、決算短信には書かれていません。表紙に補足説明資料を作ったとあるので、そちらに書いてあるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。

契約の形が変われば原価の構成も変わるはずで、筋としてはつながります。ただ短信の文章は、売上が伸びた説明として書かれていて、原価が下がった説明としては書かれていません。……いや、順番が逆だ。利益の増え方を作ったのは原価のほうです。

のれんが減る裏で、別の無形資産が増えている

貸借対照表にもう一つありました。のれんが7,158万円から5,010万円へ減っています。償却が年2,147万円ずつ進んでいるためで、額は前年同期と同じです。

ところが無形固定資産の「その他」は、4,388万円から6,655万円になっています。2,267万円の増加です。のれんの減りをちょうど打ち消す形で、無形固定資産の合計は1億1,546万円から1億1,666万円へ、ほとんど動いていません。

増えた2,267万円が何なのかは、決算短信に内訳がありません。自分たちのサービスを育てているなら、作ったソフトが資産に乗ることはあります。その場合、かかった費用の一部はその期の原価ではなく、資産として後の年に回ります。私はこの2,267万円が、原価の下がったことと関係があると読んでいます。ただし、そう書いてある箇所は短信にはありません。

現金と売掛金は、揃った動きをしている

注記に一行あります。第3四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成していません。四半期開示では認められている省略です。載っているのは減価償却費1,359万円と、のれんの償却2,147万円だけでした。

そこで貸借対照表で追いました。現金及び預金は14億4,090万円から14億9,149万円へ動きました。5,059万円の増加です。売掛金及び契約資産は1億9,850万円から1億5,889万円になりました。3,960万円の減少です。9か月で1億300万円の利益を出し、7,563万円の配当を払って、それでも現金は増えています。利益の出方と入金の仕方が揃っている決算です。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目9か月の累計通期予想進み具合
売上高10億6,200万円14億5,100万円約73%
営業利益1億5,500万円2億400万円約76%
経常利益1億6,000万円2億600万円約78%
純利益1億300万円1億3,300万円約77%

進み具合は、累計を通期予想で割った私の計算です。

9か月で1年の4分の3が過ぎていますから、目安は75%です。売上は73.2%でわずかに届かず、利益は3つとも目安を超えています。

残りの3か月に必要な営業利益は、通期の2億400万円から累計の1億5,500万円を引いた額です。4,900万円になります。前年の同じ3か月より1割4分少ない水準です。純利益でも同じように引くと3,000万円で、こちらは前年の同じ3か月より2割6分少なくなります。どちらも私の引き算です。

通期予想は1月9日に公表したもので、そこから変えていません。利益の進みは目安を超え、残りの3か月は減益のまま。会社はその両方を承知のうえで、数字を動かさなかったことになります。理由は短信には書かれていません。

私はどう読んだか

売り方の中身が入れ替わり始めた決算だと考えています。理由は、増えた利益が営業外や特別利益ではなく、原価が減って粗利が増えたという本業から出ているからです。受取利息の200万円も乗ってはいますが、本体ではありません。

気になっているのは、無形固定資産に積まれた2,267万円です。中身が分からないまま、原価の下がった説明も短信にはありません。この2つは次の決算で確かめます。

自己資本比率は90.4%です。負債合計1億8,114万円に対して、現金は14億9,149万円あります。この財務で、残り3か月の減益予想を変えないまま、9か月を終えました。何を控えているのかは私には分かりません。心配性なので、頭の隅に置いておきます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

IRライブラリー | 株式会社エクスモーション

原価が880万円減った内訳――人件費なのか外注費なのか――は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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