ユークス(4334)2027年1月期 中間決算分析――税金の置き方が腑に落ちない

ユークス(4334)2027年1月期 中間決算分析――税金の置き方が腑に落ちない 決算を読む

ゲームを作る会社ですが、自分の名前で売るゲームは長いあいだ主力ではありませんでした。他社が企画した家庭用ゲームの開発を引き受ける、いわば裏方の会社です。ゲーム機を持っている人なら、知らずにこの会社が作った画面を触ったことがあるはずです。

裏方の仕事はゲームだけではありません。パチンコやパチスロの映像部分を作る仕事、そしてXRと呼ばれる分野があります。歌手やキャラクターのライブで、舞台の上に映るCGを作る仕事です。会場で光っている映像の裏に、この会社の人がいることがあります。

そこへ昨年、自社でゲームとキャラクターを持つ会社を子会社にしました。人のゲームを作る会社が、自分のゲームも持つようになった。今回の決算は、その両輪が初めてそろって半年動いた数字です。9月10日に出た中間決算を読みました。

売上4割増、営業利益は3倍、純利益だけ減っています

項目今回前年同期増減率
売上高25億9,200万円18億円+43.9%
営業利益1億6,500万円5,100万円+224.6%
経常利益1億4,400万円4,900万円+192.3%
純利益3,200万円3,400万円-5.3%

売上が4割増えて、営業利益が3倍です。ただ、前年同期には子会社の数字が入っていないと、短信の4ページ目に会社自身が書いています。増えた売上の大半はそこです。それでも純利益だけが減っている。この段差が、今回の記事の中身です。

税引前利益の8割近くが、税金で消えています

損益計算書は短信の7ページ目です。税金等調整前の中間純利益が1億4,423万円。そこから引かれた法人税等が1億1,146万円です。この法人税等を税引前の利益で割ります。答えは約77%です。私の割り算です。

前年同期はどうだったか。税引前5,069万円に対して、法人税等が1,609万円でした。同じ割り算をすると約32%です。日本の会社が普通に払う税率に近い数字です。つまり今年の上期だけ、利益の8割近くが税金になっています。ここまでは損益計算書の数字です。

今回前年同期
税引前中間純利益1億4,423万円5,069万円
法人税等1億1,146万円1,609万円
税負担の割合約77%約32%

約の付いた数字は、法人税等を税引前利益で割った私の割り算です。

なぜ77%なのか。短信の10ページ目に注記があります。通期の税引前利益に対する実効税率を合理的に見積もって、それを中間の税引前利益に掛けている、という説明です。中間期ではよくある計算方法で、これ自体は珍しくありません。

引っかかったのは、そこではなく通期予想との関係です。表紙の通期予想は、経常利益2億9,000万円に対して純利益2億8,000万円です。経常と純利益の差が1,000万円しかない。こちらは税金がほとんど無い置き方になっています。

上期は税引前の77%を税金として計上した。通期は税金をほぼゼロと置いている。……いや、これは噛み合わない。同じ会社が同じ日に出した2つの数字です。

計上はしたが、現金はまだ出ていっていません

もう一つ、この税金の性格がわかる数字がキャッシュ・フロー計算書にあります。実際に払った額が、計上した額とかけ離れています。

短信9ページ目のキャッシュ・フロー計算書を読むと、上期に法人税等として払った現金は732万円です。逆に還付として1,592万円が戻ってきています。損益計算書で1億1,146万円を費用にしながら、現金では差し引きで戻りのほうが多い。その分は、貸借対照表の未払法人税等が1,376万円から1億740万円へ膨らむ形で残っています。

営業キャッシュ・フローは1億3,450万円の獲得で、前年同期の2,265万円から大きく増えました。ただ、その増え方の一部は税金をまだ払っていないことで支えられています。加えて、5月に発売した自社ゲームの仕掛品が5,310万円減って原価に変わった分も、現金を押し上げています。

