TVE(6466)2026年9月期 第3四半期決算分析――利益倍増より、受注損失引当金が気になる

TVE(6466)第3四半期決算分析――営業利益2倍の裏で、バルブ事業の受注高は1割強減っていた 決算を読む

はじめに

TVEは、発電所で使うバルブを作り、直している会社です。バルブは配管の途中に付いていて、蒸気や水の流れを止めたり通したり、圧力が上がりすぎたときに逃がしたりする部品です。原子力発電所、とくに加圧水型と呼ばれる型の原子炉向けが柱で、火力発電所向けもあります。

買うのは電力会社です。新しいバルブを納めるだけでなく、原子炉を止めて行う定期検査のときに、取り替え部品を納め、点検や修理の役務を請け負います。売上の大きな部分は、この検査の時期に集まります。

このほかに、溶かした鋼を型に流して部品を作る鋳鋼の事業と、発電所の電気設備の保守や工事を請け負う事業を持っています。

この決算で何が起きたか

8月7日に出た第3四半期決算です。2025年10月から2026年6月までの9か月分になります。

項目今回(9か月)前年同期増減率
売上高85億4,300万円74億500万円+15.4%
営業利益10億7,600万円5億3,000万円+103.0%
経常利益12億1,600万円6億3,900万円+90.2%
純利益7億8,900万円5億6,200万円+40.4%

売上が1割半増えて、営業利益は2倍になりました。同じ日に、通期予想と配当予想の修正も出ています。

増えたのは、定期検査の売上と役務です

バルブ事業の内訳今回前年同期増減率
新製弁12億3,000万円9億3,300万円+31.8%
取替補修部品9億5,200万円8億5,600万円+11.1%
原発の定期検査工事17億4,200万円15億1,000万円+15.3%
その他メンテナンス等の役務19億500万円15億5,300万円+22.6%

バルブ事業の売上は58億3,000万円で2割増、セグメント利益は13億7,000万円で5割増です。四つの種類が全部増えていて、新製弁がいちばん伸びています。会社の説明文には、高浜、大飯、伊方、玄海、川内の五つの原発で定期検査工事が完了して売上が立った、とあります。

電気設備関連事業も売上15億2,200万円で1割増、利益は3億8,200万円で5割近く増えました。増益の中身は、この二つの事業の売上増です。営業外や特別利益ではありません。ここまでは損益計算書とセグメント情報の数字です。

受注損失引当金が、9か月で1億2,400万円あまり増えている

引っかかったのは貸借対照表です。受注損失引当金という科目が、前期末の5億4,752万円から6億7,184万円に増えています。引くと1億2,432万円の増加で、これは私の引き算です。

受注損失引当金は、受けた注文を仕上げると赤字になりそうなとき、その赤字の分を先に費用として積んでおくものです。積むということは、原価を割る値段で受けた仕事が手元にある、ということになります。

会社の説明文では、製鋼事業のところに出てきます。製鋼事業は主要顧客への売上が減り、売上高10億700万円で1割弱の減収です。受注損失引当金の繰入もあって、セグメント損失は8,200万円でした。前年同期の赤字は2,800万円なので、赤字幅が広がっています。

ただ、6億7,184万円のうち製鋼事業の分がいくらなのかは、短信には書かれていません。バルブ事業や電気設備関連事業の工事にも、この引当金は付き得ます。

もう一つ、製鋼の値段の付け方が直っていないように見えます。製鋼事業の受注高は10億7,797万円で前年同期より1割半増え、受注残高も前期末より1割近く増えました。売上が減り、赤字が広がり、それでも注文は増えています。……これは変だ。損の出る注文を取り続けているのか、古い注文の損を積み増しただけなのか。短信からは分けられませんが、私は前者を疑っています。理由は、赤字が広がる中で受注高だけが増えるのは、値段を下げて取らなければ起きにくいからです。

受注高は減り、受注残高は増えている

受注の表は短信の最後のページにあります。9か月の受注高は97億1,497万円で、前年同期より6.5%減りました。主力のバルブ事業は1割強の減少です。一方、受注残高は84億30万円で、前期末より1割半増えています。

