ネットで客を集める仕事を、まとめて請け負う会社
AViCは、ネットで客を集めたい会社から、その仕事をまとめて引き受けています。広告をどこに、どう出すかを決めるところから始まります。実際に出して、結果を確かめて、出し方を直すところまでが仕事です。
頼む側から見ると、広告の担当者を何人も抱えなくても、ネットからの注文や問い合わせを増やす手が打てる相手です。AIの活用にも力を入れています。短信の上では、事業はデジタルマーケティングの1つだけです。
売上も利益も、前の年の1.5倍を超えた
8月14日に出た、10月から6月までの9か月分の決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 29億6,600万円 | 17億9,700万円 | +65.0% |
| 営業利益 | 7億9,500万円 | 5億300万円 | +57.9% |
| 経常利益 | 7億8,700万円 | 5億400万円 | +56.0% |
| 純利益 | 5億3,000万円 | 3億5,800万円 | +47.9% |
純利益には、固定資産の売却益2,951万円が特別利益として入っています。本業の伸びは、営業利益で追うほうが素直です。
この短信に、キャッシュ・フロー計算書が無かった
私はいつも、キャッシュ・フロー計算書から先に開きます。売上が立っても現金が入っていなければ、同じ増収でも意味が違ってくるからです。
短信の8ページ目には「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とありました。第3四半期で作らない会社は珍しくないので、これ自体は問題ではありません。ただ、いちばん確かめたかった表が無い。
代わりに、貸借対照表で当たりを付けます。9か月の売上は、前の年より6割以上増えました。それなのに売掛金は、前期末の9億3,552万円から6月末の9億1,797万円へ、わずかに減っていました。子会社が1社増えて、その売掛金も含んだうえでの数字です。
請求書のまま代金が溜まっていく形は、ここからは出てきません。現金及び預金も6億1,893万円増えています。ただし同じ期間に、借入も大きく増えました。増えた現金のうち本業が運んできた分と、銀行から来た分は、この短信だけでは分けられません。
のれんと長期借入金が、9か月で3倍に
資産の側の変化と、借入の変化は対になっています。
| 前期末(2025年9月末) | 今回(2026年6月末) | |
|---|---|---|
| のれん | 5億3,758万円 | 16億3,771万円 |
| 長期借入金 | 4億7,379万円 | 15億1,187万円 |
| 1年内返済予定の長期借入金 | 2億681万円 | 4億917万円 |
| 自己資本比率 | 58.5% | 49.4% |
……ずいぶん大きな買い物だ。
2ページ目の注記に、第2四半期から株式会社Spicaを連結子会社にした、と書いてあります。のれんが11億12万円増えた時期と合うので、この増加はSpicaを買ったことによるものと考えるのが自然です。短信自身は、この2つを結び付けて書いていません。
8ページ目の追加情報によると、2026年1月29日にみずほ銀行と金銭消費貸借契約を結んでいます。1月29日は第2四半期にあたり、Spicaが連結に入ったのと同じ四半期です。借りたお金の使い道も、短信には書かれていません。
引っかかったのは、この子会社が売上をどれだけ持ち込んだのかです。事業が1つなので、セグメント別の表は短信にありません。6割以上の伸びのうち、どこまでが買った分なのかは分けられません。
利益率の低下は、のれんの償却でほぼ説明がつく
営業利益率は、前の年の28.0%から26.8%へ下がりました。これだけだと、規模は増えたが稼ぐ力は落ちた、と受け取れます。
8ページ目の注記に、のれんの償却額があります。前の年の1,948万円から、今回は8,375万円です。増えた分はおよそ6,400万円で、今回の売上の2%強にあたります。ここは私の計算です。
利益率の下がり幅は1.2ポイントで、償却が増えた分の売上に対する割合、2%強より小さくなっています。ここまでは短信の数字と、その引き算です。買った会社の償却が利益率を押し下げただけで、本業の稼ぎ方は崩れていない、と私は読みました。
支払利息も269万円から1,632万円に増えています。営業利益が8億円近い規模なので、まだ小さな額です。
銀行との約束は、いまは遠い
同じ追加情報には、この借入に付いた条件が2つ書かれています。年度末の純資産を、前の年度末の75%以上に保つこと。営業利益を2期続けて赤字にしないことです。破れば、借りたお金を一度に返すよう求められることがあります。この契約の借入残高は14億1,071万円です。
純資産は前期末の23億6,354万円から29億2,419万円へ増え、営業利益も黒字です。いま気にする距離にはありません。借入の大きい会社になったので、決算のたびに開く場所が1つ増えた、という程度の話です。
会社の説明は「需要に応えた」
4ページ目で会社側は、ネットを使った販促への需要が高まり、それに応えた結果の増収増益だと書いています。
その説明は受け取ります。ただ、同じ短信の2ページ目では子会社が1社増えており、説明文はその分に触れていません。需要が伸びた話と、会社を買った話が、分けられないまま1つの文で済まされています。そこには留保を付けておきます。
通期予想まで、営業利益はあと3億3,200万円
通期予想は、5月15日に修正したものから変わっていません。
| 通期予想 | 9か月の実績 | 残り3か月に要る額 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 40億800万円 | 29億6,600万円 | 約10億4,200万円 |
| 営業利益 | 11億2,700万円 | 7億9,500万円 | 約3億3,200万円 |
約の付いた数字は、通期予想から9か月の実績を引いた私の引き算です。
営業利益は予想の7割ほどまで来ています。9か月は1年の4分の3なので、進み具合もそこを目安にすると、少し足りません。前の年の同じ3か月と比べると、売上は2割弱の伸びで足りるのに、営業利益は5割増しが要る、というのが私の計算です。
売上の伸びはここまでより低めに見込みながら、利益だけは大きく伸ばす予想になっています。前の年の第4四半期が、利益の出にくい3か月だったのかもしれません。その理由は、決算短信には書かれていません。
私はどう読んだか
借入で会社を1つ買い、規模を一段上げた決算です。そのうえで、中身は健全だと私は考えています。理由は、売上がこれだけ増えても売掛金が膨らんでおらず、利益率の低下も買った会社の償却でほぼ説明がつくからです。
ただ、キャッシュ・フロー計算書が無い以上、現金がどこから来たのかは確かめられていません。通期の短信には載るはずなので、そこで確かめます。上がるかは知りません。
出典
出典:決算短信(会社発表)

Spicaが持ち込んだ売上と利益がいくらなのかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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