日本金銭機械(6418)第1四半期決算分析――営業利益は3ヶ月で通期予想の半分を超えたのに、予想は据え置きだった

日本金銭機械(6418)第1四半期決算分析――営業利益は3ヶ月で通期予想の半分を超えたのに、予想は据え置きだった 決算を読む

はじめに

日本金銭機械は、紙幣を見分ける機械の会社です。お札を入れると、それが本物か、いくらの札かを識別する装置。私たちが直接買うものではなく、機械の中に組み込まれる部品です。使われる場所は、米国のカジノに置かれるゲーミングマシン、欧州のセルフレジ、国内だとホテルや駐車場の精算機、それからパチンコホールの紙幣搬送システム。つまり「人がお札を機械に入れる場面」の裏側に、この会社のユニットが入っています。主戦場は海外、特に北米のカジノ向けで、ここのシェアが大きい会社です。

8月6日に出た、2027年3月期の第1四半期決算です。1ページ目の数字はかなり派手でした。ただ、読み進めるほど「派手さの中身」のほうが気になってくる短信でした。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高10,280百万円7,612百万円+35.1%
営業利益1,624百万円441百万円+268.2%
経常利益1,869百万円261百万円+615.2%
純利益1,587百万円76百万円

売上が3割以上増えて、営業利益は前年の3.7倍。営業利益率は前年同期の5.8%から15.8%まで上がっています。前年の第1四半期が売上2割減・営業利益77%減という落ち込みだったので、その反動も含んでいますが、それを差し引いても強い数字です。

ただ、経常利益の増え方が営業利益より大きいのが引っかかりました。倍率が揃っていないときは、営業外に何かがいます。

最初の表では分からなかったこと

経常615%増の中には、為替の反転が入っている

損益計算書の営業外を見ると、今回は為替差益が143百万円。前年同期は逆に為替差損が231百万円でした。差益と差損が入れ替わっただけで、経常利益の比較には375百万円ほどの振れが乗ります。これは私が足し算した数字です。前年の経常利益が261百万円しかなかったので、この反転だけで増減率は大きく膨らみます。615.2%増という見出しの数字は、事業の実力より派手に見えていると思って読んだほうがいい。

純利益には、香港子会社をたたんだ利益が乗っている

特別利益に、関係会社清算益172百万円がありました。2ページ目の注記を見ると、今期からJCM GOLD(H.K.)LTD.が連結から外れています。子会社を清算して、その分の利益が今回の純利益1,587百万円の中に入っている。来期以降は出てこない種類の利益です。

4つの事業のうち、黒字は実質1つ半

セグメントの表です。

セグメント売上高増減利益または損失
グローバルゲーミング7,573百万円+53.4%2,097百万円
海外コマーシャル1,688百万円+62.8%25百万円
国内コマーシャル366百万円△43.5%△80百万円
遊技場向機器651百万円△34.1%△88百万円

北米カジノ向けが売上の7割強を占め、利益はほぼここ一本です。海外コマーシャルは前年335百万円の損失から黒字に戻りましたが、まだ薄い。国内の2つは売上が3割から4割減って、どちらも赤字です。増収35.1%という全体の数字の下で、国内は縮み続けています。稼ぎの構造としては、北米のカジノホテルが設備投資を続けてくれるかどうかに、かなりの部分がかかっている形です。

営業キャッシュ・フローは、利益ほど増えていない

10ページ目、じゃなくて今回は7ページ目のキャッシュ・フロー計算書。営業CFは1,586百万円の収入でした。前年同期は1,955百万円。純利益が76百万円から1,587百万円まで増えたのに、営業CFはむしろ減っています。中身を見ると、売上債権が876百万円増えていました。売上が急に増えたので、まだ現金になっていない分が積み上がっている。売上急増の局面ではよくある形なので、これ自体を悪い話とは読みませんが、利益の増え方と現金の増え方が揃っていないことは覚えておきます。

もう1つ、投資CFが791百万円の収入とプラスになっていて、中身は投資有価証券の売却1,501百万円でした。持っていた有価証券を売って現金にしています。何を売ったのかは決算短信には書かれていません。

会社はどう説明しているか

会社の説明はこうです。北米のカジノホテルの設備投資が高水準で需要は堅調。欧州で前期にあった在庫調整の動きが一巡して回復基調。一方、国内は顧客の設備投資意欲が抑制傾向で、遊技場向けも業界構造の変化で低調。

セグメントの数字とぴったり合っているので、説明としてはそのまま受け取れます。北米が良くて国内が悪い、それが数字の通りに書いてある。ここに違和感はありません。

違和感があるのは、次の節です。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目通期予想進み具合
売上高39,000百万円4分の1ほど
営業利益3,000百万円半分を超えた
経常利益3,100百万円6割
純利益2,300百万円7割近く

3ヶ月で営業利益は通期予想の半分を超え、純利益は7割近くまで来ています。それで予想は据え置きです。

残りの9ヶ月を予想から引き算すると、営業利益は1,376百万円という置き方になります。これは私が引き算した数字です。……今回の1四半期だけで1,624百万円稼いだのに、残り9ヶ月でそれより少ない。前年の残り9ヶ月と比べても3割以上減る置き方だ。これは変だ。

しかも通期の純利益予想は前期比で半減の水準です。なぜ半減する見立てなのか、その理由は決算短信には書かれていません。今回が私にとってこの会社の初めての決算なので、前期に何か大きな一時利益があったのかどうかも、この短信からは分かりませんでした。

私はどう読んだか

読み方は2つあると思います。会社が下期に何か悪くなる要因を見ているのか、それとも単に慎重に置いてある予想なのか。

私は後者、慎重に置いてあるだけ、のほうに寄せて読んでいます。理由は、会社自身の説明文に下期を心配する言葉がほとんど無いことです。北米は堅調、欧州は回復基調と書いていて、悪い話は国内に限られている。悪化を見込んでいるなら、説明文のどこかに影が出るはずです。読み違えかもしれません。

ただし、寄せたうえで割り引いておくことが2つあります。今回の利益には為替差益143百万円と清算益172百万円という、続かない種類のものが乗っていること。そして利益の源泉が北米カジノほぼ一本であること。第1四半期を単純に4倍して先を考えるのは、この会社では危ないと思います。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260806/140120260806511550.pdf

通期の純利益が前期から半減する置き方になっている理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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