白銅は、金属の板や棒を、注文どおりの寸法に切って売る問屋です。扱うのはアルミニウム、ステンレス、銅の合金。大きな板をメーカーから仕入れて倉庫に置き、客の図面に合わせて切り分け、短い納期で届けます。
誰が買うのか。いちばん大きい客は、半導体製造装置を作る会社です。装置の内側にはアルミの厚板を削って作る部材が多く、削る工場が寸法を指定して材料を注文します。ほかに工作機械や航空機、金型の工場にも売っています。海外は北米、中国、タイに子会社があります。
第1四半期の決算短信は8月7日に出ました。1ページ目の表は派手です。派手な表ほど、後ろのページに何が書いてあるかを確かめたくなります。
売上は四半期で過去最高、営業利益は前年の3倍を超えた
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 219億3,400万円 | 170億5,900万円 | +28.6% |
| 営業利益 | 13億7,800万円 | 3億8,500万円 | +257.7% |
| 経常利益 | 14億7,600万円 | 4億7,500万円 | +210.7% |
| 純利益 | 10億1,700万円 | 2億9,000万円 | +250.1% |
営業利益率は前年同期の2.3%から6.3%へ上がりました。同じ日に通期予想の上方修正と増配も出ています。ただ、経常利益の増加率が営業利益より低いのが、まず目に付きました。
営業利益の増加分のうち、2億4,500万円は在庫の値上がり
短信の4ページ目に、棚卸資産影響額という数字があります。倉庫に置いてある金属の値段が上がると、安く仕入れた在庫を高く売れるぶん利益が膨らみます。その差益が、前年同期は1億700万円、今回は3億5,200万円でした。
今回の3億5,200万円から前年同期の1億700万円を引きます。差は2億4,500万円です。営業利益の増加額は、13億7,800万円から3億8,500万円を引いて出します。9億9,300万円です。そのうち2億4,500万円が、原材料価格が上がったことで出た分です。残りの7億4,800万円が、売った量と単価で稼いだ分です。
会社側も、棚卸資産影響額を除いた営業利益を短信に載せています。10億2,500万円で、前年同期比+269.3%。ここまでは損益計算書の数字です。
第1四半期の稼ぎの中身は本物だ、と私は考えています。理由は、除いた後の伸びのほうが、除く前の伸びより大きいからです。
経常利益の伸びが営業利益より鈍い理由は、営業外にある
| 営業外の項目 | 今回 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 受取配当金 | 4,581万円 | 1億2,916万円 |
| 為替差益 | 1,206万円 | ― |
| 営業外収益 合計 | 1億325万円 | 1億6,100万円 |
| 為替差損 | ― | 6,480万円 |
| 営業外費用 合計 | 567万円 | 7,131万円 |
前年は為替差損があり、今回は差益に変わりました。それだけなら経常利益は営業利益より速く伸びるはずです。ところが受取配当金が前年の3分の1近くまで減っていて、為替の改善を打ち消しています。営業外の差し引きは前年も今年もほぼ同じ額です。伸び率が低く見えるのは、前年の経常利益が営業利益より大きく、比べる土台が高いからです。
受取配当金がなぜ減ったのかは、短信にも説明会資料にも書かれていません。投資有価証券は増えているので、持っている株を手放したわけではなさそうです。
キャッシュ・フロー計算書は無く、貸借対照表で代わりに追った
短信の8ページ目に「第1四半期に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とあります。私が普段いちばん先に開く表が、この短信にはありません。仕方がないので、貸借対照表の動きで代わりに追いました。
| 3月末から6月末への増減 | 金額 |
|---|---|
| 現金及び預金 | +4億2,400万円 |
| 受取手形及び売掛金 | +18億200万円 |
| 商品及び製品 | +7億2,400万円 |
| 買掛金 | +9億2,400万円 |
| 電子記録債務 | +16億1,600万円 |
| 未払費用 | +7億6,500万円 |
売掛金と在庫で25億円ほど増え、買掛金と電子記録債務も25億円ほど増えています。売上が3割近く伸びれば、回収待ちの金も支払い待ちの金も一緒に膨らむので、ここは珍しくありません。
