ABEJA(5574)2026年8月期 第3四半期決算分析――純利益の倍増より、継続収入を読みました

ABEJA(5574)2026年8月期 第3四半期決算分析――純利益の倍増より、継続収入を読みました 決算を読む

企業のAIを、試しで終わらせないための土台を作る会社

ABEJAは、企業が業務の中でAIを使い続けるための仕組みを売っている会社です。「ABEJA Platform」という自社の基盤の上で、顧客のデータ、社内の判断ルール、現場の作業手順をつなぎます。

買い手は大きな会社の業務部門です。短信には、栃木銀行と行内全体のAI活用で組んだ話が出てきます。銀行のように間違いが許されない仕事で、AIに任せる部分と、人が確かめる部分を分けて組み込む使われ方です。

売上は二つに分かれています。導入と構築を手伝う「トランスフォーメーション領域」と、できた仕組みを人とAIで回し続ける「オペレーション領域」です。前者は案件ごとの契約、後者は毎月入る継続収入です。今回は、この区別がいちばん効いてきました。

9か月で、売上は4分の1増えています

7月15日に出た第3四半期決算です。2025年9月から2026年5月までの累計を、前年の同じ期間と並べます。

今回(9か月)前年同期増減率
売上高33億6,900万円26億9,300万円+25.1%
営業利益5億6,600万円3億9,900万円+41.9%
経常利益5億8,200万円4億200万円+44.8%
純利益7億1,300万円3億5,300万円+101.8%

売上より営業利益の伸びが大きく、純利益は倍になっています。ただ、最後の行はそのまま受け取れる数字ではありませんでした。

純利益を倍にしたのは、マイナスの税金です

損益計算書を下までたどると、税引前の利益は経常利益と同じ5億8,209万円です。特別な損益はありません。そこから引かれる法人税等が、△1億3,140万円になっています。税金がマイナスなので、純利益が税引前より大きくなります。

短信の4ページ目によると、これは繰延税金資産の回収可能性を見直した結果です。見直しは、将来の課税所得の見積りを踏まえたものです。繰延税金資産は1億6,278万円から4億5,837万円へ増えました。将来払う税金が軽くなる見込みを、資産として積み増したものです。

現金が入ったわけではありません。未払法人税等は1億5,860万円まで増えていて、目の前の税金は払っています。通期の純利益予想8億5,200万円も、経常利益予想の7億2,500万円を上回っています。1年を通しても、税金をマイナスで見込んでいることになります。

継続収入は、9か月で前の期の1年分を超えました

領域今期9か月前期1年間
トランスフォーメーション25億1,848万円27億4,663万円
オペレーション8億5,052万円8億3,877万円
合計33億6,900万円35億8,540万円

出典は短信4ページ目の売上の内訳です。前期は1年間、今期は9か月の数字です。

引っかかったのは2行目です。継続収入にあたるオペレーション領域は、9か月で前の期の1年分をもう超えています。前年同期の内訳は載っていないので、同じ9か月どうしでは比べられません。それでも、4分の3の期間で1年分を上回った以上、伸びていることは確かです。

構築のほうは、まだ前の期1年分に届いていません。会社が描いているのは、構築を終えた仕組みが運用に回り、毎月の収入として積み上がっていく順番です。それが内訳の上でも起きています。

利益率の改善は、粗利ではなく販管費から来ています

前年9か月今期9か月
売上総利益16億8,582万円20億2,264万円
売上総利益率約62.6%約60.0%
販売費及び一般管理費12億8,624万円14億5,581万円
営業利益率約14.8%約16.8%

約の付いた数字は、損益計算書の金額から私が割ったものです。

粗利率は少し下がっています。原価が売上より速く増えたということです。それでも営業利益率が2ポイント上がった理由は、販管費の伸びが1割強で済み、売上の伸びの半分ほどに収まったからです。原価が増えた理由は、決算短信には書かれていません。

現金の減り分は、投資有価証券に置き換わっています

現金及び預金は、45億8,601万円から43億214万円へ減りました。代わりに、前期末には無かった投資有価証券が3億7,539万円載っています。第2四半期に取得し、時価で評価したものだと短信にあります。営業外収益に受取配当金923万円が新しく出てきたのも、おそらくこの保有分からです。何を買ったのかは、決算短信には書かれていません。

この第3四半期は、キャッシュ・フロー計算書を作っていません。第3四半期では珍しくない扱いで、短信にも断ってあります。営業で現金がどれだけ入ったのかは、この短信からは追えません。

現金の減り方には、もう一つ理由がありそうです。流動負債の契約負債が1億4,786万円減っていて、短信はその原因を「公的案件の売上計上」としています。前もって受け取ったお金が売上に変わったので、この分は新しい入金を伴いません。

同じ短信の説明文には、NEDOの生成AI開発事業「GENIAC」の第三期が2026年2月に終わったと書いてあります。……これか。ただ、二つを結びつける記述は短信にありません。

会社の説明は、半分はそのまま受け取れます

会社は伸びた理由を、LLM関連の需要の取り込みと、ABEJA Platformを通じたAI活用の広がりだとしています。第3四半期の3か月については、オペレーション領域が着実に伸び、継続収入が積み上がったと書いています。

後半は、上の内訳と食い違いません。そのまま受け取ります。前半の「LLM関連の需要」は、どの案件がいくらなのかが短信に無いので、言葉どおりに聞いておくだけにします。フィジカルAIやNVIDIAのモデル搭載、GENIAC第四期でIDOMと組む話も並んでいますが、今期の売上にどう効いたかは短信に書かれていません。

予想は同じ日に変わり、売上は最後の3か月で伸びを速める置き方です

通期予想は、この決算と同じ日に修正されています。4月14日に一度修正したものを、もう一度変えました。中身は「繰延税金資産の計上及び通期業績予想の修正に関するお知らせ」という別の発表にあり、私はまだ読んでいません。どの行がどちらに動いたのかは、この短信からは分かりません。

9か月累計通期予想進み具合残り3か月に要る額
売上高33億6,900万円45億5,000万円約74%約11億8,100万円
営業利益5億6,600万円7億1,000万円約80%約1億4,400万円
純利益7億1,300万円8億5,200万円約84%約1億3,900万円

約の付いた数字は、通期予想から累計を引いたり割ったりした私の計算です。

9か月たったので、目安は4分の3です。売上はほぼ目安どおりで、営業利益は少し先に進んでいます。

前年と並べると、置き方の違いが見えます。前期1年間の売上は35億8,540万円です。そこから前年9か月の26億9,314万円を引くと、前年の6月から8月は8億9,226万円になります。今年の同じ3か月に要るのは11億8,100万円で、3割あまり多く売る前提です。9か月の伸びは25.1%だったので、それより速いペースです。

一方で営業利益は、9か月の5億6,600万円をならすと3か月あたり1億8,000万円台です。残りに要る1億4,400万円は、それより小さい額です。売上は伸びを速め、利益は控えめに見込んでいることになります。

私はどう読んだか

私は、本業は順調に伸びていると考えています。理由は、継続収入が9か月で前の期の1年分を超えたからです。利益率の改善も、一時的な利益ではなく、販管費が抑えられたことから来ています。純利益の倍増は、成長の数字からは外して考えます。

心配性なので、粗利率が少し下がったことと、現金の出入りが追えないことは頭に置いておきます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260715/140120260715594171.pdf

修正後の通期予想が、修正前からどの行でどれだけ動いたのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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