白銅(7637)2027年3月期 第1四半期決算分析――実力の予想は動かなかった、と読みました

白銅(7637)第1四半期決算分析――営業利益2.6倍と上方修正、ただし棚卸資産影響額を除いた通期の経常利益は前回予想とほぼ同じだった 決算を読む

白銅は、金属の板や棒を、注文どおりの寸法に切って売る問屋です。扱うのはアルミニウム、ステンレス、銅の合金。大きな板をメーカーから仕入れて倉庫に置き、客の図面に合わせて切り分け、短い納期で届けます。

誰が買うのか。いちばん大きい客は、半導体製造装置を作る会社です。装置の内側にはアルミの厚板を削って作る部材が多く、削る工場が寸法を指定して材料を注文します。ほかに工作機械や航空機、金型の工場にも売っています。海外は北米、中国、タイに子会社があります。

第1四半期の決算短信は8月7日に出ました。1ページ目の表は派手です。派手な表ほど、後ろのページに何が書いてあるかを確かめたくなります。

売上は四半期で過去最高、営業利益は前年の3倍を超えた

項目今回前年同期増減率
売上高219億3,400万円170億5,900万円+28.6%
営業利益13億7,800万円3億8,500万円+257.7%
経常利益14億7,600万円4億7,500万円+210.7%
純利益10億1,700万円2億9,000万円+250.1%

営業利益率は前年同期の2.3%から6.3%へ上がりました。同じ日に通期予想の上方修正と増配も出ています。ただ、経常利益の増加率が営業利益より低いのが、まず目に付きました。

営業利益の増加分のうち、2億4,500万円は在庫の値上がり

短信の4ページ目に、棚卸資産影響額という数字があります。倉庫に置いてある金属の値段が上がると、安く仕入れた在庫を高く売れるぶん利益が膨らみます。その差益が、前年同期は1億700万円、今回は3億5,200万円でした。

今回の3億5,200万円から前年同期の1億700万円を引きます。差は2億4,500万円です。営業利益の増加額は、13億7,800万円から3億8,500万円を引いて出します。9億9,300万円です。そのうち2億4,500万円が、原材料価格が上がったことで出た分です。残りの7億4,800万円が、売った量と単価で稼いだ分です。

会社側も、棚卸資産影響額を除いた営業利益を短信に載せています。10億2,500万円で、前年同期比+269.3%。ここまでは損益計算書の数字です。

第1四半期の稼ぎの中身は本物だ、と私は考えています。理由は、除いた後の伸びのほうが、除く前の伸びより大きいからです。

経常利益の伸びが営業利益より鈍い理由は、営業外にある

営業外の項目今回前年同期
受取配当金4,581万円1億2,916万円
為替差益1,206万円
営業外収益 合計1億325万円1億6,100万円
為替差損6,480万円
営業外費用 合計567万円7,131万円

前年は為替差損があり、今回は差益に変わりました。それだけなら経常利益は営業利益より速く伸びるはずです。ところが受取配当金が前年の3分の1近くまで減っていて、為替の改善を打ち消しています。営業外の差し引きは前年も今年もほぼ同じ額です。伸び率が低く見えるのは、前年の経常利益が営業利益より大きく、比べる土台が高いからです。

受取配当金がなぜ減ったのかは、短信にも説明会資料にも書かれていません。投資有価証券は増えているので、持っている株を手放したわけではなさそうです。

キャッシュ・フロー計算書は無く、貸借対照表で代わりに追った

短信の8ページ目に「第1四半期に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とあります。私が普段いちばん先に開く表が、この短信にはありません。仕方がないので、貸借対照表の動きで代わりに追いました。

3月末から6月末への増減金額
現金及び預金+4億2,400万円
受取手形及び売掛金+18億200万円
商品及び製品+7億2,400万円
買掛金+9億2,400万円
電子記録債務+16億1,600万円
未払費用+7億6,500万円

