トーエル(3361)2027年4月期 第1四半期決算分析――増えた利益は輸入価格の分と読みました

トーエル(3361)2027年4月期 第1四半期決算分析――増えた利益は輸入価格の分と読みました 決算を読む

はじめに

トーエルは、神奈川県を中心にLPガスを家庭へ届けている会社です。LPガスは、都市ガスの配管が来ていない一戸建てやアパートで、コンロや給湯に使うガスのことです。ボンベに詰めて、自社のトラックで各家庭まで運びます。配達先が近くにまとまっているほど一台で回れる軒数が増えるので、この密度が商売の土台です。

もう一つの柱がウォーターサーバー用の水です。長野の北アルプスとハワイに工場を持ち、ボトルをガスと同じ自社配送で家まで届けています。最近はガス・水・電気・光回線をひとまとめにした契約を勧めています。

2026年9月11日に出た第1四半期の決算短信を読みました。1ページ目は営業利益が2倍を超える、派手な数字です。

この決算で何が起きたか

5月から7月の3か月です。

項目今回前年同期増減率
売上高69億5,900万円60億8,100万円+14.4%
営業利益5億6,400万円2億4,400万円+130.7%
経常利益6億5,600万円3億8,700万円+69.4%
純利益4億2,500万円2億7,400万円+54.8%

前年の同じ時期は営業利益が4割減っていたので、その反動もあります。ただ営業利益率で言えば4.0%から8.1%へ上がっています。こちらも2倍です。

売上を押し上げたのは顧客数ではなく、ガスの仕入値

4ページ目の説明文に、増収の理由が書いてあります。中東情勢を背景にLPガスの輸入価格が高い水準で推移し、卸先と業務用の販売価格が上がった、とあります。売った量が増えたとは、決算短信には書いていません。

事業ごとに分けると、伸びたのはガスのほうだけです。

事業売上高前年比セグメント利益前年比
エネルギー52億500万円+20.9%5億1,900万円+109.5%
ウォーター17億5,300万円△1.3%4億1,400万円+21.0%

セグメント利益は、管理部門の費用を配る前の数字です。

水のほうは、前年より気温が低くて本数が減りました。それでも利益が2割増えたのは、生産設備の減価償却費が減り、経費を抑えたからだと説明されています。こちらは費用側の話です。

ここで一つ引っかかりました。水の減価償却費が減ったとあるのに、連結全体の減価償却費は3億4,244万円から3億4,865万円へ、逆に増えています。11ページ目の注記にある数字です。説明文に大型配送車両の追加購入とあるので、その分かもしれません。

粗利が3億2,000万円増え、販管費は23万円しか動かなかった

損益計算書を上から順に追います。売上総利益は24億6,487万円から27億8,489万円へ増えました。増えた幅は約3億2,000万円です。営業利益の増え方も約3億2,000万円です。増えた粗利が、そのまま営業利益になっています。

理由は、販売費及び一般管理費がほとんど増えていないからです。前年は22億2,024万円、今年は22億2,047万円でした。差は23万円あまりです。22億円の費用が3か月で23万円しか動かないのは、据え置かれたと言っていい水準です。

……いや、売上が9億円近く増えて、売るための費用がほとんど増えていないのか。

粗利率のほうは、前年も今年も4割前後で変わっていません。仕入れが上がった分だけ売値を上げると、売上と粗利が同じ割合で増えます。そこに動かない販管費を組み合わせると、営業利益だけが跳ねる形になります。ここまでは損益計算書の数字です。

倍増の正体は、輸入価格の転嫁で膨らんだ売上に、固定された費用を乗せた掛け算だ、と私は受け取りました。顧客数の増加も効いているはずですが、何軒増えたかは決算短信には書かれていません。

経常利益の伸びが半分なのは、為替差益が細ったから

営業利益が2.3倍なのに、経常利益は1.7倍で止まっています。差が出た場所は営業外収益です。

営業外収益今回前年同期
為替差益1,468万円5,106万円
スクラップ売却収入3,628万円2,615万円
その他2,337万円4,645万円
合計1億363万円1億5,213万円

