東邦瓦斯(9533)2027年3月期 第1四半期決算分析――減益の多くは料金の遅れと読みました

東邦瓦斯(9533)2027年3月期 第1四半期決算分析――減益の多くは料金の遅れと読みました 決算を読む

はじめに

東邦瓦斯は、愛知・岐阜・三重の3県に都市ガスを届けている会社です。台所のコンロや給湯器、工場のボイラーや空調で燃やすガスを、地下の導管で送っています。導管の来ていない地域には、LPガスをボンベで配ります。

いまはガスと一緒に電気も売っています。家庭から見れば、ガスと電気の請求書が同じ会社から届く形です。工場やビルには、ガスで発電してその熱も使う設備を勧めています。

この地域の暮らしと製造業を、燃料の面から支えている会社です。景気で客が急に増えたり減ったりはしません。そのかわり、原料の値段と気温で毎年の利益が大きく動きます。

営業利益が6割減った4月から6月

2026年7月27日に出た、2027年3月期第1四半期(4月から6月)の決算です。

今回前年同期増減率
売上高1,448億4,900万円1,614億7,000万円△10.3%
営業利益76億4,000万円198億4,000万円△61.5%
経常利益105億7,300万円220億3,900万円△52.0%
純利益94億2,400万円166億1,400万円△43.3%

売上は1割減で、営業利益は6割減です。純利益の減り方が4割台で止まっている理由は、少しあとで書きます。

ガスの利益は3分の1に、電気は赤字に

添付資料8ページのセグメント情報を開くと、落ち込みの中心はガスでした。

セグメント利益前年同期今回
ガス161億1,300万円57億5,000万円
LPG・その他エネルギー5億5,400万円12億6,300万円
電気11億5,100万円△14億2,900万円
その他15億9,600万円16億700万円

ガスの利益は前年の3分の1ほどです。ところが、お客さま数は増えています。ガス・LPG・電気を合わせて313万4千件で、前年より3万件多い数字です。ガスの販売量も2.4%減にとどまりました。家庭用は4〜5月が暖かく、7.3%減ったと会社は書いています。

客は増えて、量は少し減っただけです。それで利益が3分の1になるなら、原因は量ではなく値段の側にあると考えるのが自然です。LPGは逆に、利益が倍以上になりました。

引っかかったのは電気です。販売量は1.3%減っただけです。外部への売上高は、195億4,000万円から200億7,400万円へ増えています。それでも、11億5,100万円の黒字が14億2,900万円の赤字になりました。

会社の説明文で電気に触れているのは、6月後半が涼しくて冷房が使われなかった、という販売量の話だけです。……いや、1.3%の減り方でここまで振れるのは変だ。電気が赤字になった理由は、決算短信には書かれていません。

純利益を支えたのは、持っていた株の売却益です

本業の外も見ておきます。受取配当金は19億4,100万円で、前年の15億8,300万円より増えました。特別利益は25億700万円です。そのうち19億9,800万円が投資有価証券売却益で、前年の10億600万円のほぼ倍になっています。

税引前利益は130億2,900万円です。25億700万円を130億2,900万円で割ると、税引前利益の2割弱が特別利益だったことになります。営業利益が6割減ったのに純利益が4割台の減りで済んだのは、持っている株を売った利益が効いたからです。

保有株の時価も高くなっています。その他有価証券評価差額金が211億6,600万円増え、包括利益は291億1,700万円です。純利益の94億2,400万円を大きく上回りました。ただ、時価が上がった分は、手元に入ったお金ではありません。

キャッシュ・フロー計算書の代わりに、貸借対照表で現金を追う

私はいつもキャッシュ・フロー計算書から開きます。この短信では、添付資料9ページの注記に「作成しておりません」とあり、載っているのは減価償却費93億1,200万円だけでした。第1四半期に作らない会社は珍しくありません。

そこで、貸借対照表の3月末と6月末を並べました。

3月末6月末
現金及び預金430億800万円275億1,900万円
受取手形、売掛金及び契約資産764億9,100万円654億6,400万円
棚卸資産284億6,500万円372億7,700万円
未払法人税等102億1,900万円31億6,300万円

現金は3か月で、430億円台から275億円台まで減りました。注記には、この間に自社株買いで74億4,300万円を使ったとあります。未払法人税等が大きく減っているので、法人税の支払いもこの期間に出ています。売掛金は減っていて、こちらは現金が入る方向の動きです。

棚卸資産は284億円台から372億円台へ増えました。内訳は短信に無く、LNGの量が増えたのか、単価が高くなったのかは分かりません。

足りない分は借りています。有利子負債は1,928億円で、3月末から199億円増えたと会社は書いています。支払利息も2億7,900万円から3億9,500万円へ増えました。

短信の最後、重要な後発事象の欄には、7月16日に100億円ずつ2本の社債を出したとあります。使い道はどちらもコマーシャル・ペーパー(短期社債)の償還です。4〜6月は短い借金でつなぎ、7月に長い借金へ付け替えた、と私は受け取りました。

会社の説明は「原料費調整の期ずれ」

会社の説明は、ほぼ一文です。「原料費調整制度による原材料費と売上高の期ずれ影響が差益から差損に転じたこと等により」減益になった、と書いています。

原料費調整制度は、LNGなど原料の値段の変化を、数か月遅れてガス料金に反映させる仕組みです。原料が高くなる時期には仕入れが先に高くなり、料金はあとから追いつきます。その間は差損が出ます。

短信によると、4〜6月の原油価格は1バレル112.7ドルで、前年より37.6ドル高くなっています。為替も159.6円と、15円の円安です。原料が高くなった時期に料金が追いつかなかった、という説明と、数字の向きは合っています。

ただ、期ずれ差損の金額は決算短信には書かれていません。100億円を超えるガスの減益のうち、どこまでが期ずれなのかは分かりません。電気の赤字をこの一文で説明しているのかどうかも、短信からは判断できませんでした。

通期予想の190億円に対して、4割まで来ています

通期予想は据え置きです。

通期予想第1四半期残り9か月に要る額
売上高6,700億円1,448億4,900万円約5,251億5,100万円
営業利益190億円76億4,000万円約113億6,000万円
純利益230億円94億2,400万円約135億7,600万円

約の付いた数字は、通期予想から第1四半期の実績を私が引いたものです。

営業利益は4割まで来ています。3か月なら4分の1が目安なので、先に進んでいるように見えます。ただ、通期予想そのものが、前期の317億円から4割減る見込みです。

残り9か月に要る113億6,000万円は、前年の同じ9か月より5%ほど少ない額です。前期の通期実績から前年の第1四半期を引くと、前年の残り9か月の額が出ます。それと比べたのが私の数字です。

予想の前提は、原油100ドル、為替160円です。第1四半期の実際は112.7ドルでした。会社は、原油がここから100ドルまで落ち着く前提で通期を組んでいます。

私はどう読んだか

私は、この減益の多くは原料費調整の遅れによるもので、ガスの商売そのものが弱ったわけではないと考えています。理由は、お客さま数が増え、販売量の減りも2%台にとどまっているからです。それでいて、原油が大きく値上がりした四半期に、ガスの利益だけが落ちています。遅れは、原料の値段が落ち着けば逆向きに働きます。

それでも、気になるものは残ります。電気の赤字は理由が分からず、純利益には株の売却益が入っています。現金も3か月で大きく減りました。どれも理由の見当はつきますが、確かめられたのは貸借対照表の数字までです。

先のことは知りません。

出典

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260727/140120260724598969.pdf

電気セグメントが赤字に転じた理由と、期ずれ差損の金額は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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