チエル(3933)決算分析――純利益は前年の5百万円から367百万円へ。ただし、その中身は特別利益の欄にありました

8月14日に決算を発表したチエル(3933)――純利益は前年の5百万円から367百万円へ。ただし、その中身は10ページ目の手前にありました 決算を読む

はじめに

チエルは、学校の先生向けのシステムを作っている会社です。小中学校に配られた1人1台の端末を、授業でちゃんと使えるようにする道具――子どもが変なサイトを見ないようにするフィルタリング、先生が全員の画面を手元で見られる授業ツール、学校のネットワークがどこで詰まっているかを遠くから見る仕組み。そういうものを、機器の販売から運用の面倒見までまとめて学校に納めています。大学向けには語学演習のシステムや、大手SIerと組んだサーバーの運用・保守もやっています。お客さんは先生と教育委員会で、予算は税金です。つまり、派手には伸びないが、一度入ると長く続く商売です。この会社の今回の決算は、1ページ目だけ見ると「減収なのに純利益が跳ねた」という不思議な形をしています。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高2,0452,197-6.9%
営業利益14444+228.0%
経常利益18230+495.8%
純利益3675

(単位:百万円)

売上は減って、利益は段を下がるごとに増え方が大きくなる。この形を見たら、下のほうの利益には本業以外の何かが混ざっています。案の定でした。

最初の表では分からなかったこと

純利益367百万円のうち、326,711千円は事業を売ったお金です

損益計算書の特別利益に、関係会社株式売却益326,711千円が立っています。短信の説明文によれば、進路事業の譲渡に伴うものです。ほかに投資有価証券売却益54,543千円、営業外には保険解約返戻金30,056千円。純利益の進捗率91.8%という数字はここから来ていて、通期予想400百万円に対し残り9ヶ月に残っているのは33百万円です。純利益の見た目は、今期はもう当てになりません。

では営業利益の3倍増は偽物かというと、そうでもない

営業利益144百万円には売却益は入っていません。セグメントを見ると、3部門とも利益が増えています。

部門売上高(千円)前年同期比セグメント利益(千円)
小学校・中学校818,730+60.3%73,669
高等学校・大学369,236-37.4%13,313
企業・官公庁857,963-21.8%57,905(前年は損失1,222)

小中学校部門が6割増えた理由として会社が書いているのが、契約負債です。前期にGIGAスクール第2期の整備で契約が積み上がり、それが期間に応じて売上に振り替わっている。貸借対照表を見ると、その契約負債は今も増え続けていて、この3ヶ月で917,374千円積み上がり、3,678,026千円になりました。前受けしたお金の山です。これは今後の売上の予約票のようなもので、ここが引っかかった――いや、良いほうに引っかかった。減収決算の中で、将来に振り替わる残高だけは増えている。

特別損失に「特別調査費用等」7,406千円

金額は小さいのですが、特別損失に特別調査費用等7,406千円という科目があります。何の調査なのか、短信には説明がありません。書いていない以上、私にも分かりません。分からないものとして置いておきます。

キャッシュ・フロー計算書は、今回はありません

11ページ目に「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」と明記されています。第1四半期では珍しくないのですが、私としては一番読みたいページが無い決算です。代わりに貸借対照表から拾うと、売掛金が1,489,554千円減り、現金及び預金が769,726千円増え、長期借入金が474,620千円減っています。回収して、借金を返した3ヶ月に見えます。

会社はどう説明しているか

会社の説明は率直です。増益の理由は契約負債の振り替わりと沖縄県内のネットワーク整備、純利益の跳ねは進路事業の譲渡益だと、自分で書いています。数字を盛って見せようという文章ではありません。一方で、企業・官公庁部門については「利益率を大幅に高めることが必要」「薄利な事業からの撤退を含めたビジネスモデルの転換」と、買収した会社の立て直しがこれからだとも書いています。ここは説明をそのまま受け取ります。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は5月に出したものから据え置きです。

項目通期予想進捗率
売上高8,0004分の1ほど
営業利益5003割弱
経常利益4504割
純利益40091.8%

(単位:百万円)

売上と営業利益は、この時期の目安どおりの進み方です。ただ、通期予想そのものが売上2割減・営業利益半減という置き方で、残り9ヶ月の営業利益は前年の同じ期間から3分の2ほど減る計算になります。これは私が機械の計算表から引いてきた数字です。進路事業を売った分の減収は分かるとして、それだけでこの落ち幅になるのか。予想が固いのか、後半に本当に何かが減るのか、短信からは判別できませんでした。

私はどう読んだか

私は、営業利益の改善を本物寄りに読んでいます。理由は契約負債です。一時的な売却益は貸借対照表に積み上がりませんが、契約負債917,374千円の増加は積み上がっていて、会社の言うとおりならこれが今後の売上に振り替わっていく。ただし純利益の91.8%という進捗は、事業を売った跡ですから、見なかったことにします。読み違えかもしれません。据え置かれた通期予想の弱気さが、私の知らない何かを織り込んでいる可能性は残ります。

出典:決算短信(会社発表)

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特別損失の「特別調査費用等」7,406千円が何の調査なのかは、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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