向きが逆に見えますが、比べる相手が違います。受注高は前年の同じ9か月と、残高は前期末と比べたものです。受注高97億円は今回の売上85億4,300万円より大きいので、残高は積み上がります。減ったのは、前年の受注がそれだけ大きかったからです。

残高で目立つのは電気設備関連事業で、前期末から5割近く増えて9億7,984万円になりました。受注高はほぼ横ばいなので、受けた仕事がまだ売上になっていない状態です。

キャッシュ・フロー計算書は、この短信にはありません

第3四半期なので、会社は作っていません。代わりに貸借対照表の現金を見ると、前期末の23億9,277万円が24億666万円で、ほとんど増えていません。9か月で7億8,900万円の純利益が出て、現金は横ばいです。

行き先は同じ貸借対照表に載っています。仕掛品が3億8,600万円増えました。有形固定資産のその他は4億1,951万円から6億4,987万円になっています。2億3,000万円あまりの増加です。福井県おおい町の安全弁工場が6月に着工していますから、後者はその分だと考えています。賞与引当金は2億1,600万円減っていて、期首に積んだ賞与を払った分です。

借入金は1年内返済分の5,000万円だけで、長期借入金は無くなりました。現金が増えていないのは、儲けが仕掛品と工場に回ったからで、心配する形ではありません。

会社はどう説明しているか

増収増益の理由は、五つの原発での定期検査工事の完了と、電気設備の委託工事の増加です。この説明はそのまま受け取ります。セグメントの数字と合っています。

説明文の半分ほどは、原発を取り巻く動きに割かれています。2026年4月に柏崎刈羽6号機が約14年ぶりに再稼働したこと、泊3号機が2027年の再稼働に向けて進んでいること、美浜で1号機の後継機を置くための現地調査が始まったこと。おおい町の第1工場は2027年1月に竣工、3月に操業開始の予定です。

ここには留保を付けます。理由は、再稼働は先の話で、今回の売上を作ったのは既に動いている原発の定期検査だからです。検査の時期は電力会社の都合で決まるので、来年の同じ時期に同じ売上が立つとは限りません。

製鋼事業については、主要顧客への売上減と受注損失引当金の繰入、この二つだけです。どの注文で損が出るのかは、短信には書かれていません。表紙に決算補足説明資料の作成は「無」とあるので、読める書類は短信だけです。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目通期予想9か月の実績進捗率残り3か月残りの前年同期比
売上高112億円85億4,300万円約76%約26億5,700万円−4.4%
営業利益11億5,000万円10億7,600万円約94%約7,400万円+12.5%
経常利益12億9,000万円12億1,600万円約94%約7,400万円−12.9%
純利益8億2,000万円7億8,900万円約96%約3,100万円−13.2%

約の付いた数字は私が出したものです。通期予想から9か月の実績を引いて残り3か月を出し、実績を予想で割って進捗率にしました。右の列は、その残りを前年の同じ3か月と比べています。

営業利益は9割を超えていて、残り3か月は7,400万円で足ります。売上は残り26億5,700万円で、前年の同じ3か月より4.4%少ない置き方です。7月から9月は定期検査の売上が薄い時期だと、会社は見込んでいることになります。

予想は8月7日に修正されたばかりで、修正前の数字は読んでいません。配当は前期の40円から55円に上げています。期末は35円です。予想の配当性向は16%弱で、無理はありません。

私はどう読んだか

今期の利益の増え方は本物だと考えています。理由は、増益がバルブ事業の売上増と役務の増加から出ているからです。前年にあった投資有価証券売却益2億375万円のような一時の収入は、今期には入っていません。純利益の伸びが経常利益より小さいのは、その売却益が前年に乗っていたためです。

それでも頭に残るのは製鋼事業です。売上が減り、赤字が広がり、注文だけが増えています。受注損失引当金の残高は、次の四半期にもう一度確かめます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260807515211.pdf

受注損失引当金6億7,184万円のうち、製鋼事業の分がいくらかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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