丸東産業(7894)2027年2月期 第1四半期決算分析――粗利の増え方は本物だと読みました

丸東産業(7894)2027年2月期 第1四半期決算分析――粗利の増え方は本物だと読みました 決算を読む

はじめに

丸東産業は、福岡にある包装資材の会社です。作っているのは、食品などを包む袋やフィルムです。短信には「掴めるくん」「吸湿くん」「楽チンさん」という商品名が並んでいます。手が滑らずに開けられる袋、乾燥剤なしで湿気を防ぐ袋、そのまま電子レンジにかけられる袋です。

買うのは食品メーカーで、使うのは買い物をして帰ってきた私たちです。袋に値段を払っている自覚は誰にもありませんが、袋が無いと中身は棚に並びません。そういう位置にある会社です。

原材料はフィルムや樹脂で、その値段はこの数年ずっと高いままです。短信の説明文が毎回「価格改定」の話を含んでいるのはそのためです。

この決算で何が起きたか

7月14日に出た第1四半期の決算です。3月から5月までの3か月分です。

項目今回前年同期増減率
売上高47億1,600万円45億3,700万円+3.9%
営業利益2億1,500万円6,500万円+229.3%
経常利益2億8,900万円1億2,100万円+137.7%
純利益2億100万円1億2,400万円+62.4%

売上は4%ほどしか伸びていないのに、営業利益は3倍を超えました。この差がどこから来たのかが、今回の読みどころです。

売上が伸びた以上に、原価が動いていない

損益計算書は7ページ目にあります。売上は1億7,900万円増えたのに、売上原価は1,944万円しか増えていません。差し引きで売上総利益、つまり粗利が1億5,935万円増えています。

項目前年同期今回増減
売上高45億3,742万円47億1,622万円約1億7,879万円増
売上原価38億9,407万円39億1,351万円約1,944万円増
売上総利益6億4,335万円8億270万円約1億5,935万円増
販売費及び一般管理費5億7,793万円5億8,730万円約937万円増

増減の列は、損益計算書の2つの数字から私が引いたものです。

販管費は937万円しか増えていないので、営業利益が増えた元はほぼ全部が粗利です。売上が4%増えて原価が0.5%しか増えないのは、同じ物を同じ量だけ売ったのでは起きません。値段を上げたか、儲からない取引をやめたか、そのどちらかです。会社の説明文はその両方を挙げていて、数字と合っています。

前年にあった補助金が消えても、純利益は6割増えた

営業利益より下も追いました。前年の純利益には、特別利益として国庫補助金4,063万円が入っていました。今年はこれがありません。それでも純利益は6割増えています。営業外収益は受取配当金6,547万円が中心で、前年とほぼ同じ額です。この四半期にまとまって入る配当のようです。経常利益2億8,900万円のうち6,500万円ほどはこの配当だと分かった上で読む必要があります。

支払利息も1,910万円から1,103万円へ減っています。長期借入金が2月末から1億2,100万円ほど減った分、利息が軽くなった筋です。営業外にも特別損益にも一時的な上乗せは無く、増えた分は本業から出ています。

現金が5億円減った理由を、貸借対照表で追う

引っかかったのはここです。現金及び預金が2月末の29億1,599万円から、5月末には24億670万円へ減っています。5億929万円の減少で、これは私の引き算です。会社も4ページ目で、総資産が減った主因は現金の減少だと書いています。2億円の利益が出た3か月で、現金が5億円減った。……いや、これは変だ。

9ページ目まで行くと、第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成していない、と注記にあります。そこで貸借対照表の動きから追いました。

科目2月末5月末増減
電子記録債務30億7,565万円23億9,136万円約6億8,429万円減
仕掛品5億7,769万円7億8,854万円約2億1,085万円増
売掛金36億9,672万円38億8,292万円約1億8,619万円増
商品及び製品11億7,760万円10億9,451万円約8,308万円減
流動資産のその他4億9,676万円2億4,095万円約2億5,580万円減