為替差益が3,600万円ほど減り、営業外収益の合計で4,800万円ほど減りました。その分だけ、経常利益の伸びは営業利益に追いつきません。

キャッシュ・フロー計算書が無い四半期に、現金の減り方を追ってみる

この会社は第1四半期のキャッシュ・フロー計算書を作っていません。11ページ目の注記にそう書いてあります。それでも現金及び預金は6億1,900万円減っていて、利益の出た四半期にしては減り幅が気になりました。貸借対照表だけで、どこへ出ていったかを追いました。

出ていった先金額出どころ
法人税の支払い4億7,800万円未払法人税等の減少額(5ページ目)
自己株式の取得3億3,100万円注記(390,000株、6月11日決議)
配当の支払い約4億3,000万円私の引き算(下記)

配当の額は短信の本文にはありません。利益剰余金が205億8,428万円から205億7,899万円へ減っています。減った幅は528万円です。4億2,536万円の純利益を足したのに減ったのだから、出ていった額は純利益より多いことになります。純利益に528万円を足した約4億3,000万円です。発行済株式から自己株式を引いた約1,872万株に、期末配当23円を掛けても同じ額になります。

三つを足すと約12億4,000万円です。現金の減りは6億1,900万円なので、差し引き6億円ほどは本業で入ってきたことになります。売掛金が4億6,600万円減ったのが大きく、前期末に売った分の代金が回収されたと考えられます。税金と株主への支払いで減っただけで、商売の側で減ったわけではない、というのが私の引き算です。

会社はどう説明しているか

短信の4ページ目と5ページ目に、会社側の言葉があります。増収はガスの輸入価格、増益はセット割による顧客数の増加、水は償却費と経費の抑制で増益、という説明です。

そのうえで通期予想については、6月11日に公表した数字から変更なし、と一行で終わっています。気候変動、CP価格、円ドル為替が不確定要素で、修正が必要になれば速やかに開示する、と付け加えています。CP価格というのはLPガスの輸入価格の元になる契約価格のことです。

通期予想に対して、どこまで来ているか

据え置かれた通期予想と第1四半期を並べると、残りの9か月をどう見込んでいるかが分かります。

項目第1四半期残り9か月に必要な額通期予想通期の前年比
売上高69億5,900万円約225億100万円294億6,000万円+9.0%
営業利益5億6,400万円約13億4,600万円19億1,000万円△3.6%
経常利益6億5,600万円約14億7,400万円21億3,000万円△13.3%
純利益4億2,500万円約8億8,500万円13億1,000万円△18.8%

約の付いた数字は、通期予想から第1四半期を引いた私の計算です。

営業利益の進み具合は3割で、3か月分の目安である4分の1を超えています。それでも通期は前年比3.6%減の予想で、第1四半期だけが前年の2倍を超えました。残り9か月に必要な13億4,600万円は、前年の同じ9か月より2割強少ない計算になります。第1四半期が2倍でも、残りは2割減、という置き方です。

この置き方は、輸入価格がこの先下を向く前提でないと成り立ちません。売値が下がれば売上も粗利も同じ割合で縮み、動かない販管費が今度は逆に効きます。3か月で利益率を倍にした仕組みは、同じ速さで戻る仕組みでもあります。

私はどう読んだか

予想が古いまま残っているのか、第1四半期が出来すぎだったのか。私は後者だと考えています。理由は、増えた利益の中身が売値の転嫁と据え置かれた費用の掛け算で、会社自身が価格と為替を不確定要素に挙げているからです。

水の事業のほうは、本数が減っても利益を出せる形になってきていて、こちらは輸入価格に左右されにくい利益だと受け取っています。ただ規模はガスの3分の1です。

自己株式の取得と配当で7億6,000万円を株主に返しながら、現金は6億円ほど減っただけで済んでいます。財務の側は心配していません。心配しているのは、来年の同じ時期に、今回の5億6,400万円と比べられる日のことです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信| 株式会社トーエル
エネルギー(LPガス)とピュアウォーターを中心に、ライフラインイノベーションで社会に貢献するトーエル。

セット割で増えた顧客が何軒で、増収のうち軒数の分がいくらなのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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