PILLAR(6490)第1四半期決算分析――利益が8割増えた四半期に、現金及び預金が25,531百万円から22,202百万円へ減っていた

PILLAR(6490)第1四半期決算分析――利益が8割増えた四半期に、現金及び預金が25,531百万円から22,202百万円へ減っていた 決算を読む

はじめに

PILLARは、流体の「漏れ」を止める会社です。もとはパッキン、つまり配管や機械の継ぎ目から液体や気体が漏れないように挟み込む部品から始まって、回転する軸の周りを密封するメカニカルシールも作っています。地味に聞こえますが、漏れてはいけないものを扱う工場では、この部品が止まると全部が止まります。

いま利益の柱になっているのは、半導体製造装置向けの継ぎ手です。半導体を作る工程では、薬液を装置の中で運びます。強い酸やアルカリで、しかもわずかな不純物も許されない。その配管をつなぐ部品を、ふっ素樹脂で作っている。半導体工場が増えれば、装置が増え、配管が増え、継ぎ手が要る。そういう場所にいる会社です。

2026年8月6日に出た、2027年3月期の第1四半期決算です。同じ日に、業績予想と配当予想の修正(増配)も出しています。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高18,30413,499+35.6%
営業利益4,9632,705+83.4%
経常利益5,3712,765+94.2%
純利益3,6731,977+85.8%

(単位:百万円)

売上が3分の1以上増えて、営業利益は8割増。営業利益率は27.1%で、前年同期の20.0%から大きく上がっています。1ページ目だけ見れば、ほとんど文句のつけようがない表です。

伸びたのは電子機器だけで、産業機器の利益はむしろ減っている

セグメントの表を見ると、この決算の中身は一色ではありませんでした。

セグメント売上高前年同期セグメント利益前年同期
電子機器関連13,7108,9234,4752,106
産業機器関連4,5844,566482593

(単位:百万円)

電子機器関連の利益は2倍以上。会社全体の営業利益4,963百万円のうち、4,475百万円がここです。一方、産業機器関連は売上がほぼ横ばいで、利益は前年同期比18.7%減。会社は製品構成の変化と、原材料価格や人件費の上昇を理由に挙げています。

地域別の内訳も同じ話をしています。アジア向けの売上が2,544百万円から4,388百万円へ。国内も伸びていますが、伸び幅の中心はアジアです。半導体という一本の柱が、ものすごい勢いで太くなっている。それがこの決算です。柱が一本であることは、良いときは強く、向きが変わったときはそのまま逆に効きます。

経常利益の伸び幅には、為替差益272百万円が入っている

営業利益の増加率が83.4%なのに、経常利益は94.2%。この差に引っかかって損益計算書を見に行くと、営業外収益が123百万円から465百万円に増えていました。中身は為替差益272百万円です。前年同期は逆に為替差損12百万円を営業外費用に立てていました。

為替は毎期どちらに転ぶか分かりません。経常利益の「9割増」という数字のうち、この272百万円ぶんは本業の話ではない。営業利益の8割増のほうを、この会社の実力として見るべきだと思います。

現金及び預金が3,300百万円ほど減っている。理由の内訳は、この短信では追えない

貸借対照表で目に留まったのはここです。現金及び預金が、前期末の25,531百万円から22,202百万円になっています。差し引き3,329百万円の減少――これは私が引き算した数字です。四半期純利益3,673百万円を出した3ヶ月で、手元の現金はそれとほぼ同じ額だけ減っている。

……いや、これ自体は悪い話とは限らない。売上が急に増えれば、先に材料を買い、作り、売った代金はあとから入ってくる。実際、受取手形及び売掛金は11,595百万円から14,080百万円に増え、棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)もそれぞれ積み上がっています。急成長の初期には普通に起きることです。

問題は、それを確かめる書類が無いことです。この短信の注記には「当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」と書かれています。第1四半期で作らないのは制度上珍しくありません。ただ、現金が減った理由が運転資金なのか、設備なのか、それとも別の何かなのか、この短信だけでは内訳を確かめられない。それは読者として覚えておくべきことです。私の見立て(運転資金だろう)は、あくまで貸借対照表からの推測です。

会社はどう説明しているか

会社は短信の2ページ目(定性的情報)で、半導体市場の回復を背景に、半導体製造装置向けピラフロン製品の販売が国内外ともに好調で、増収に伴う操業度の向上により営業利益も大幅に増えた、と書いています。操業度の向上、つまり工場がフル稼働に近づいて固定費が薄まった、という説明です。

利益率が20.0%から27.1%へ上がった説明として、これは筋が通っています。ここは留保なく受け取っていいと思います。逆に言えば、操業度で稼いだ利益率は、売上が落ちれば同じ道を逆に降りてきます。

通期予想に対して、どこまで来ているか

会社はこの日、通期予想を5月の公表値から引き上げました。引き上げた後の数字に対する進み具合がこうです。

項目通期予想進捗率
売上高83,00022.1%
営業利益20,00024.8%
経常利益20,40026.3%
純利益14,00026.2%

(単位:百万円)

利益は4分の1をすでに越えていて、順調に見えます。ただし売上の進捗は2割強で、目安の4分の1に届いていません。残り9ヶ月で64,696百万円、前年の同じ9ヶ月に対して4割増のペースが必要です。第1四半期の伸びが35.6%増ですから、会社は「この勢いがさらに強まる」前提で予想を置いたことになります。強気です。上げた直後の予想なので根拠はあるのでしょうが、その根拠自体は決算短信には書かれていません。

配当は年245円の予想で、予想配当性向は40.0%。ただし第2四半期末と期末の配当額は未定と注記されています。245円は年間の見込みであって、まだ確定した割り振りではありません。

私はどう読んだか

私は、この決算を額面どおりに良い決算として読んでいます。理由は、利益の増え方の説明が、売上の増え方と操業度で素直につくからです。為替差益や一時的な収入で作った利益ではなく、営業利益の段階で8割増えている。留保をつけたのは2点だけで、経常利益の伸び幅に入っている為替差益272百万円と、現金の減少をキャッシュ・フロー計算書で確かめられないことです。読み違えかもしれませんが、心配性の私が読んでも、下振れの種は「半導体の柱が一本しかない」ことくらいしか見つかりませんでした。それは今の強さと同じものの裏側です。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260806/140120260806511393.pdf

現金及び預金が3,329百万円減った理由の内訳は、四半期連結キャッシュ・フロー計算書が作成されていないため、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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