増減の列は、5ページ目の貸借対照表から私が引いたものです。

いちばん大きいのは電子記録債務の6億8,429万円の減少で、仕入先への支払いが進んだという意味です。会社も負債が減った主因をこれだと書いています。利益2億円と減価償却1億9,492万円で入ってきた現金より、仕入先に払った分と仕掛品に変わった分のほうが大きかった、ということです。現金の減りは、それでおおむね説明が付きます。

ただしキャッシュ・フロー計算書が無いので、営業でどれだけ現金を稼いだのかは、この短信からは確かめられませんでした。

仕掛品が3か月で3割以上増えている

仕掛品は、それ自体でもう一度引っかかります。作りかけの品が3か月で2億1,000万円、3割以上増えました。商品及び製品は逆に8,308万円減っています。できあがった袋は減り、作っている途中の袋が増えた形です。

福岡第一工場では3月から自動製函・梱包ラインが本格稼働した、と説明文にあります。機械装置の帳簿価額も2月末から1億円ほど増えていて、設備が増えた跡は数字にも残っています。新しいラインに仕込みが集まっている段階なのかもしれません。ただ、注文があって仕込んでいるのか、工程のどこかで滞っているのかは、短信の数字では区別が付きません。

会社はどう説明しているか

4ページ目の説明文は、原材料価格が高止まりする中で価格改定に取り組み、不採算取引の見直しを進めた結果、売上と利益の増加に寄与した、と書いています。生産面はコスト管理と生産プロセスの最適化、それに新ラインの稼働です。損益の説明は、そのまま受け取っています。

財政状態の説明は、現金の減少、電子記録債務の減少、利益剰余金の増加、と主因を一行ずつ挙げるだけです。なぜ仕掛品が3割増えたのかには、短信の説明文は触れていません。

通期予想に対して、半分まで来ている

会社は4月14日に出した通期予想を修正していません。そこに第1四半期の数字を並べます。

項目通期予想第1四半期進み具合残り9か月に必要な額残りの前年比
売上高189億5,000万円47億1,600万円4分の1約142億3,400万円約−0.1%
営業利益4億3,000万円2億1,500万円半分約2億1,500万円約−39.5%
経常利益4億8,000万円2億8,900万円6割約1億9,100万円約−52.9%
純利益3億3,500万円2億100万円6割約1億3,400万円約−74.0%

約の付いた数字は、通期予想から第1四半期を引き、前年の同じ9か月と私が比べたものです。

売上は教科書どおりの4分の1です。利益はそうなっていません。営業利益は3か月で半分に届きました。残り9か月に必要なのは2億1,500万円で、第1四半期と同じ額を3倍の期間で稼げばよい置き方です。前年の同じ9か月と比べると4割少ない額です。純利益に至っては、残り9か月で7割以上減る置き方です。

通期の純利益予想が前期比で半減近いのも気になります。3億3,500万円は、前期から減少率47.6%で置かれた数字です。1から0.476を引いた0.524で割り戻すと、前期の純利益はおよそ6億3,900万円です。今期予想の倍近い純利益が前期にあったことになりますが、その中身は今回の短信には出てきません。

なぜ後半をこれほど弱く置いたままにしたのかは、短信には書かれていません。表紙には「決算補足説明資料作成の有無:無」「決算説明会開催の有無:無」とあり、読める書類はこの短信だけです。

私はどう読んだか

予想が古いのか、後半に悪い材料を見込んでいるのか。どちらかだと思います。

私は前者だと考えています。理由は、増えた利益が営業外でも補助金でもなく、本業から出ているからです。原価が動かないまま粗利が増えた、という筋です。値段を上げて儲からない取引をやめた効果は、3か月で消える種類のものではありません。予想を出して3か月の会社が、第1四半期の結果だけで数字を動かさないのも珍しくありません。

それでも心配性なので、頭の片隅に2つ残しています。3割増えた仕掛品と、前期にあった6億円超の純利益の中身です。後者は前期の短信を開けば分かるはずで、次の四半期までに読んでおきます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260714/140120260617572931.pdf

仕掛品が3か月で3割増えた理由と、前期の純利益が今期予想の倍近くあった中身は、今回の短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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