現金そのものは、期初から1億8,390万円減って10億7,973万円です。減った理由は営業ではなく財務です。短期借入金を2億円返しました。5億円あったものが3億円になっています。配当も8,373万円払いました。稼いだ現金で借金を減らした半年、という形になります。

営業外費用に、説明の無い償却が載っています

営業利益が3倍なのに経常利益は2.9倍にとどまった理由が、7ページ目の営業外費用にあります。合計で2,841万円です。前年同期の812万円から3倍以上に増えています。

内訳で目についたのが、出資金償却1,357万円です。前年同期にはこの科目がありません。キャッシュ・フロー計算書を見ると、前年の上期に出資金の払込で4,450万円を出しています。何かに出資した金が、1年たって価値を落として償却された。この償却が何の出資に対するものかは、決算短信には書かれていません。

説明会資料には、前年度に映画2作品へ出資し、2026年3月と5月に公開されたとあります。時期は合いますが、償却との結びつきは、説明会資料の私が読んだ範囲にも書かれていません。ここは、私の推測です。

コミットメントフィーも595万円から1,190万円へ倍になっています。銀行から借りられる枠を確保するための費用です。借入を返しながら枠は広げている、という組み合わせになります。

会社の説明は「簡便法」の一言で終わっています

短信4ページ目で会社が挙げている理由は、はっきりしています。受託開発は各分野とも堅調に推移した。ゲーム分野では他社の家庭用ゲームの移植を担当し、XR分野ではライブのCG制作を手がけた。遊技機分野は案件の立ち上げで稼働率が一時的に下がった。自社開発では、子会社が5月28日に発売した新作の販売本数が当初の予想を下回った、と書いています。

自社ゲームが計画に届かなかったことを、隠さずに書いている点は受け取れます。ただ、純利益が減った理由は、短信では数字が並ぶだけです。説明会資料で「簡便法により税金費用が増加」と書いてあるのが唯一の説明です。

それはそのまま受け取ります。中間期の税金の計算方法として、注記の通りです。ただし留保が一つあります。簡便法で77%になったのなら、会社が見積もった通期の実効税率が高いということです。そのとき、通期予想の純利益がなぜ経常利益とほぼ同じなのか。そこは、短信にも私が読めた説明会資料10ページまでにも書かれていません。

営業利益は届く、純利益は届きようがない置き方です

項目通期予想上期実績進捗率残り6か月に必要な額
売上高53億円25億9,200万円48.9%27億800万円
営業利益2億7,500万円1億6,500万円60.0%1億1,000万円
経常利益2億9,000万円1億4,400万円49.7%1億4,600万円
純利益2億8,000万円3,200万円11.4%2億4,800万円

進捗率と残りの額は、通期予想から上期実績を引いた私の計算です。

売上と経常利益は半分まで来ています。営業利益は6割です。残り6か月の営業利益1億1,000万円は、前年の下期より15%ほど少ない額で足ります。本業の数字は無理のない置き方です。

純利益は別です。残り6か月で2億4,800万円が必要ですが、同じ期間の経常利益は1億4,600万円しか要らない計算になっています。税引前より純利益のほうが1億円多い。上期に計上した税金が下期に戻るか、大きな特別利益が出るか、どちらかが無いと成立しません。会社は業績予想を据え置いています。

私はどう読んだか

通期の純利益予想は3月に出た数字で、今期の税金の見積もりと噛み合っていないまま残っている、と私は読みました。理由は、営業利益と経常利益の進み方が教科書どおりで、純利益の行だけが浮いているからです。本業の予想が動いていないのに、純利益だけ別の世界にあります。

私は心配性なので、上期の1億1,146万円はいずれ現金で出ていく前提で受け取っています。営業利益率が2.8%から6.4%に上がったのは事実で、そこは疑っていません。ただ、純利益の通期予想は当てにしないで読みます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.yukes.co.jp/wp-content/uploads/2026/09/140120260902530831.pdf

上期に約77%と置いた見積実効税率と、通期予想の純利益がどこで整合するのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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