テーオーシーは、都心にビルを持って貸している会社です。事務所や店舗のテナントから家賃を受け取るのが本業で、看板のTOCビルはいったん営業を止めて、改めて開けた建物です。
それから、ホテル向けのリネンサプライとランドリーをやっています。都心のホテルが混めば、洗う枚数も増えます。ほかに製薬、スポーツクラブ、温浴施設、ビル管理を抱えていますが、利益のほとんどはビル賃貸から出ています。
8月4日に出た第1四半期の短信を読みました。
この決算で何が起きたか
表を置きます。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 40億4,300万円 | 34億6,500万円 | +16.7% |
| 営業利益 | 10億600万円 | 4億1,900万円 | +139.7% |
| 経常利益 | 13億2,400万円 | 6億1,900万円 | +113.9% |
| 純利益 | 8億9,200万円 | 4億1,400万円 | +115.5% |
営業利益率で言えば12.1%から24.9%です。利益率が1年でこれだけ動くのは、家賃で稼ぐ会社では珍しいことです。理由は1ページ目には書いてありません。
売上が増えて、原価が減っています
損益計算書で最初に引っかかったのが、売上原価の行です。売上は5億7,800万円増えたのに、原価は逆に1,300万円減っています。どちらも私の引き算です。
| 項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 売上高 | 34億6,500万円 | 40億4,300万円 |
| 売上原価 | 26億1,200万円 | 25億9,900万円 |
| 売上総利益 | 8億5,300万円 | 14億4,300万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 4億3,300万円 | 4億3,700万円 |
増えた売上が、ほぼそのまま粗利になっています。販管費も400万円しか動いていません。ここまでは損益計算書の数字です。
ビル賃貸の原価は、建物の減価償却、管理、光熱で、テナントが一つ増えても大きくは膨らみません。短信の8ページには減価償却費が3億6,100万円とあり、これが原価の芯です。だから営業利益が倍になった、と私は読みました。
貸借対照表にも跡があります。テナントから預かる長期預り保証金が2億1,300万円増えています。前受金も7億8,700万円から8億8,800万円へ増えました。説明文の「既存ビルの入居率、賃料の改善」と辻褄が合います。
経常利益を押し上げた分は、家賃ではありません
経常利益にも押し上げがあります。営業外収益が増え、そのうち受取配当金が2億3,200万円です。前年は1億6,400万円でした。
この会社は投資有価証券を269億4,700万円持っています。4月から6月は多くの企業が期末配当を払う時期なので、第1四半期に配当が集まります。経常利益の進捗が営業利益より高いのは、この季節の偏りです。配当は本業の稼ぎではないので、私は経常より営業のほうを見ています。
減った現金は、土地と未払金に変わっています
貸借対照表で目が止まったのはここです。現金及び預金が40億7,300万円減っています。同じ期間に土地が32億9,600万円増えました。……33億円の土地を、説明文は一行で済ませている。
減った現金の残りは、未払金の支払いです。未払金は13億7,500万円減っています。前期末に溜まっていた支払いを4月以降に済ませた形で、珍しくありません。土地と合わせれば、減った現金のほぼ全部に説明が付きます。
ただ、何の土地かは、決算短信には書かれていません。補足説明資料は作らないと表紙にあり、第1四半期はキャッシュ・フロー計算書も作っていないと8ページにあります。確かめる手段がありません。
会社はどう説明しているか
短信の2ページ目に、会社の言葉があります。都心の平均空室率は低下が続き、賃料は上昇基調。不動産事業はTOCビルの業績回復と、既存ビルの入居率と賃料の改善で伸びました。売上は31億700万円、営業利益は9億9,700万円です。TOCビルは2024年9月に営業を再開したと書いてあります。
私はこの説明をそのまま受け取っています。理由は、原価が動かないまま粗利が増え、保証金と前受金も増えているからです。留保を付けるのは土地の件だけです。
通期予想に対して、どこまで来ているか
会社は5月12日に出した予想を変えていません。
| 項目 | 通期予想 | 第1四半期の進捗 | 残り9か月に必要な額 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 174億円 | 23.2% | 133億5,700万円 |
| 営業利益 | 38億円 | 26.5% | 27億9,400万円 |
| 経常利益 | 46億円 | 28.8% | 32億7,600万円 |
| 純利益 | 31億円 | 28.8% | 22億800万円 |
進捗と残りの額は、表紙の予想から私が引いた数字です。営業利益は4分の1を少し超えたところで、残り9か月は前年の同じ期間より4割近く多く稼ぐ計算になっています。
上期の予想と並べると、この倍増が続く前提になっていないことがはっきりします。上期の営業利益予想は17億円、増減率は+62.3%です。増えた分を戻すために、17億円を1に増減率を足した1.623で割ると、前年の上期累計はおよそ10億4,700万円になります。
そこから前年第1四半期の4億1,900万円を引くと、前年の7月から9月はおよそ6億2,800万円です。今年は17億円から10億600万円を引きます。すると6億9,400万円という計算になります。
| 営業利益 | 第1四半期 | 7月〜9月 | 上期累計 |
|---|---|---|---|
| 前年 実績 | 4億1,900万円 | 約6億2,800万円 | 約10億4,700万円 |
| 今年 会社予想 | 10億600万円 | 約6億9,400万円 | 17億円 |
約の付いた数字は、上期予想の増減率+62.3%から私が割り戻したものです。第1四半期は2.4倍だったのに、次の3か月は1割増しにとどめてあります。なぜそこで急に控えめになるのかは、決算短信には書かれていません。
私はどう読んだか
倍増の中身は本業の家賃です。私は、一度きりではなく続く利益だと考えています。理由は、増えた分が営業外でも特別利益でもなく、売上総利益の行に出ているからです。
それでも会社は予想を動かしませんでした。慎重なだけなのか、何か悪い材料を見込んでいるのか、その理由は短信には書かれていません。心配性なので、頭の片隅に土地と一緒に置いておきます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260804/140120260730503766.pdf
土地32億9,600万円が、どこの何の土地で、何に使うのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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