山一電機(6941)2027年3月期 第1四半期決算分析――最高益の続きが控えめで、気になります

山一電機(6941)2027年3月期 第1四半期決算分析――最高益の続きが控えめで、気になります 決算を読む

山一電機は、半導体を検査するためのソケットを作っている会社です。半導体は工場で作ったあと、正しく動くかを試験にかけます。そのとき、チップを試験装置につなぐ受け皿になる部品がソケットです。買うのは半導体を作る側で、試験にかけられるのは、スマートフォンに載る半導体や記憶用のメモリーが中心です。

コネクタも柱です。通信機器や産業機器の中で基板と基板をつなぐ部品で、データセンターの機器にも使われています。光関連の事業もありますが、規模は小さいものです。この会社の売上は、半導体メーカーや通信機器メーカーが今年どれだけ設備に金を使うかで動きます。8月5日に出た第1四半期の短信を読みました。

この決算で何が起きたか

売上も利益もそろって伸び、四半期として過去最高です。

今回前年同期増減率
売上高198億9,300万円146億5,000万円+35.8%
営業利益59億5,300万円38億2,000万円+55.8%
経常利益61億6,100万円37億7,800万円+63.0%
純利益43億2,600万円27億8,600万円+55.3%

営業利益率は前年同期の26.1%から29.9%に上がりました。これは私の割り算です。ここまでは表紙で分かることです。

経常利益の上乗せ分は、為替差益です

経常利益が営業利益より速く伸びているのが引っかかりました。損益計算書の営業外収益を開くと、為替差益が2億2,112万円入っています。前年同期は逆に1,080万円の差損でした。

為替は営業利益の中にも入っています。短信の説明文には「為替相場が前年同期に比べ円安で推移したことも寄与」とあります。金額は短信にはなく、決算説明会資料にありました。営業利益への為替の影響は10億9,000万円です。営業利益の増加分は21億3,300万円です。59億5,300万円から38億2,000万円を引きました。そのうち半分ほどが、為替の分ということになります。

……半分は為替か。残りの半分が、自分の商売で増やした分です。

現金が減った理由は、短信に書いてあります

貸借対照表では、現金及び預金が3か月で8億7,900万円減っています。最高益の四半期になぜ、と思いましたが、理由は書いてあります。配当の支払い、賞与の支給、法人税の支払いの3つで、配当だけで20億8,500万円出ています。

一方、受取手形及び売掛金は43億4,300万円増えました。売上が急に増えれば売掛金も増えるので、珍しくはありません。第1四半期はキャッシュ・フロー計算書を作っていないので、回収の速さまでは確かめられませんでした。中間決算の計算書で確かめる、というところで止めておきます。

原材料及び貯蔵品が46億6,400万円から53億6,600万円へ増えているのも目に留まりました。増えた幅は7億円ほどです。理由は短信には書かれていません。金や銅の価格が高い水準にある、とは説明文にあります。値段が上がった分なのか、量を積んだのかは分かりません。

上方修正の中身は、ほぼコネクタです

会社は同じ日に通期予想を上げました。事業別の予想は説明会資料にあります。5月に出した通期の売上予想600億円が、今回658億円になりました。増えた58億円は、そのままコネクタ事業の増額分です。テストソリューション事業の通期予想は、売上も営業利益も5月のままです。

ソケットのほうは、第1四半期にスマートフォン向けが「計画を上回った」と短信に書きながら、通期は据え置きです。第1四半期の出荷が前倒しだったのか、後半が弱いのか。その理由は短信にも説明会資料にも書かれていません。

コネクタ事業の第1四半期は、売上82億3,600万円、営業利益15億6,400万円で、営業利益は前年同期の倍になりました。

会社はどう説明しているか

短信の説明文を、私の言葉に直します。伸びた理由は3つです。AI関連を含むデータセンター向けのコネクタが計画を大きく上回ったこと、メモリー半導体の顧客がラインを増やす投資をしていてバーンインソケットが売れたこと、円安で推移したことです。

弱かった先も隠していません。ロジック半導体向けのバーンインソケットは自動車向けを中心に顧客が投資を先送りし、車載機器向けのコネクタはEVの減速で低調です。光関連は民生機器向けが調整で、売上も利益も減りました。

私はこの説明を、ほぼそのまま受け取っています。理由は、伸びた先と弱い先を分けて書いていて、為替が効いたことも自分で認めているからです。留保が付くのは金額で、原材料の影響額は短信にも説明会資料にもありませんでした。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想第1四半期進捗率残り9か月に必要な額残りの前年比
売上高658億円198億9,300万円約30%約459億700万円約+21%
営業利益150億円59億5,300万円約40%約90億4,700万円約+17%
経常利益149億円61億6,100万円約41%約87億3,900万円約+5%
純利益103億円43億2,600万円約42%約59億7,400万円約−5%

約の付いた数字は、表紙の通期予想と予想の増減率から私が引き算と割り戻しで出したものです。

3か月で営業利益4割は速い進み方です。それでも残り9か月の営業利益は、前年の同じ9か月より2割弱の増加にとどまり、純利益は減る置き方になっています。第1四半期の勢いが、そのまま続く前提にはなっていません。配当予想は前期の148円から168円へ上げています。

上期の予想からも同じことが分かります。

第1四半期7月から9月下期
売上高198億9,300万円約160億700万円約299億円
営業利益59億5,300万円約33億4,700万円約57億円

約の付いた数字は、表紙の上期予想と通期予想から、第1四半期と上期を引いた私の引き算です。

7月から9月の営業利益は、第1四半期より4割以上少ない数字です。売上は2割減にとどまるので、利益の落ち方のほうが急な前提になっています。下期はもっとはっきりしていて、57億円を299億円で割ると営業利益率は2割弱です。第1四半期の3割から、10ポイント下がる計算になります。

理由の一つは為替です。説明会資料の数字ですが、この四半期のドルは159円49銭で、第2四半期以降の前提は150円です。1円で年間の営業利益が1億9,000万円動くと書いてあります。前提を実績より円高に置いているぶん、利益は控えめに出ます。もう一つが、先に書いたソケット事業の据え置きです。

私はどう読んだか

読み方は2つあると思います。一つは、会社側が慎重なだけで、また上に直るというもの。もう一つは、第1四半期に出荷が集まっていて、後半は本当に薄いというものです。

私は後者に近い見方をしています。理由は、為替だけでは説明が付かないからです。1円で1億9,000万円という感度です。10円ほどの円高でも、営業利益率が3割から2割弱まで下がる差は埋まりません。ソケット事業の通期を動かしていないことと合わせると、第1四半期の出荷は続くものではない、と会社側が見込んでいるように読みました。心配性なので、下振れから先に考えます。

ただ、コネクタのデータセンター向けは「次世代製品の出荷も開始」と説明会資料にあります。こちらは増える方向の材料です。どちらが勝つかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260805/140120260730502818.pdf

固定負債にある訴訟損失引当金1億8,442万円が、何の訴訟のものかは短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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