腕時計と電卓の会社です
カシオ計算機は、腕時計と電卓の会社です。腕時計は「G-SHOCK」が看板で、落としても壊れない頑丈さを売りにしています。もう一つの柱が電卓で、なかでも関数電卓は、海外の高校や大学で授業と試験に使う道具です。新学期の前に、学校や地域ごとにまとめて買われます。
私の机にも関数電卓が一台あります。簿記の勉強で使い始めて、そのまま職場でも使っています。7月31日に出た第1四半期の短信を、最後まで読みました。
売上が2割増えて、営業利益は3倍を超えた
最初の表は、こうです。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 745億1,100万円 | 621億9,100万円 | +19.8% |
| 営業利益 | 128億1,100万円 | 37億3,000万円 | +243.5% |
| 経常利益 | 134億2,300万円 | 43億7,700万円 | +206.7% |
| 純利益 | 93億7,700万円 | 37億2,100万円 | +152.0% |
同じ日に、通期の予想も上げています。売上に対する営業利益の率は、前年同期の6.0%から17.2%へ上がりました。率は私が短信の数字から割ったものです。ここまでが1ページ目です。
売上が123億円増えて、原価は8億円しか増えていない
損益計算書で最初に目が止まったのは、売上原価でした。売上高は差し引き123億2,000万円増えています。ところが売上原価は362億8,800万円から370億9,000万円へ動いただけです。増えたのは8億200万円です。売上が123億円増えたのに、原価が8億円。……いや、これは普通ではない。
売上総利益は259億300万円から374億2,100万円へ増えました。374億2,100万円を745億1,100万円で割ると、粗利率はおよそ5割です。前年同期は259億300万円を621億9,100万円で割って4割強でしたから、1年で1割近く上がった計算になります。
販売費及び一般管理費は24億3,700万円増えただけです。営業利益の増分90億8,100万円のほとんどは、粗利から来ています。
増えた場所は時計です。時計の売上は395億2,700万円から510億800万円へ増えました。セグメント利益は42億4,600万円から117億7,600万円へ増えています。差し引き75億3,000万円の増加です。コンシューマも11億7,300万円から33億9,200万円へ増えています。時計の利益の増え方は、数が売れただけでは出ません。
上方修正の理由にある「米国関税の還付」に、金額が付いていない
4ページ目の説明文です。会社は予想を上げた理由を「当第1四半期連結累計期間の業績、及び米国関税の還付など、現時点で入手可能な情報を踏まえ」と書いています。ここで引っかかりました。還付の金額が、決算短信には書かれていません。原価の話と、この一文がつながります。
関税は輸入した品物の値段に乗って、たいてい売上原価の側に入ります。それが戻ってきたのなら、戻った分だけ当期の原価が軽くなります。この会社の還付がいくらで、損益計算書のどこに入ったのかは、短信からは読み取れませんでした。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、金額はそちらに載っているのかもしれません。私はまだ開いていません。
残りの9か月を、前年より薄く置いている
通期の営業利益は260億円から340億円へ上げられました。80億円の上方修正です。第1四半期の営業利益は前年同期から90億8,100万円増えました。3か月で増えた分より、1年の予想を上げた幅のほうが小さい。残りの9か月に、上乗せは何も見込んでいないことになります。
| 残りの9か月 | 必要な額 | 前年の同じ9か月との比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,254億8,900万円 | +5.3% |
| 営業利益 | 211億8,900万円 | +9.6% |
| 経常利益 | 205億7,700万円 | −3.4% |
| 純利益 | 141億2,300万円 | −2.7% |
通期予想から第1四半期を引いた、私の引き算です。
営業利益は1割弱増えるのに、経常利益は減る。営業外で何かが減る見込みなのか、為替を堅めに見込んでいるのか、短信の説明文に理由はありません。5ページ目に、為替は1ドル155円、1ユーロ180円を想定するとあるだけです。
会社はどう説明しているか
時計については、「G-SHOCK」と「CASIO WATCH」の2軸戦略が効いて、それぞれが2桁で伸び、中東以外のすべての地域で伸びた、と書いています。女性や若い人が新しく買っていることも挙げています。ここはそのまま受け取ります。理由は、セグメント利益の増え方がそれを裏付けているからです。
そのまま受け取れないのは2か所です。1つは、関数電卓の増収を「新学期需要を迎える地域で受注が前倒しとなり」と自分で書いていることです。前倒しなら、その分は次の四半期から減ります。もう1つは「中東以外」という言い方です。中東の時計で何が起きているのかは、短信には書かれていません。
通期予想に対して、どこまで来ているか
| 通期予想 | 第1四半期 | 進み具合 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,000億円 | 745億1,100万円 | 4分の1 |
| 営業利益 | 340億円 | 128億1,100万円 | 4割弱 |
| 経常利益 | 340億円 | 134億2,300万円 | 4割 |
| 純利益 | 235億円 | 93億7,700万円 | 4割 |
進み具合は、第1四半期を通期予想で割った私の数字です。
利益だけが先に進んでいます。第2四半期累計の予想は営業利益205億円です。ここから第1四半期の128億1,100万円を引くと、7月から9月の3か月は76億8,900万円という見立てになります。第1四半期を大きく下回る置き方です。配当予想は未定のままで、前期は年間45円でした。
私はどう読んだか
本業の伸びは本物だと考えています。理由は、時計のセグメント利益が42億4,600万円から117億7,600万円へ増え、特別利益に頼っていないからです。前年同期は資産と関係会社株式の売却で27億円の特別利益がありましたが、今回は2億3,800万円しかありません。
そのうえで、第1四半期の利益のいくらかは一度きりの数字だと考えています。理由は、会社側が残りの9か月の経常利益を前年より下に置いたからです。関税の還付がいくらで、粗利率5割のうちどれだけが還付の効き目なのか。それが分からないと、128億円のうち、この先も続く部分がいくらなのかが言えません。上がるかは知りません。決算補足説明資料を開くのが先です。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260731/140120260728500960.pdf
米国関税の還付がいくらで、損益計算書のどこに入っているのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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