テーオーシー(8841)2027年3月期 第1四半期決算分析――原価が動かなかったから倍増、と読みました

テーオーシー(8841)第1四半期決算分析――売上が増えて原価が減った四半期に、土地が3,296百万円増えていた 決算を読む

テーオーシーは、都心にビルを持って貸している会社です。事務所や店舗のテナントから家賃を受け取るのが本業で、看板のTOCビルはいったん営業を止めて、改めて開けた建物です。

それから、ホテル向けのリネンサプライとランドリーをやっています。都心のホテルが混めば、洗う枚数も増えます。ほかに製薬、スポーツクラブ、温浴施設、ビル管理を抱えていますが、利益のほとんどはビル賃貸から出ています。

8月4日に出た第1四半期の短信を読みました。

この決算で何が起きたか

表を置きます。

項目今回前年同期増減率
売上高40億4,300万円34億6,500万円+16.7%
営業利益10億600万円4億1,900万円+139.7%
経常利益13億2,400万円6億1,900万円+113.9%
純利益8億9,200万円4億1,400万円+115.5%

営業利益率で言えば12.1%から24.9%です。利益率が1年でこれだけ動くのは、家賃で稼ぐ会社では珍しいことです。理由は1ページ目には書いてありません。

売上が増えて、原価が減っています

損益計算書で最初に引っかかったのが、売上原価の行です。売上は5億7,800万円増えたのに、原価は逆に1,300万円減っています。どちらも私の引き算です。

項目前年同期今回
売上高34億6,500万円40億4,300万円
売上原価26億1,200万円25億9,900万円
売上総利益8億5,300万円14億4,300万円
販売費及び一般管理費4億3,300万円4億3,700万円

増えた売上が、ほぼそのまま粗利になっています。販管費も400万円しか動いていません。ここまでは損益計算書の数字です。

ビル賃貸の原価は、建物の減価償却、管理、光熱で、テナントが一つ増えても大きくは膨らみません。短信の8ページには減価償却費が3億6,100万円とあり、これが原価の芯です。だから営業利益が倍になった、と私は読みました。

貸借対照表にも跡があります。テナントから預かる長期預り保証金が2億1,300万円増えています。前受金も7億8,700万円から8億8,800万円へ増えました。説明文の「既存ビルの入居率、賃料の改善」と辻褄が合います。

経常利益を押し上げた分は、家賃ではありません

経常利益にも押し上げがあります。営業外収益が増え、そのうち受取配当金が2億3,200万円です。前年は1億6,400万円でした。

この会社は投資有価証券を269億4,700万円持っています。4月から6月は多くの企業が期末配当を払う時期なので、第1四半期に配当が集まります。経常利益の進捗が営業利益より高いのは、この季節の偏りです。配当は本業の稼ぎではないので、私は経常より営業のほうを見ています。

減った現金は、土地と未払金に変わっています

貸借対照表で目が止まったのはここです。現金及び預金が40億7,300万円減っています。同じ期間に土地が32億9,600万円増えました。……33億円の土地を、説明文は一行で済ませている。

減った現金の残りは、未払金の支払いです。未払金は13億7,500万円減っています。前期末に溜まっていた支払いを4月以降に済ませた形で、珍しくありません。土地と合わせれば、減った現金のほぼ全部に説明が付きます。

ただ、何の土地かは、決算短信には書かれていません。補足説明資料は作らないと表紙にあり、第1四半期はキャッシュ・フロー計算書も作っていないと8ページにあります。確かめる手段がありません。

会社はどう説明しているか

短信の2ページ目に、会社の言葉があります。都心の平均空室率は低下が続き、賃料は上昇基調。不動産事業はTOCビルの業績回復と、既存ビルの入居率と賃料の改善で伸びました。売上は31億700万円、営業利益は9億9,700万円です。TOCビルは2024年9月に営業を再開したと書いてあります。

私はこの説明をそのまま受け取っています。理由は、原価が動かないまま粗利が増え、保証金と前受金も増えているからです。留保を付けるのは土地の件だけです。

通期予想に対して、どこまで来ているか

会社は5月12日に出した予想を変えていません。

項目通期予想第1四半期の進捗残り9か月に必要な額
売上高174億円23.2%133億5,700万円
営業利益38億円26.5%27億9,400万円
経常利益46億円28.8%32億7,600万円
純利益31億円28.8%22億800万円

進捗と残りの額は、表紙の予想から私が引いた数字です。営業利益は4分の1を少し超えたところで、残り9か月は前年の同じ期間より4割近く多く稼ぐ計算になっています。

上期の予想と並べると、この倍増が続く前提になっていないことがはっきりします。上期の営業利益予想は17億円、増減率は+62.3%です。増えた分を戻すために、17億円を1に増減率を足した1.623で割ると、前年の上期累計はおよそ10億4,700万円になります。

そこから前年第1四半期の4億1,900万円を引くと、前年の7月から9月はおよそ6億2,800万円です。今年は17億円から10億600万円を引きます。すると6億9,400万円という計算になります。

営業利益第1四半期7月〜9月上期累計
前年 実績4億1,900万円約6億2,800万円約10億4,700万円
今年 会社予想10億600万円約6億9,400万円17億円

約の付いた数字は、上期予想の増減率+62.3%から私が割り戻したものです。第1四半期は2.4倍だったのに、次の3か月は1割増しにとどめてあります。なぜそこで急に控えめになるのかは、決算短信には書かれていません。

私はどう読んだか

倍増の中身は本業の家賃です。私は、一度きりではなく続く利益だと考えています。理由は、増えた分が営業外でも特別利益でもなく、売上総利益の行に出ているからです。

それでも会社は予想を動かしませんでした。慎重なだけなのか、何か悪い材料を見込んでいるのか、その理由は短信には書かれていません。心配性なので、頭の片隅に土地と一緒に置いておきます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260804/140120260730503766.pdf

土地32億9,600万円が、どこの何の土地で、何に使うのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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