大阪瓦斯(9532)2027年3月期 第1四半期決算分析――増えた現金は借りた分と読みました

大阪瓦斯(9532)第1四半期決算分析――国内エネルギーの営業利益が4,571百万円まで減り、それを埋めた営業外収益「その他」の中身が短信には無かった 決算を読む

大阪瓦斯は、大阪・京都・神戸の家や工場に、地面の下の管で都市ガスを届けている会社です。原料は液化天然ガスで、海の向こうの産地から船で運び、港で気体に戻して管に流します。台所のコンロ、風呂の給湯、工場のボイラー。使う側は栓をひねるだけですが、その先の原料はドルで買っています。

ここ数年は電気も売っていて、自分の発電所も持っています。この会社の決算を読むうえで、覚えておくことが一つあります。原料を買う値段は、原油の値段と為替で毎月動きます。ところが売る値段は、制度に沿って何か月か遅れて動きます。買値と売値が、ずれて動く商売です。今回は、そのずれが真正面から出た四半期でした。

売上は横ばい、利益だけが減った

7月30日に出た、2027年3月期の第1四半期決算です。売上はほぼ前年並みで、利益だけが減っています。

今回前年同期増減率
売上高4,780億700万円4,709億9,300万円+1.5%
営業利益313億900万円476億7,900万円△34.3%
経常利益502億4,800万円593億4,100万円△15.3%
純利益356億8,000万円485億2,100万円△26.5%

営業利益は3分の1以上減っています。経常利益の減り幅が営業利益より小さいのは、あとで書く営業外の話です。

減った利益は、国内のガスと電気の一か所で減っている

どこで減ったのかは、短信の11ページ目にあるセグメント表に出ています。

営業利益前年同期今回
国内エネルギー256億4,400万円45億7,100万円
海外エネルギー161億8,500万円163億4,900万円
ライフ&ビジネス ソリューション45億7,100万円61億2,400万円
調整額12億7,900万円42億6,300万円
連結476億7,900万円313億900万円

国内エネルギーの営業利益が、5分の1以下に落ちています。海外と、都市開発や材料のライフ&ビジネスは、どちらも増えています。全体の減益は、国内のガスと電気で起きたものです。

同じ短信の4ページ目に、ガスの販売量は家庭用が4.9%減、業務用等が1.5%減とあります。売上原価は224億円増えています。売る量が少し減って、仕入れが大きく増えた。売上総利益は前年の1,063億7,600万円から909億4,900万円へ減っています。私の引き算で、約154億円の減りです。……粗利で150億円が消えるわけだ。

経常利益の減りが小さいのは、営業外の「その他」が増えたから

営業利益は163億円減ったのに、経常利益の減りは90億円で済んでいます。差を埋めたのは、8ページ目の損益計算書にある営業外収益の「その他」です。前年の31億1,700万円から、今回は96億6,700万円へ増えています。この65億円が何なのかは、決算短信には書かれていません。

説明会のスクリプトには、米国の火力発電所の持分売却と、為替差益の発生とあります。短信の2ページ目には、この四半期に連結から外れた6社が並んでいて、うち4社が米国の発電事業の名前です。売却で連結から外れ、その利益が営業外に入った、と私は受け取りました。

この65億円は、来年の同じ時期には無い種類の利益です。ついでに書くと、前年の第1四半期には受取保険金67億9,000万円が特別利益にありました。前年も今年も、本業の外から60億円台の一時的な利益が入っています。純利益の前年比を眺めるときは、両方を頭に入れておく必要があります。

現金が1,196億円増えている。稼いだ分ではない

第1四半期の短信には、キャッシュ・フロー計算書がありません。11ページ目に「作成しておりません」と書いてあります。現金の動きは、6ページ目の貸借対照表から追うしかありません。

現金及び預金は、3月末の589億8,100万円から6月末には1,786億3,700万円へ増えています。差は約1,196億円、私の引き算です。3か月の純利益が356億円ですから、稼いだ額の3倍を超えて現金が積み上がっています。

