はじめに
スギ薬局を運営する会社です。愛知県を地盤に、関東・中部・関西へ店を広げています。
店では、洗剤や化粧品、食品を売るドラッグストアと、処方せんの薬を出す調剤薬局を一緒にやっています。仕事帰りに日用品を買う人と、診察のあとに薬を受け取る人が、同じ店に来ます。
ここ数年は、関西の阪神調剤薬局を取り込み、埼玉のセキ薬品にも出資して大きくなってきました。
前の記事では、2025年10月に出た2026年2月期の中間決算を読みました。純利益の倍増が税金の計上によるものだと分かり、販管費が粗利より速く伸びている点に引っかかりました。それが下期も続くかを次の決算で確かめる、と書いています。
この決算で何が起きたか
2026年10月8日に出た中間決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,407億1,300万円 | 5,001億7,200万円 | +8.1% |
| 営業利益 | 247億4,700万円 | 236億9,600万円 | +4.4% |
| 経常利益 | 239億1,100万円 | 242億3,600万円 | △1.3% |
| 純利益 | 129億8,900万円 | 286億1,600万円 | △54.6% |
業績表の売上高の隣は、前回と同じくEBITDAの列です。上の表は、4ページ目の説明文と損益計算書で確かめました。
営業利益の伸びは売上の半分ほどで、経常利益は前の年を下回りました。
販管費が粗利より速い状態は、今回も続いていました
前回確かめると書いた点です。売上総利益は8.5%増、販売費及び一般管理費は9.3%増でした。
差は前回より縮みました。前回は買収した会社が丸ごと上乗せされた年だったからです。上乗せのない今回も、粗利は販管費に追いついていません。
半期で60店を出して21店を閉じ、92店を改装しています。建物や設備を買った支出は、101億9,300万円から187億2,700万円へ増えました。店を作る費用と、その後の人件費や家賃が、売上より先に出ている形です。
ここまでは短信の数字です。粗利の伸びで販管費を吸収しきれない段階が続いている、と私は読みました。
経常利益を押し下げたのは、利息と持分法の損失でした
営業利益は増えたのに、経常利益は減っています。営業外費用が19億7,100万円から40億1,300万円へ倍になったからです。
| 営業外費用の内訳 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 支払利息 | 2億4,700万円 | 7億8,800万円 |
| 持分法による投資損失 | 4,000万円 | 13億3,000万円 |
引っかかったのは持分法の損失です。持分法は、関連会社の損益を持ち分の割合だけ自社の成績に取り込む方法です。13億3,000万円がどの会社から来たものかは、決算短信には書かれていません。
ただ、セキ薬品への出資は2025年9月30日で、前年の中間期にはまだありませんでした。新しく加わった関連会社として、まず思い浮かぶのはそこです。
支払利息のほうは理由がたどれます。財務のキャッシュ・フローには社債の発行で225億円の収入があり、同じ半期に短期借入金を226億6,000万円返しています。
前の記事で書いたとおり、セキ薬品への出資225億円は借入で払っていました。短期の借入を社債に置き換えた、と読める並びです。両者を結びつける説明は、短信にはありません。
7月27日には、シンガポールの政府系ファンドGICから162億3,600万円の第三者割当増資の払い込みも受けています。自己資本比率が上がったのは、利益の積み上げよりこちらが大きいと考えています。
5年後のはずだった連結化が、9月1日に済んでいました
前回いちばん読み違えたのはここです。前の記事では、セキ薬品は5年後をめどに2%を買い増して子会社にする予定だと書きました。下期は借入が増えた状態で始まる、とも書いています。
後発事象の注記によると、その2%の買い増しは2026年9月1日に済んでいました。取得は9億6,400万円、議決権は51.0%で、連結子会社です。2030年6月をめどにしていたが、連携が想定より速く進んだので前倒しした、と会社は書いています。
……一年もたずに、五年の予定を畳んだのか。
下期からは、セキ薬品の売上と費用が持分法の損失ではなく、損益計算書の各行に分かれて載ります。
もともとの49%は、9月1日の時価で236億2,300万円と評価し直されています。帳簿の額との差が下期にどう計上されるかは、のれんの額と合わせて「現時点では確定しておりません」とされています。
現金の動きは、前回の裏返しでした
営業キャッシュ・フローは664億1,600万円から171億9,500万円へ減りました。主な理由は仕入債務で、前年は346億7,900万円増えたのに、今回は69億6,000万円減っています。
前回は期末が日曜日で支払いが翌月にずれ、手元に現金が残っていました。今回は期首の2月28日が休業日で、2月末に払うはずだったものを3月に払っています。前回「9月の頭には払っていくお金です」と書いたものが、そのまま出た形です。
気になったのは売掛金です。724億7,500万円から823億6,400万円へ増えました。半年で約99億円の増加です。調剤の売上は健康保険の分があとから入るので、調剤が伸びれば売掛金も膨らみます。ただ、増えた理由は決算短信には書かれていません。
会社はどう説明しているか
会社は、物価高の節約志向のなかで日用品や食品が堅調だったと書いています。調剤では、処方日数が長くなって、処方せんの枚数は業界全体で減っているそうです。その一方で、高額な薬や訪問調剤で1枚あたりの単価が上がった、という説明です。
この説明は、売掛金が先に膨らむ動きとは噛み合います。ただ、この会社自身の枚数と単価は短信に出ていないので、業界の話として受け取っておきます。
純利益の半減は、前年に旧I&Hの吸収合併に伴って繰延税金資産を追加で計上した反動だ、と会社ははっきり書いています。前の記事で「両者をつなぐ説明は短信の中にはない」と書いた点が、これで一つにつながりました。
通期予想に対して、どこまで来ているか
通期予想は同じ10月8日に修正されています。上げたのか下げたのかは別のお知らせにあり、私はまだ読んでいません。ここでは、表紙にある修正後の数字と比べます。
| 中間期の実績 | 通期予想 | 進み具合 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,407億1,300万円 | 1兆1,179億円 | 約48% |
| 営業利益 | 247億4,700万円 | 510億円 | 約49% |
| 経常利益 | 239億1,100万円 | 514億円 | 約47% |
| 純利益 | 129億8,900万円 | 274億円 | 約47% |
約の付いた進み具合は、実績を通期予想で割った私の計算です。
通期予想には下期からのセキ薬品の分が入っているはずなので、売上の進み具合が低めに見えるのは不自然ではありません。
営業利益は、下期に262億5,300万円が要ります。510億円から上期の247億4,700万円を引いた額です。表紙では、通期予想の510億円は前期より+5.0%とされています。これを割り戻すと、前期の通期はおよそ485億7,000万円です。そこから前期の上期236億9,600万円を引くと、前期の下期はおよそ248億7,000万円になります。今期の下期に要る262億5,300万円はこれより5%ほど多く、上期の伸びとほぼ同じです。
私はどう読んだか
私は、今期を、店と会社を広げるための費用が利益より先に立っている年だと考えています。理由は、粗利は売上より速く伸びているのに、販管費と支払利息と持分法の損失がそれを上回っているからです。設備の支出もほぼ倍になっています。
心配性なので、下期は利息がさらに重くなるほうに先に目が行きます。セキ薬品が子会社になったぶん、売上は膨らみます。そのとき販管費の伸びが粗利に追いつかれるのか、もう一段離れるのかを次で確かめます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
持分法による投資損失13億3,000万円がどの会社から出たものかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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