商業施設の中の、海鮮の食堂と総菜の店
ショッピングセンターの中で、食堂や総菜の店を出している会社です。看板は『築地食堂 源ちゃん』という海鮮の定食屋です。刺身や海鮮丼を、買い物の合間にひとりでも家族でも食べられます。ほかにも和食、洋食、麺と多くのブランドを持っていて、フードコートを丸ごと運営することもあります。
最近は、焼鳥を持ち帰りで売る「銀座惣菜店」を増やしています。ほかの会社に看板を貸して出店してもらうフランチャイズにも手を付けました。焼鳥の店は、仕事帰りに夕飯のおかずを買って帰る人のための店です。店で食べてもらう商売から、家で食べるものも売る商売へ、広げている最中です。
うちも休日は商業施設で昼を済ませることが多いので、こういう店の並びは見慣れています。ただ、店の前を通り過ぎるのと、その会社の決算を開くのとは、まったく別の作業です。
純利益だけが、大きく跳ねた1年
10月7日に出た、2026年8月期の通期決算です。会計はIFRSなので、日本の基準でいう経常利益の行はありません。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 128億7,800万円 | 112億8,800万円 | +14.1% |
| 営業利益 | 8億5,100万円 | 7億6,500万円 | +11.2% |
| 経常利益 | — | — | — |
| 純利益 | 7億6,700万円 | 4億3,600万円 | +75.8% |
売上も営業利益も、1割台の伸びです。その中で純利益だけが7割以上増えています。営業利益率は、わずかに下がりました。
税引前利益より、純利益のほうが多い
損益計算書を下まで追って、引っかかった行があります。税引前利益が7億3,888万円なのに、当期利益は7億6,771万円です。税金を払ったあとの利益のほうが、払う前より多くなっています。
法人所得税費用の行を見ると、前の期は2億1,107万円の費用でした。今期は△2,883万円で、税金の費用がマイナスです。貸借対照表では、繰延税金資産が1億6,395万円から4億2,230万円へ増えています。ここまでは短信に書いてある数字です。
将来の税金が軽くなる見込みの分を、資産に積み増したのだと私は読みました。その分だけ今期の税金の費用が減り、マイナスにまでなっています。
純利益の増え方のうち、どれだけが税金から来たのかを並べます。
| 前の期 | 今期 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 税引前利益 | 6億4,780万円 | 7億3,888万円 | 約9,107万円の増加 |
| 法人所得税費用 | 2億1,107万円 | △2,883万円 | 約2億3,990万円の減少 |
| 当期利益 | 4億3,673万円 | 7億6,771万円 | 約3億3,098万円の増加 |
差の列は私の引き算です。
純利益は約3億3,000万円増えました。そのうち約2億4,000万円は、税金の費用が減った分です。税引前までで増えたのは、9,000万円ほどです。……税金の行のほうが、本業より大きく利益を動かしている。
なぜ今期これだけ繰延税金資産を積めたのかは、決算短信には書かれていません。表紙には決算補足説明資料も説明会も「有」とあります。そちらに理由があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。
店の家賃を払うと、残る現金は2億円ほど
キャッシュ・フロー計算書は、一見すると厚く感じます。営業キャッシュ・フローは17億9,754万円で、前の期の13億1,005万円から増えました。
ただ、IFRSの会社では、借りている店の賃料が「リース負債の返済」として財務活動の側に出ていきます。この会社では、それが8億2,976万円あります。店を借りて商売をしている以上、毎年かならず出ていくお金です。
| 今期 | |
|---|---|
| 営業キャッシュ・フロー | 17億9,754万円 |
| 投資キャッシュ・フロー | △7億6,608万円 |
| リース負債の返済 | △8億2,976万円 |
| 残り | 約2億169万円 |
残りの行は、上の3つを私が足し引きしたものです。新しい店の設備を買い、家賃を払うと、手元に残るのは2億円ほどになります。17億円という数字から受ける印象とは、だいぶ違います。
借入金の大半が、1年以内の返済に移った
負債の側では、借入金の置き場所が大きく動きました。1年以内に返す側の借入金は、9億7,624万円から32億3,304万円へ増えました。1年を超える側は、39億3,589万円から15億6,673万円へ減っています。
合計はほぼ変わっていません。短信の説明は「非流動負債からの振替」で、返済の期限が1年以内に入ってきた、ということです。借り換えの段取りがどうなっているかは、決算短信には書かれていません。
資本の側にも気になる行があります。のれんが53億6,582万円あり、資本合計の31億6,312万円より大きくなっています。利益剰余金は△54億3,703万円で、過去のマイナスがまだ大きく残っています。のれんの価値が揺らげば、資本がそのまま削られる形です。
値上げと出店で説明しているが、税金には触れていない
短信の経営成績の説明は、2つの柱で書かれています。1つは既存店で、値上げが浸透して前年比102.1%、当初の予算を上回ったとあります。もう1つは出店で、計画10店に対して18店を出しました。
この説明は、そのまま受け取っています。理由は、売上の伸び方と食い違うところが無いからです。
ただ、店舗数は期首126店、期末137店で、増えたのは11店です。18店出して11店増えたのなら、差し引き7店が閉じた勘定になります。閉店の数そのものは短信に書かれていません。減損損失3,471万円と、資産除去債務の履行による支出2,706万円は、退店の費用が出ていることと合っています。
一方で、決算短信の経営成績の説明文は、売上と営業利益までしか触れていません。純利益が7割増えた理由である税金の行については、短信の説明文の中に一言もありませんでした。
来期は、営業利益を伸ばして純利益を減らす予想
通期決算なので、今期の進み具合はもう測れません。代わりに、表紙に載っている2027年8月期の予想を見ます。
| 来期予想 | 増減率 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 150億円 | +16.5% |
| 営業利益 | 11億3,000万円 | +32.8% |
| 税引前利益 | 10億3,000万円 | +39.6% |
| 純利益 | 7億4,000万円 | △3.5% |
営業利益は3割以上増やす予想なのに、純利益は少し減らしています。税引前の10億3,000万円から純利益の7億4,000万円を引くと、2億9,000万円が税金です。2億9,000万円を10億3,000万円で割ると、税引前の3割弱にあたります。来期は税金が普通の重さに戻ると、会社は見込んでいるわけです。
つまり今期の税金のマイナスは、来期には続かない前提です。出店は30店を目指し、フランチャイズも広げるとしています。8月19日に出した中期経営計画では、4年以内をめどにプライム市場へ移ることを掲げました。配当は今期10円、来期は12円の予定です。
私はどう読んだか
この1年の実力は、純利益の7割増ではなく、営業利益の1割増のほうだと考えています。理由は、来期の会社予想自体が、税金が戻れば純利益は減ると示しているからです。
本業そのものは悪くありません。値上げしても客足が保たれ、出店も計画を上回って進んでいます。気になるのは、家賃を払ったあとの現金の薄さと、1年以内に返す借入金の多さです。心配性なので、次の決算では営業利益より先に、借入金の行を確かめると思います。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
今期まとめて繰延税金資産を積み増した理由は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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