出どころは4ページ目に書いてあります。コマーシャル・ペーパーの発行等により現金及び預金が増加した、と。貸借対照表の流動負債「その他」が3,556億8,300万円から4,936億3,400万円へ増えています。増えた分は約1,380億円で、これがコマーシャル・ペーパーだと受け取りました。借りて積んだ現金です。

では、何に使うのか。純資産の欄でも、同じ3か月で大きく動いた行があります。

3月末6月末
利益剰余金1兆2,622億7,600万円1兆2,044億6,400万円
自己株式△638億100万円△139億1,300万円
発行済株式数3億9,788万1,800株3億8,317万6,500株
自己株式数1,402万5,616株288万7,083株

純利益356億円を計上した四半期に、利益剰余金は約578億円減っています。自己株式は約499億円減り、発行済株式数は約1,470万株減っています。表紙の注に、5月8日の取締役会で決めた自己株式の取得を実行中とあります。ここまでが短信の数字です。

買い入れた自己株式を消却して発行済株式数を減らし、その分を利益剰余金から落とした、と私は読みました。消却そのものは、短信にもスクリプトにもQ&Aにも書かれていません。期末配当の支払いもこの3か月に重なります。出る現金が稼ぐ現金を上回る時期を、コマーシャル・ペーパーでつないだ形です。それ自体は悪い材料ではありません。3か月分の貸借対照表から言えるのはここまでです。

会社は「時間差による一時的な減益」と説明している

減益の理由を、会社は4ページ目でこう書いています。国内エネルギー事業での、原料価格等の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる減益影響、と。注釈には、この時間差は一時的な増減益要因だとあります。

説明会資料の数字ですが、このタイムラグによる差損は218億円で、それを除いた経常利益は前年より増えていると説明しています。除いた数字は会社側が自分で作った物差しで、私には検算できません。表には入れませんでした。

説明そのものは、そのまま受け取っています。理由は、原料の値上がりが遅れて売値に乗るのが、制度の決まりだからです。ただ一つ、家庭用のガス販売量4.9%減は、原油とも為替とも関係のない数字です。こちらは時間差では戻りません。

売上だけ1,000億円引き上げ、利益は据え置き

同じ7月30日に、通期の予想も直しています。売上高だけ1,000億円引き上げて2兆1,700億円、利益は三つとも据え置きです。理由は、原料費調整でガスの販売単価が高く推移する見込みだから、とあります。仕入れの値上がりをそのまま売値に乗せる分なので、売上は増えても利益は増えません。前提は原油80ドル、為替160円です。

通期予想第1四半期進捗率残り9か月に必要な額
売上高2兆1,700億円4,780億700万円約22%1兆6,919億9,300万円
営業利益1,500億円313億900万円約21%1,186億9,100万円
経常利益1,900億円502億4,800万円約26%1,397億5,200万円
純利益1,450億円356億8,000万円約25%1,093億2,000万円

約の付いた数字は、通期予想と第1四半期の数字から私が出したものです。

営業利益は2割強で、4分の1の目安に届いていません。経常利益と純利益は目安を超えていますが、営業外の65億円に押し上げられた分が入っています。

残り9か月で必要な純利益は1,093億2,000万円、前年の同じ9か月より5%ほど多い額です。原油が上がった分の差損がこのあと戻るのか、それとも続くのかで、この数字は動きます。据え置いたからには戻ると見込んでいるはずですが、短信にはそこまで書かれていません。

私はどう読んだか

減益については、会社の説明どおりの見方をしています。原油と為替で先に仕入れが上がり、売値が遅れて追いかける。この商売の癖が出ただけで、国内以外のセグメントは増えていました。

時間を使ったのは、貸借対照表のほうです。純利益を計上したのに利益剰余金が減り、自己株式も発行済株式数も減っている。現金だけが、コマーシャル・ペーパーで増えている。株主に返す資金を借りてつないだ3か月だった、というのが私の読みです。心配性なので、第2四半期の短信では流動負債のその他を先に開くつもりです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260730/140120260713592021.pdf

利益剰余金が減った約578億円のうち、配当と自己株式の消却がそれぞれいくらなのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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