引っかかったのは未払費用です。3月末の10億400万円から17億6,900万円へ増えました。何の未払いかは、短信にも説明会資料にも書かれていません。説明会資料の予想の表に「棚卸資産影響額の差益分の賞与増加を含む」という注があるので、利益が出たぶん賞与を積んでいるのかもしれません。
上方修正で動いたのは、在庫の値上がり見込みだけだった
ここが、この決算でいちばん引っかかった点です。以下の数字は説明会資料のもので、短信の表にはありません。
通期の経常利益予想は、期初の47億円から51億9,000万円へ上がりました。上げ幅は4億9,000万円です。同じ表の棚卸資産影響額の見込みは、期初が1億8,100万円、今回が6億6,900万円。差は4億8,800万円で、経常利益の上げ幅とほぼ同じ額です。
棚卸資産影響額を除いた経常利益の予想は、期初の45億1,900万円から今回の45億2,100万円へ。動いたのは200万円です。上げたのは原材料価格の見込みだけで、量と単価で稼ぐ本体の予想は据え置きです。注には、期初予想は第1四半期まで、今回予想は第2四半期までの原材料市況を織り込んだ、とあります。
第1四半期の実績を当ててみます。値上がり分を除いた経常利益は、説明会資料では11億2,300万円でした。45億2,100万円で割ると4分の1弱です。これは私の割り算です。会社は本体の稼ぎを、第1四半期の4倍で1年分と置いていることになります。
……いや、期初からそう置いていたのか。除いた予想は期初から45億円台で、前期の実績27億7,800万円に対して6割増しです。第1四半期がその4分の1で来たので動かさなかった、と考えれば筋は通ります。
量が2割、単価が1割弱、と会社は説明している
短信の4ページ目で、会社は増収の理由を2つ挙げています。半導体製造装置向けの販売量が増えたこと、原材料市況で商品単価が上がったこと。増益の理由にはそこへ、前期に実施した価格改定が浸透したことと、粗利益率の高い標準在庫品の比率が上がったことを足しています。
説明会資料には、白銅単体の標準在庫品で販売重量が+21.6%、商品単価が+8.6%とあります。半導体業界に特化した販売組織を作った、という記述も短信にあり、客を増やしに行った結果の量だと受け取りました。
もう一つ、市況ではなく方針で作った黒字の話です。北米は利益重視の販売方針に変えたので減収増益、と短信に書かれています。経常損益は前年同期の1億900万円の赤字から、8,200万円の黒字へ変わりました。
残り9か月に、第1四半期より高い伸びを求めている
| 売上高 | 営業利益 | |
|---|---|---|
| 通期予想 | 922億円 | 50億6,000万円 |
| 第1四半期の実績 | 219億3,400万円 | 13億7,800万円 |
| 残り9か月に必要な額 | 約702億6,600万円 | 約36億8,200万円 |
| 残り9か月の前年比 | 約+37.7% | 約+48.1% |
約の付いた数字は、通期予想から第1四半期の実績を引き、前年の同じ9か月と比べて私が出したものです。
進捗率は売上で4分の1弱、営業利益で27%です。気になるのは売上のほうです。第1四半期は前年同期比で3割弱の伸びでしたが、残り9か月には4割近い伸びを求めています。説明会資料で前年の四半期ごとの売上を見ると、後半にかけて持ち上がっていたので、比べる土台は四半期ごとに高くなります。
私の見方
第1四半期の稼ぎは本物で、上方修正は原材料価格の上がった分だけ。この上方修正を「実力の見立てを上げた」とは受け取っていません。理由は、値上がり分を除いた予想が200万円しか動いていないからです。
原材料価格が下を向けば、棚卸資産影響額は差益から差損へ向きを変えます。その時に残るのは本体の45億円台です。心配性なので、上げた4億9,000万円ではなく、動かなかった45億円のほうを頭に残しておきます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260713592454.pdf
受取配当金が1億2,916万円から4,581万円まで減った理由は、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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