穴の内側にねじ山を刻む工具の会社です
オーエスジーが作っているのは、金属に穴をあける刃物、ねじを切る刃物、形を削り出す刃物です。どれも工場の工作機械の先に取り付けて使います。中心にあるのはタップという工具で、穴の内側にねじ山を刻みます。ボルトを留めるねじ穴は、たいていこのタップで作られています。
刃物なので、使えばすり減ります。買い手は、自動車部品、航空機、医療機器、半導体の製造装置などの部品を削っている工場です。刃がすり減れば買い直します。私の勤め先でも、切削工具は毎月の伝票に必ず出てきます。設備のように一度買えば終わる品物ではありません。工場が動いているあいだは、ずっと売れ続けます。
どの利益も、前の年の2倍前後になりました
2026年10月9日に出た、2026年11月期の第3四半期決算です。12月から8月までの9か月の数字です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,432億4,500万円 | 1,159億9,400万円 | +23.5% |
| 営業利益 | 275億4,300万円 | 137億5,900万円 | +100.2% |
| 経常利益 | 294億9,500万円 | 149億8,800万円 | +96.8% |
| 純利益 | 213億6,400万円 | 96億4,300万円 | +121.5% |
売上は2割増えました。利益はどれも2倍前後になっています。会社は、4つとも第3四半期までの累計として過去最高だと書いています。
この短信には、キャッシュ・フロー計算書がありません
私はいつも、利益が現金になったかどうかを先に確かめます。今回はそれができません。短信の7ページ目に、第3四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成していない、という注記があるからです。代わりに添えてあるのは、減価償却費が97億4,700万円という数字だけです。
そこで、貸借対照表を前の期末と並べました。
| 科目 | 前期末(2025年11月) | 今回(2026年8月) |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 523億5,000万円 | 559億7,100万円 |
| 原材料及び貯蔵品 | 107億6,500万円 | 165億3,600万円 |
| 仕掛品 | 76億3,800万円 | 110億5,900万円 |
| 商品及び製品 | 410億8,600万円 | 428億3,900万円 |
出典:決算短信 四半期連結貸借対照表
引っかかったのは原材料です。9か月で5割以上増え、増えた額は57億7,000万円あります。仕掛品も34億2,000万円増えました。それに比べて、売れる形になった製品はほとんど増えていません。
売上が増えれば在庫も増えます。ただ、これほど膨らんだのが製品より手前の段階ばかり、というのは偏っています。なお、現金は36億2,100万円増えています。在庫に多くを回しても、手元の現金が減るところまでは行っていません。
原材料が増えた理由は、短信の説明文には書かれていません。説明会資料のほうに、棚卸資産の増加は「超硬材料の価格高騰に伴う原材料、仕掛品の増加が主要因」とありました。超硬は、刃物の材料に使う硬い合金です。量が増えたというより、材料の値段が上がったぶん帳簿の上で膨らんだ部分が大きい、ということになります。
3か月だけを切り出すと、利益率は2割を超えていました
短信に載っているのは9か月の累計だけです。四半期ごとの数字は説明会資料に出ているので、この節は説明会資料の数字で書きます。
営業利益は、第1四半期が61億3,400万円、第2四半期が95億2,700万円でした。6月から8月の第3四半期は118億8,200万円で、四半期を追うごとに大きくなっています。この3か月の営業利益率は23.2%で、前年の同じ3か月は11.1%でした。
……いや、1年で倍は速すぎる。
会社が挙げた理由は、円安と「時間差」でした
短信の4ページ目で、会社は利益が伸びた理由を2つ挙げています。1つは円安です。もう1つは「販売価格改定効果と材料価格上昇の反映時期との差異」です。
この2つめは、仕組みで考えると分かりやすくなります。値上げは、その日から売値に効きます。一方、値上がりした材料はいったん原材料として倉庫に入り、削られて仕掛品になります。原価になるのは、製品として売れたときです。そのため、売値だけが先に上がり、原価が追いつかない期間ができます。
これは先ほどの在庫の話とつながります。値上がりした材料の多くは、原材料と仕掛品として貸借対照表に残っていて、まだ損益計算書には出てきていません。
説明会資料には、短信の説明文に無い話がもう1つありました。米州で関税の還付金を9億円強計上し、6月から8月の米州の利益率が29.8%になった、とあります。毎四半期入ってくる種類のお金ではないはずです。
会社の説明は、そのまま受け取ります。利益が増えた理由に自分から「時間差」と書いたのは、正直な書き方だと思いました。時間差は、いずれ埋まるものだからです。
残り3か月は、直前の3か月より低く置かれています
予想は10月9日に上方修正されました。説明会資料によると、修正前の営業利益予想は300億円です。
| 通期予想 | 9か月の累計 | 進み具合 | 残り3か月 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,930億円 | 1,432億4,500万円 | 約74% | 約497億5,500万円 |
| 営業利益 | 360億円 | 275億4,300万円 | 約77% | 約84億5,700万円 |
| 経常利益 | 380億円 | 294億9,500万円 | 約78% | 約85億500万円 |
| 純利益 | 240億円 | 213億6,400万円 | 約89% | 約26億3,600万円 |
約の付いた数字は、表紙の通期予想から9か月の累計を引いたり割ったりした私の計算です。
9か月で4分の3まで来ているので、進み方は時期どおりです。気になるのは、残り3か月の中身です。営業利益は約84億円です。6月から8月に稼いだ118億8,200万円と比べると、34億円ほど少ない額になります。前年の9月から11月と比べれば、それでも3割近く多くなります。
つまり会社は、第3四半期がいちばん高かったという前提で予想を組んでいます。時間差が埋まっていくぶんを見込んだ、と考えれば筋は通ります。
それより分からないのは、純利益の予想です。残り3か月の経常利益85億500万円に対して、純利益は26億3,600万円しかありません。両者の差は58億6,900万円です。経常利益の半分を超える額が、税金などで消える計算になります。9か月の累計では、税引前の297億100万円に対して税金は79億800万円で、3割弱でした。
なぜ残り3か月だけこの数字にしたのかは、短信にも、私が読んだ範囲の説明会資料にも書かれていません。短信は予想の詳しい説明を、同じ日に出た「業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」に回していて、私はそちらをまだ読んでいません。
修正前の純利益予想は210億円で、9か月の累計がすでにそれを超えていました。超えたぶんを小さく足しただけ、という可能性もあります。
私はどう読んだか
第3四半期の利益率には、値上げと材料の時間差によるぶんがかなり含まれている、と私は読みました。理由は、その値上がりした材料が、原材料と仕掛品としてまだ貸借対照表に残っているからです。残り3か月を会社が低めに置いたのも、同じ方向を向いています。
一方で、売れ方そのものは崩れていません。短信のセグメント情報では、日本、米州、欧州・アフリカ、アジアの4つすべてで、外部への売上も利益も前の年を上回っています。私は下振れから先に考える性分ですが、注文が細っている兆しは、短信の数字からは見つけられませんでした。
上がるかは知りません。在庫に入っている材料が原価に出てくる次の四半期で、利益率がどこまで戻るかを確かめます。
出典:決算短信(会社発表)
残り3か月の純利益だけを、経常利益に比べてここまで低く置いた理由は、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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