売掛金と在庫で25億円ほど増え、買掛金と電子記録債務も25億円ほど増えています。売上が3割近く伸びれば、回収待ちの金も支払い待ちの金も一緒に膨らむので、ここは珍しくありません。

引っかかったのは未払費用です。3月末の10億400万円から17億6,900万円へ増えました。何の未払いかは、短信にも説明会資料にも書かれていません。説明会資料の予想の表に「棚卸資産影響額の差益分の賞与増加を含む」という注があるので、利益が出たぶん賞与を積んでいるのかもしれません。

上方修正で動いたのは、在庫の値上がり見込みだけだった

ここが、この決算でいちばん引っかかった点です。以下の数字は説明会資料のもので、短信の表にはありません。

通期の経常利益予想は、期初の47億円から51億9,000万円へ上がりました。上げ幅は4億9,000万円です。同じ表の棚卸資産影響額の見込みは、期初が1億8,100万円、今回が6億6,900万円。差は4億8,800万円で、経常利益の上げ幅とほぼ同じ額です。

棚卸資産影響額を除いた経常利益の予想は、期初の45億1,900万円から今回の45億2,100万円へ。動いたのは200万円です。上げたのは原材料価格の見込みだけで、量と単価で稼ぐ本体の予想は据え置きです。注には、期初予想は第1四半期まで、今回予想は第2四半期までの原材料市況を織り込んだ、とあります。

第1四半期の実績を当ててみます。値上がり分を除いた経常利益は、説明会資料では11億2,300万円でした。45億2,100万円で割ると4分の1弱です。これは私の割り算です。会社は本体の稼ぎを、第1四半期の4倍で1年分と置いていることになります。

……いや、期初からそう置いていたのか。除いた予想は期初から45億円台で、前期の実績27億7,800万円に対して6割増しです。第1四半期がその4分の1で来たので動かさなかった、と考えれば筋は通ります。

量が2割、単価が1割弱、と会社は説明している

短信の4ページ目で、会社は増収の理由を2つ挙げています。半導体製造装置向けの販売量が増えたこと、原材料市況で商品単価が上がったこと。増益の理由にはそこへ、前期に実施した価格改定が浸透したことと、粗利益率の高い標準在庫品の比率が上がったことを足しています。

説明会資料には、白銅単体の標準在庫品で販売重量が+21.6%、商品単価が+8.6%とあります。半導体業界に特化した販売組織を作った、という記述も短信にあり、客を増やしに行った結果の量だと受け取りました。

もう一つ、市況ではなく方針で作った黒字の話です。北米は利益重視の販売方針に変えたので減収増益、と短信に書かれています。経常損益は前年同期の1億900万円の赤字から、8,200万円の黒字へ変わりました。

残り9か月に、第1四半期より高い伸びを求めている

売上高営業利益
通期予想922億円50億6,000万円
第1四半期の実績219億3,400万円13億7,800万円
残り9か月に必要な額約702億6,600万円約36億8,200万円
残り9か月の前年比約+37.7%約+48.1%

約の付いた数字は、通期予想から第1四半期の実績を引き、前年の同じ9か月と比べて私が出したものです。

進捗率は売上で4分の1弱、営業利益で27%です。気になるのは売上のほうです。第1四半期は前年同期比で3割弱の伸びでしたが、残り9か月には4割近い伸びを求めています。説明会資料で前年の四半期ごとの売上を見ると、後半にかけて持ち上がっていたので、比べる土台は四半期ごとに高くなります。

私の見方

第1四半期の稼ぎは本物で、上方修正は原材料価格の上がった分だけ。この上方修正を「実力の見立てを上げた」とは受け取っていません。理由は、値上がり分を除いた予想が200万円しか動いていないからです。

原材料価格が下を向けば、棚卸資産影響額は差益から差損へ向きを変えます。その時に残るのは本体の45億円台です。心配性なので、上げた4億9,000万円ではなく、動かなかった45億円のほうを頭に残しておきます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260713592454.pdf

受取配当金が1億2,916万円から4,581万円まで減った理由は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました